マネジメント課題解決のためのメディアプラットホーム「識学総研(https://souken.shikigaku.jp)」が、ビジネスの最前線の問題を解説するシリーズ。みなさんは、“マウンティング上司”をご存じでしょうか。今回は、マウンティング上司や理想の上司像について考察していきます。

はじめに

社内において、上司という立場を利用して、必要以上に部下へプレッシャーを与えて、自らがより優位に立とうとする“マウンティング上司”の存在が取り沙汰されています。では、“マウンティング上司”の行動とは何で、どのくらいの割合で職場に存在し、どんな上司なのでしょうか? また、一方で、理想の上司とはどんな上司で、マウンティング上司を少なくするにはどうしたらよいのかについてお伝えいたします。

約3割が職場にマウンティング上司はいると回答

株式会社識学は、2024年5月14日~5月15日に「“マウンティング上司”に関する調査」を行いました。

20代~50代の会社員に、部下にプレッシャーを与えて萎縮させ、自分が優位に立ちたいとする上司、いわゆる“マウンティング上司”がいるかどうかについて聞いたところ、30.8%の方が「いる」と回答しました。

次に、“マウンティング上司”の言動については、「過去の自慢をする」が54.7%と最も高く、「仕事が出来ることを自慢する」(42.7)%、「過去の苦労話をする」(41.7%)、「意見させてもらえない」(41.0%)と続きました。

出典:株式会社識学“マウンティング上司”に関する調査

また、“マウンティング上司”がいるグループのパフォーマンスについては、「高くなると思う」(やや高くなると思うとの合計)はわずか16.7%で、83.3%の方が「低くなると思う」(やや低くなると思うとの合計)という結果でした。

つまり、職場には3割以上“マウンティング上司”がいて、その性年代の内訳を見ると、「男性」が82.3%と圧倒的に高く、最も多い年齢は「50代」の47.0%です。

また、行動パターンについては、1位の「過去の自慢をする」は5割を超え、2位「仕事が出来ることを自慢する」、3位「過去の苦労話をする」は共に4割を超えています。総じて“過去の自分”を上にして“自慢話”することを部下側は煩わしく思っているようです。そして、当然ではありますが、そんな上司がいるグループでは、8割以上がパフォーマンスは低くなるとしています。

理想の上司の条件とは?

同調査では、理想の上司についても聞いています。

出典:株式会社識学“マウンティング上司”に関する調査

結論から申し上げますと、理想の上司を育成するためには「環境整備と社員教育」が必要です。

〇環境整備の問題(評価制度・管理方法)
1位は「正しく評価してくれる」(63.7%)→ 求める成果(役割責任)で評価の仕組み
2位は「仕事の割り振りが適切」(48.3%)→ 役割責任(求める成果)で管理の仕組み

〇社員教育の問題(コミュニケーション)
3位は「仕事をサポートしてくれる」(42.7%)→ 必要に応じて、権限を与えるように教育
4位は「部下の成長を考えてくれる」(41.3%)→ 適切なフィードバックをするように教育
5位は「話しやすい」(40.3%) → 正しいコミュニケーションの仕方を教育

つまり、「環境整備(評価制度と週次管理の仕組み作り)」と「社員教育(上司部下間で正しいコミュニケーション)」が必要です。

人は環境の生き物ですから、会社という環境がマウンティング上司も理想の上司も誕生させているということです。大きな責任(3か月=KGI)」は評価制度で正しく評価して、管理は「小さな責任(1週間=KPI)」で、週次管理するための正しいコミュニケーションを教育することが必要です。

マウンティング上司を少なくするには

“マウンティング上司”がいるグループの「パフォーマンスが低くなる理由」に多く挙げられていたのが、“コミュニケーション”の大切さでした。そのコミュニケーションの認識に問題があるようです。

コミュニケーションの問題とは

(1)コミュニケーションありきではない!

上司部下間で価値観が異なるため、お互いの認識がズレないように共通のルールを明確にしておくことです。

例えば、「家族というコミュニティ」でも夫婦間で認識がズレて、塵も積もれば山となってストレスが溜まり、夫婦喧嘩が起こります。多様性の世の中ですから、「会社というコミュニティ(価値観が大きく異なる人が複数共存する環境)」では、従業員が多くのストレスを感じていることは容易に想像できます。よって、ルールによる組織運営を前提とし、上司部下間で認識がズレた部分をコミュニケーションで埋めていくというやり方であり、コミュニケーションは最後の組織内作業です。

(2)正しいコミュニケーションとは?

大前提として、会社は糧を得るコミュニティです。つまり、従業員は給料を稼ぐコミュニティであるため、「会社で求められる成果(役割責任)」を「会社のルールに則って創意工夫して達成する」ことを求められます。そのため、「責任を果たすための正しいコミュニケーション(上司→部下、部下→上司)」を学ぶ必要があります。

特に大切なのが、週次ミーティング(進捗確認の場)です。上司は部下に目標と結果の不足を明確にして、自責で捉えさせて、上司が部下の言い訳を取り除くため「何が足りないの?(時間、人数、スキルなど)、「何があればできる?(言い訳を消してあげるには?)」を丁寧に行うことです。また、上司が自分で決められない場合は、自分の上司に権限上申をして、部下の言い訳を取ることに集中することです。このコミュニケーションが、上司と部下の心理的安全性を実現して、真の信頼関係を構築します。

まとめ

職場には3割以上“マウンティング上司”がいて、総じて“過去の自分”を上にして“自慢話”をしています。

理想の上司に必要なことは2つ、「環境整備(評価制度と週次管理の仕組み作り)」と「社員教育(上司部下間で正しいコミュニケーション)」を行います。

コミュニケーションありきではなく、上司部下で価値観が異なるため、ルールによる組織運営を前提とし、認識のズレをコミュニケーションで埋めます。

上司は部下に「何が足りないの?(時間、人数、スキルなど)」、「何があればできる?(言い訳を消してあげるには?)」を行うことが週次会議です。

部下が成長し、求める成果を果たすプロセスによって、結果として部下が上司をリスペクトするようになります。

識学総研:https://souken.shikigaku.jp
株式会社識学:https://corp.shikigaku.jp/

 

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