取材・文/池田充枝
日本画の主要な題材のひとつである植物。そのなかで、とりわけ葉っぱに目を向けたことはありますか。たとえば、川合玉堂《月下鳴鹿》では、一頭の鹿を囲うように生い茂るススキの葉が、細く弧を描くような線描によって一枚一枚丁寧に表されています。

長野市の水野美術館は、実業家・水野正幸氏が収集した日本画コレクションをもとに2002年に開館。横山大観や菱田春草ら日本美術院の画家たちを中心に収蔵し、それらを年3回程度のコレクションで順次公開しています。
水野美術館で開催の「水野コレクション 葉っぱ展 ―色・かたち・描き方」は、日本画に描かれた「葉っぱ」を主役にした展覧会です。(6月6日~7月20日)
本展の見どころを、水野美術館の学芸員、野口春花さんにうかがいました。
「本展は、描かれた「葉っぱ」が主役の展覧会です。当館所蔵の日本画のなかに登場する葉っぱに注目することで、様々な色・かたち・描き方をお楽しみいただけます。
たとえば、池上秀畝《盛夏》は、日差しの輝きを思わせる金の背景に、枝葉を伸ばす夏の植物と、そこに集まる黒い叭々鳥(ハハチョウ)を描いた屏風です。

このうち今回は、画面をまばゆい緑色に彩るいくつもの葉っぱに意識を向けてみてください。すると、大きな葉をゆったりと広げた芭蕉や、その奥の枝に小さな丸い葉を連ねる花柘榴、うねりを帯びた細長い葉を地面から伸ばす野萱草(ノカンゾウ)など、種類ごとに異なる形や生え方が見えてきます。

1935年 水野美術館蔵

1935年 水野美術館蔵
また、当館を代表する所蔵作品である横山大観《無我》も展示します。普段の紹介では、中央の童子に焦点を当てることが多い本作。この機会に、童子の足元に咲いた菫(スミレ)に着目してみると、葉は先の尖った楕円形だと気付かされます。さらに、その形を淡い色で描いた様子からは、若葉らしい薄くて柔らかそうな感触まで伝わってきませんか。

このように、本展をご覧いただくことで、絵の中の葉っぱたちの個性豊かな魅力を味わっていただければ幸いです」

1906年 水野美術館蔵
※本展の担当学芸員によるギャラリートークが6月21日(日)10時~、7月11日(土)14時~に行われます(申込不要、参加無料)。より深い鑑賞をお楽しみください。
【開催要項】
水野コレクション 葉っぱ展 ―色・かたち・描き方
会期:2026年6月6日(土)~7月20日(月・祝)
会場:水野美術館
住所:長野県長野市若里6-2-20
電話:026・229・6333
公式サイト:https://mizuno-museum.jp
開館時間:9時30分~17時30分(入館は17時まで)
休館日:月曜日(ただし7月20日は開館)
料金:公式サイト参照
アクセス:公式サイト参照











