取材・文/坂口鈴香

写真はイメージです。

加齢とともに「何でこんなところで?」という場所で転ぶことが増えてくる。足腰が衰えつつある高齢の方ばかりではない。60歳前後でも思わぬところで転んだという声をよく聞く。

これまでにも、「家の中の危険をチェック!高齢者事故の8割は家庭内で起きている」(https://serai.jp/health/340538)や「家のまわりの危険地帯|段差や敷石……シニアの日常、ココが危ない」(https://serai.jp/living/342972)で、屋内外での危険箇所のチェックと危険回避策を紹介した。

「家の中の危険をチェック!」では、高齢者の事故の8割が家庭内で起きていることに注意を喚起したが、筆者が耳にする限りでは60歳前後は屋外での転倒が多いと感じる。今回はそんな事例を紹介したい。

暗い飲食店内で

Cさん(64歳)は、顔の右半分に大きな青アザができていた。1週間前に転倒し、顔だけでなく、右腕や腰、膝もアザになっているという。Cさんが転倒したのは、飲食店内。店内は薄暗かったという。

「転んだときに手をついていなかったのか、顔面と右半身全体を強打して、しばらくは起き上がれませんでした。全個室だったし、暗いので、もし自分で起き上がれなかったらしばらく誰にも気づかれなかったと思います」

なんとか起き上がったものの、翌日には顔が腫れあがり、右半身や膝も痛い。それでも動かすことはできたので、骨折はしていないだろうと判断し、仕事は続けたという。

「顔はマスクで隠しました。おそらくバレてはいないと思います」

そう言って苦笑するCさんだが、実は前年にも転んだという。

斜め横断中の横断歩道

Cさんが転んだのは横断歩道だった。

「幹線道路を横切る広い横断歩道でした。といっても、実は斜め横断なんです。青信号が点滅しはじめたので、急いでショートカットしようとしたところに中央分離帯があって、それに気づかずにつまずいて派手に転倒してしまいました」

このときは、手をついたので、顔や体を強打することはなかった。

「周りに見られたのが恥ずかしくて、すぐに起き上がって横断歩道を渡り切りました。そのときは恥ずかしさが勝っていたので気づかなかったのですが、しばらくすると手首が熱を持って、腫れてきたんです」

これは骨折だろうと、すぐに病院を受診した。

「手首にヒビが入っていました。ヒビ程度ならすぐに治るだろうと思っていたら、治りも悪くて、完治するまでに3か月かかりました。年を取ると治りも悪いんだと痛感しました。手首を骨折する人は大腿骨も骨折しやすいと医師に言われて、薬を飲むようになりました」

Cさんは2年連続の転倒にショックを受けてはいるが、そう深刻にはとらえていない。「気をつけようとは思いますが、これといった転倒予防対策もないですし」と諦め気味だが、転倒を教訓にすることはできる。

オシャレな飲食店は、店内が薄暗かったり、段差があったりと、シニアにとって危険がいっぱいだ。横断歩道を斜めに横断する人もよく見かけるが、シニアになれば急がず慌てず、次の青を待つつもりでまっすぐ横断することをおすすめしたい。

思わぬところにキケンが! アラカン世代で増える転倒事故事例~その2~に続きます。

取材・文/坂口鈴香
終の棲家や高齢の親と家族の関係などに関する記事を中心に執筆する“終活ライター”。訪問した施設は100か所以上。20年ほど前に親を呼び寄せ、母を見送った経験から、人生の終末期や家族の思いなどについて探求している。

 

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