【家族の絆】「ただ喜んでほしかった」転職を繰り返す娘が固執していた唯一のものとは～その１～

取材・文／ふじのあやこ

一緒にいるときはその存在が当たり前で、家族がいることのありがたみを感じることは少ない。子の独立、死別、両親の離婚など、別々に暮らすようになってから、一緒に暮らせなくなってからわかる、家族のこと。過去と今の関係性の変化を当事者に語ってもらう。

＊

株式会社R&Gは、仕事がなかなか続かない人を対象に「仕事が続かない理由に関する意識調査」（実施日：2024年７月12日～29日、有効回答数：475人、インターネット調査）を実施。仕事が続かない理由の１位は「人間関係でつまずく（263人）」となり、２位「仕事に飽きる・他のことがしたくなる（74人）」、３位「仕事内容が合っていない（65人）」、４位「ストレスにうまく対処できない（45人）」と続いた。

次いで、株式会社エムフロが行なった「仕事をしたくない理由に関する意識調査」（実施日：2024年８月29日～31日、有効回答数：500人、インターネット調査）では、仕事をしたくない理由の１位は「人間関係に問題がある（89人）」となり、２位「仕事内容に不満がある（83人）」、３位「体調不良・疲労の蓄積（80人）」、４位「労働時間が長い（53人）」と続いた。

今回お話を伺った由紀さん（仮名・38歳）は現在、１人暮らしをしている。正社員、契約社員、派遣社員、アルバイトと雇用形態を変えてさまざまなところを転々としている。

子どもの頃に母親は二度離婚した

由紀さんは３歳上に姉のいる４人家族だったが、両親は由紀さんが２歳のときに離婚。小学生のときに母親が再婚して、新しい父親との４人家族になった。義父は姉や由紀さんに優しく、由紀さんは義父のことが大好きだったと振り返る。

「本当の父親の記憶は一切なく、私の父親は義父ただ１人です。義父は私にも姉にも優しくて、大好きでした。義父は平日は仕事で遅くに帰ってくることが多くて、小さい頃は週末しか顔を合わすことはなかったのですが、前日がどんなに遅かったとしても週末は私たちと朝から遊んでくれました。母親は車の免許を持っていなかったので、父親の運転で家族で遠出することが毎週楽しみでしたね」

母親は再婚したことで仕事を辞めて専業主婦になっていた。お金にも余裕が出て、由紀さんと姉にさまざまな習い事をさせてくれたという。

「私はピアノと習字と英会話とダンスを習っていました。すべて同時期ではなく、習字と英会話はすぐにやめてしまいましたけどね。ピアノとダンスは発表会があって、父はその度にいつもいいところを褒めてくれて、母は下手なところをダメ出ししてきました。父の褒め言葉も嬉しかったんですが、いつもダメ出しする母親に褒められることが一番嬉しかったですね」

由紀さんと義父の関係は、離婚によって途切れてしまう。由紀さんは自らの意思で父親と会わないことを選択した。

「二度目の母の離婚は、私が高校生のときでした。その頃は家族で出かける機会も減っていて、反抗期が少し落ち着いたぐらいの時期で、そこまで親と仲良しという感じでもなかった。だから、母親から離婚後も義父に会いたいかと聞かれて、会いたくないと答えてしまいました。会いたいと言うと母親のことを傷つけてしまうと思ったし、血の繋がっていない私が会いたいということが義父の迷惑になるかもしれないと考えたからです」

【正社員になることが親孝行。次ページに続きます】