「コンフリクト」という言葉を聞いたことがありますか? マネジメント課題解決のためのメディアプラットホーム「識学総研(https://souken.shikigaku.jp)」で、「コンフリクト」について正しく理解し、知見を得ましょう。

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コンフリクトとは?

コンフリクト(Conflict)とは、直訳すると「対立」「衝突」「抵触」の意味です。ビジネスにおいては、異なる意見や要求などが衝突して緊張状態にあることを指します。

コンフリクトには、個人同士の意見の相違だけではなく、グループや組織の間での対立も含みます。さらに、企業とそのクライアントなど、社内と社外との間でもコンフリクトが生じることもあり、その影響度もさまざまです。

対立というと、ネガティブな意味に捉える人も多いかもしれませんが、コンフリクトにはポジティブな側面もあります。コンフリクトによって多様な意見や要求などを交換することができ、異なる視点で組織を見ることで斬新な発想が生まれるかもしれません。

社会の変化のスピードが早く価値観の多様化が顕著な現代では、コンフリクトを正しく理解しマネジメントすることが、企業を成長に導くと考えられています。

なぜコンフリクトが起こるのか?

コンクリフトが発生する主な要因には、条件の違い、認知の違い、感情の違いなどが挙げられます。コンフリクトがなぜ起こるのか原因を紐解いて、理解を深めましょう。

条件の違いによる対立

おかれている立場や役割が違うと、目標や利害関係が異なり、コンフリクトが発生しやすくなります。

たとえば、上司と部下、営業と現場、自社と取引先などは、立場や求められる役割、重視しているポイント、優先事項などが異なるため、コンフリクトが生まれがちです。ビジネスでは立場の異なる相手と同じ目標に向かって進む必要があり、その際のアプローチの違いから、意見の対立は珍しいことではありません。

大切なのは対立が起きたときにどちらか一方の意見を押し通すのではなく、互いの意見を尊重し合って、双方が納得できる解決策や合意点を模索することです。

認知の違いによる対立

立場の同じ従業員同士で同じ目的やビジョン、方針を持っていたとしても、個人の価値観や考え方はそれぞれ異なるので、認知の違いが生じてコンフリクトが起こることがあります。加えて、前提情報が異なると認識の統一ができずにコンフリクトが起こることも。

もし、コンフリクトが起きたら、お互いの異なる意見の根底にある価値観を理解することが大切です。互いの価値観の違いを踏まえて、何を重視すべきか話し合って、解決につなげましょう。

感情による対立

コンフリクトのなかで解決しづらいのが、感情による対立です。感情は、仕事へのモチベーションや製品に対する愛着、費やした時間、仕事相手に対する印象などによって異なります。

感情の行き違いで発生したコンフリクトは誤解が解けると解決する場合もありますが、一度こじらせてしまっている場合には、慎重な対応が求められます。感情によるコンフリクトをこじらせてしまったら、コンフリクトマネジメントで早急に問題解決を行いましょう。

コンフリクトは組織にどんな悪影響を及ぼす?

コンフリクトには、良い側面と悪い側面があります。

従業員の視野を広げ組織の活性化につながるコンフリクトであれば良いのですが、場合によっては悪影響を及ぼす破壊的なコンフリクトが生じることも。

コンフリクトが組織に与える悪影響について解説します。

目標達成を阻害する

悪い側面が際立つ破壊的なコンフリクトが起こると、組織の目標達成を阻害してしまうことがあります。特に「コンフリクトアントレプレナー」と呼ばれる、従業員同士の衝突や対立を意図的にあおる存在には注意が必要です。

コンフリクトアントレプレナーは、従業員の貴重な時間やエネルギー、信頼を奪って、あえて対立を生じさせて現実を歪めます。そして、周りの従業員は、本来なら目標達成のために費やされるはずのリソースを奪われ、目標達成が困難になってしまうのです。

コンフリクトアントレプレナーとは距離をおくのが最も良い方法ですが、難しい場合には専門家のアドバイスを取り入れることをおすすめします。

従業員同士の不和が生まれる

建設的でない破壊的なコンフリクトが多発すると、従業員は疲弊してしまい、組織のなかに不和が生まれます。

従業員が互いに信頼し合っている関係性であれば良いのですが、チーム編成されたばかりだと、まだ関係性がきちんと構築されていない状態でしょう。そういった状況下での意見の対立は、相手への不信感や不快感に直結します。

従業員同士の不和は組織にとって致命的です。組織の崩壊を防ぐためにも、早急に対処する必要があるでしょう。

コミュニケーションが非効率的になる

悪い側面を持つ破壊的なコンフリクトが多発していると、情報が正しく伝達されなかったり、歪んで伝わってしまったりする可能性があるため、無用なコミュニケーションが生まれる傾向にあります。

非効率的なコミュニケーションによって業務の効率が下がると、組織としては大きなダメージを受けてしまうでしょう。非効率的なコミュニケーションは、従業員のフラストレーションをためてしまう原因にもなります。

コンフリクトマネジメントとは?

