NISA(少額投資非課税制度)で、資産運用しているのに課税されることがあるということをご存じでしょうか? 資産運用には、投資元本の「値上がり益」を得る「キャピタルゲイン」投資と、株式の配当金や投資信託の分配金のように、定期的な「現金収入」を得る「インカムゲイン」投資があります。

NISAを活用する場合においてどちらも選択できますが、「インカムゲイン」投資のうち「配当金」収入を目的とした株式投資をする場合には、ケースによっては課税されることもあるので気をつけましょう。

100歳社会を笑顔で過ごすためのライフプラン、ライフブック®(https://www.smilelife-project.com/)を提唱する、ファイナンシャルプランナー・藤原未来がわかりやすく解説します。

目次
NISAの配当金とは
NISAの配当金に税金はかかる?
NISAの配当金の受け取り方法
まとめ

NISAの配当金とは

NISAの配当金といえば、株式投資による配当金のことになります。株式投資といえば、いわゆる元本の値上がり益をねらう「キャピタルゲイン」投資が主流だと思われますが、一方で毎年定期的に配当金を受け取れることのメリットを重視する「インカムゲイン」投資を目的にしている方も少なくありません。

最近では、株主への配当を重視した経営をする企業も増えてきていることから、安定的な配当を受け取ることができる銘柄を選んで、定期的な「現金収入」を楽しむこともできるようになってきています。

また、投資信託のなかにも、定期的な分配金を支払うファンドがあります。株式の配当金と似ていますが、株式の配当金はあくまでも利益の還元であるのに対し、投資信託の分配金はそのファンドの運用収益以上の分配が行なわれることもあります。その場合は、いわゆる「元本の取崩し」が行なわれていることになりますので、その部分については当然税金はかかりません。

NISAの配当金に税金はかかる?

NISA口座において投資をした結果、「キャピタルゲイン」や「インカムゲイン」を得た場合に、それらの利益については原則非課税扱いとなります。株式や投資信託の売却益や配当金、分配金に対して通常20.315%の所得税が課税されるところ、無税となるのがNISAの最大のメリットです。

ところが、株式の配当金に関しては、その受け取り方法によっては、配当金に税金がかかることがあるので注意を払う必要があります。

また、去年までの旧NISA制度を使って投資をしている場合には、配当金の受け取るタイミングによっても課税されてしまうことがあります。旧NISA制度の「一般NISA」では、非課税期間が5年間と決まっていて、5年が過ぎると特定口座など課税口座に移換されて、その後の運用益については課税の対象となります。株式の配当金の「支払日」が非課税期間を超えてしまった場合には、その配当金については課税されてしまうのです。

このように、せっかくNISAを使って投資をしていても配当金の受け取り方法や、受け取るタイミングによっては節税メリットを享受できないことになり、とてももったいないことになってしまうのです。

ちなみに、株式の配当金に似たものとして投資信託の分配金がありますが、こちらについてはNISAにおいて受け取ったものはすべて非課税扱いになります。

NISAの配当金の受け取り方法

株式の配当金の受け取り方法には、以下の4つの方法があります。

1.配当金領収証方式
2.登録配当金受領口座方式
3.個別銘柄指定方式
4.株式数比例配分方式

このうち、NISAにおいて配当金を非課税で受け取れるのは、4の「株式数比例配分方式」だけです。それぞれの受け取り方法は、以下の通りです。

1.配当金領収証方式
ゆうちょ銀行や郵便局で領収証と引き換えに、配当金を現金で受け取る方式

2.登録配当金受領口座方式
保有する全ての株式の配当金を、指定した一つの銀行預金口座で受領する方式

3.個別銘柄指定方式
銘柄ごとに指定した銀行預金口座で、配当金を受領する方式

4.株式数比例配分方式
保有する全ての株式の配当金を、証券会社の口座で受領する方式

繰り返しになりますが、上記1~3の方式を選んでいる場合は、受け取る配当金は課税対象となり所得税が課せられるので注意が必要です。自分がどの受け取り方法を選んでいるかを、今一度確認しておきましょう。

なお、1~3の方式により配当金等を受け取った場合は、確定申告をする義務はありませんが、確定申告を行なうことにより総合課税を選択して配当控除の適用を受けたり、申告分離課税を選択して特定口座や一般口座で保有する上場株式等の譲渡損失との損益通算や繰越控除をすることができます。税理士など専門家に相談して、少しでも有利な方法をアドバイスしてもらうと良いでしょう。

まとめ

今回は、NISAの「配当金」についてみてきましたが、いかがだったでしょうか? NISA口座で得た運用益は原則非課税扱いですが、株式の配当金についてはその受け取り方法によっては課税対象となるので気をつける必要があります。NISA制度の非課税メリットを最大限に利用して、効率よく将来のための資金作りをしていきたいものです。

NISAは、資産運用する人にとって必須アイテムと言えますが、投資にはリスクがあります。ルールを理解した上で、非課税のメリットを生かすために上手にNISAを活用していきましょう。

資産運用や投資のアドバイスは、今や銀行などの金融機関の窓口でもさかんに行なわれています。同時に、インターネット上でもYouTubeやSNSを通じて色々な人がそれぞれの立場から投資術などを発信しています。しかし、それらのアドバイスは本当にあなた自身に適したものなのでしょうか? 

さまざまな金融商品が出回っている世の中だけに、あなたの味方になって守ってくれる相談相手を持つことが必要な時代になっています。

●取材協力/藤原未来(ふじわらみき)

株式会社SMILELIFE project 代表取締役、1級ファイナンシャルプランニング技能士。2017年9月株式会社SMILELIFE projectを設立。100歳社会の到来を前提とした個人向けトータルライフプランニングサービス「LIFEBOOK®サービス」をスタート。米国モデルをベースとした最先端のFPノウハウとアドバイザートレーニングプログラムを用い、金融・保険商品を販売しないコンサルティングフィーに特化した独立フランチャイズアドバイザー制度を確立することにより、「日本人の新しい働き方、新しい生き方」をプロデュースすることを事業の目的とする。
問い合わせ先:03-6403-5390(株式会社SMILELIFE project)

株式会社SMILELIFE project(https://www.smilelife-project.com

●編集/京都メディアライン(HP:https://kyotomedialine.com FB

 

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