コンフリクトマネジメントとは、コンフリクトが発生した際に放置せず、速やかに解消する取り組みや姿勢のことを指します。

コンフリクトを放置すると、業務が滞ったり従業員の不和や緊迫感をもたらしたりと組織に悪い影響を与えがちです。そのため、コンフリクトは放置せずに迅速に解決することが大切といえます。ただし、コンフリクトマネジメントの目的は、コンフリクトを解消することにとどまりません。

そもそもコンフリクトは、社内で抱える人間関係や職場環境などの問題が顕在化したものと考えられます。そのため、コンフリクトを改善することで業務や職場のコミュニケーションの円滑化が図れ、新しい価値を創造して組織は成長していくでしょう。

最近では組織の活性化を目的に、積極的にコンフリクトマネジメントに取り組む企業も増えてきています。

コンフリクトマネジメントのメリット

コンフリクトマネジメントは、従業員のモチベーションが向上して業務効率が上がったり、新しいアイデアの創出につながったりとさまざまなメリットが期待できます。

ここでは、コンフリクトマネジメントの4つのメリットを解説します。

1.従業員のモチベーションと生産性が向上する

コンフリクトが発生した際に迅速な対応が行えると、従業員のモチベーションや生産性の維持・向上につながります。

社内で対立が起きていても未解決の状態では、従業員は自分の意見をいっても取り合ってもらえないと感じ、前向きな気持ちで仕事に取り組むのは難しいでしょう。従業員のモチベーションが上がらなければ、当然、生産性も低下してしまいます。

コンフリクトマネジメントによって対立や衝突を適切に解決できていると、従業員は自分の意見をしっかり聞いてもらえる環境なのだと認識し、組織への帰属意識と主体性が高まり、モチベーションを高いレベルで維持しやすくなります。その結果、組織の生産性も向上するはずです。

2.新しいアイデアが生まれやすくなる

コンフリクトマネジメントを行えば、社内の意見交換が活発化します。

従業員同士で視点の異なる意見がぶつかりあい、コンフリクトが生まれると、対立を通して一人では思いつかないような発見や斬新なアイデアが生まれるかもしれません。

お互いの立場や価値観への理解を深めながら新しい解決策を模索することは、組織の課題解決につながるでしょう。さらに、多角的なアイデアは企業にとって財産となり、組織運営にプラスの効果をもたらします。

3.離職率が低下する

コンフリクトマネジメントによって、人間関係に悩む従業員の離職を防ぐ効果が期待できます。

コンフリクトマネジメントがうまく機能している組織は、従業員同士の意見の相違を円満に解決できているということです。これは、互いの信頼関係が構築できていて自分の意見を言いやすい環境であるといえるでしょう。

自分の意見を伝えやすい環境は従業員エンゲージメントが高くなるため、結果的にコンフリクトマネジメントが離職率の低下に貢献します。

4.風通しが良くなり意見が出しやすくなる

コンフリクトマネジメントによって、従業員が自分の意見を聞いてもらえる環境だと認識すれば、意見を言いやすい雰囲気が醸成されて、職場の風通しが向上します。さらに、対立をポジティブに捉えられるようになると、より一層従業員が意見を出しやすくなって、議論の質が向上します。

風通しの良い職場は、課題や問題が発生しても速やかに報告・共有されるようになり、意見が対立しても建設的な議論ができるようになるのもメリットです。情的なストレスも適宜意見を言い発散することで、軽減できるでしょう。

コンフリクトマネジメントの実践方法

コンフリクトマネジメントを実際に導入するために、具体的な実践方法と流れを把握しておきましょう。ステップごとに実践方法を紹介します。それぞれの手順を丁寧に進めていくことが大切です。

1.迅速にお互いの意見を聞く

コンフリクトが発生したら、時間をおかずに迅速に対応します。対処が遅くなると対立にともなうネガティブな感情やストレスが増大するかもしれません。加えて、コンフリクトが長期化すると論点がずれたり、大きな問題に発展したりする可能性もあります。

最初にやるべきことは、自分の意見を伝えるとともに、対立している相手の意見を平等に聞くことです。感情面だけでなく、事実として何が起こっているのかを把握しましょう。話し合いの最初に、互いにプラスの結果になるようトラブルを解決するという共通認識を確認してください。コンフリクトをポジティブに捉えるよう働きかけることも大切です。

2.論点を整理する

相手の意見を聞いたら、論点の整理を行います。互いの意見において一致する部分はどこで、異なっている部分はどこなのか、課題を洗い出して相手を尊重しながら話し合いを進められるように配慮します。冷静に異なっている部分を見極めることができれば、原因を分析してスムーズに解決の糸口を見つけることができるでしょう。

どちらかが強引に意見を通したり、譲ったりしてしまうと、コンフリクトの根本的な解消が見込めない点にも注意してください。

3.第三者に仲介を依頼する

当事者だけで解決が難しそうな場合には、客観的な視点を持つ第三者に仲介を依頼するのもひとつの方法といえます。議論に感情が入ってしまうと、コンフリクトの原因となる事象ではなく誰が悪いかなど、その人に対して注目が集まりがちです。

仲介者には議論が感情的になったときに論点を戻したり、状況を把握して情報を整理したりできるスキルを持つ人物を選びましょう。コンフリクトの原因や双方のことをよく知る人物が適材です。

4.着地点を明確にする

最後は、論点を整理して解決策を探します。双方にメリットがある着地点を見つけ明確にします。解決案はどちらか一方が得をしたり損をしたりせずに、双方が納得できるものでなければなりません。また、具体的でかつ実行可能なものである必要があります。

着地点が明確になればコンフリクトの解決ができるのはもちろん、結果として相互理解が深まるでしょう。問題を解決した後は、再度同じ問題が再発しないよう、対立の原因を分析して改善策を講じることが求められます。

コンフリクトマネジメントを実践する上でのコツとは?

コンフリクトマネジメントがうまくいくと、組織に大きな成果をもたらします。ただしやり方によっては期待する効果を得られず、メリットが半減してしまうことも。コンフリクトマネジメントを実践する上で押さえておきたいコツについて解説します。

コンフリクトマネジメントの実施には、次の5つの手法があるとされています。

1.協調(Win-Win)
2.強制(Win-Lose)
3.妥協
4.受容(Lose-Win)
5.回避(Lose-Lose)

5つの手法を状況に合わせて使い分けて効果的なコンフリクトマネジメントを実施しましょう。

1.協調(Win-Win)

協調は、互いの意見や価値観を尊重して「双方に利益がある解決」を目指す方法のことです。コンフリクトマネジメントの5つの手法のなかで最も理想的な対処法といえます。

互いを否定せず協調して問題解決に取り組むため、対立の解消だけでなく信頼関係の構築や強化の効果も期待できます。

2.強制(Win-Lose)

強制は、一方が意見を押しつけ力技で問題を解決することです。対立が一見解決したように見えますが、一方の意見が押しつぶされているため反感を買い、コンフリクトが再発するリスクを秘めています。本当の意味での解決とはいえないでしょう。

3.妥協

妥協は、完全にお互いが納得しているわけではないものの互いに譲り合いながら、落としどころを見つけて着地点を探すことです。どちらも自分の意見を我慢している状態で、根本的な解決はしていません。そのため、コンフリクトが再開する可能性は否めず、最良の選択肢とはいえません。

4.受容(Lose-Win)

受容とは、一方が自分の考えを撤回し相手の意見をすべて受け入れることです。強制と表裏一体の関係といえます。表面上はコンフリクトが解消したように見えても、実際は受容した側は自分だけが我慢したとストレスを感じている状態です。新たなコンフリクトが発生するリスクがあります。

5.回避(Lose-Lose)

回避は、コンフリクトに向き合わず直接的な対立を避けて解決する方法です。対立を解消していないので、単に問題を先送りにしているだけです。後に再度対立が生じることも少なくありません。ただし、対立で感情的になってしまったときに一度冷静になるには有効な手段です。

まとめ

コンフリクトとは、ビジネスにおいて異なる意見を持つ人同士が対立することです。一見、ネガティブに思われがちですが、互いの意見の相違を尊重して前向きに解決することで、従業員のモチベーションアップや生産性の向上、信頼関係の構築につながります。

コンフリクトを適切に解決するためにコンフリクトマネジメントを実施しながら、組織をより成長させましょう。

【この記事を書いた人】
識学総研 編集部/株式会社識学編集部です。『「マネジメント」を身近に。』をコンセプトに、マネジメント業務の助けになる記事を制作中。3,000社以上に導入された識学メソッドも公開中です。

引用:識学総研 https://souken.shikigaku.jp/
コンサルタント紹介はこちらから https://corp.shikigaku.jp/introduction/consultant

 

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