『サライ』の有料会員制オンラインサロン「Bar駱駝(バーらくだ)」。お酒をテーマに、新しい世界や人々と出会い、教養や知識を深めていくというオンラインでのコミュニティです。毎月開催されるオンライン講習会での豪華講師陣も『サライ』ならでは。

4回目に登壇したのは、日本におけるクラフトジンの第一人者、三浦武明さん。オランダで生まれた蒸留酒・ジン。その文化が花開いたのは、18世紀のイギリスです。英国文化の注目が高まる今、ジンを愉しむための知識について、三浦さんに伺いました。

サライ世代にとって、ジンと言えばカクテルの王様・マティーニで使うお酒というイメージが強いです。英国スパイ映画『007』シリーズの主人公、ジェームス・ボンドも好んだお酒。このカクテルで、ジンの独特な風味を知った人も多いのではないでしょうか。

「Bar駱駝」の詳細はこちらの「Bar駱駝」会員募集(https://bar-rakuda.serai.jp)をご覧ください。

「ジンフェスティバル東京」主宰 三浦武明(みうら・たけあき)さん
カルチャー×飲食店のムーブメント、カフェブームを牽引。2005年に独立。2018年からアジア最大規模のジンの祭典「ジンフェスティバル東京」を主宰。2022年には自ら手掛けるジンブランド「Distiller M」をリリースした。www.distiller-m.com 経営するレストラン「TOKYO FAMILY RESTAURANT」(渋谷)で世界の料理と800種類以上のジンを提供している。

――最近、英国ブームが起こっています。それと同時に、英国の酒・ジンも注目されるようになりました。そもそも、ジンとはどんなお酒なのでしょうか。

ジンというお酒は、農作物由来のスピリッツをベースに、芳香成分を抽出するためのボタニカル(草根木皮)を加えて再蒸留させて作ります。「香り付けしたスピリッツ」というとわかりやすいでしょうか。使用するボタニカルがジン独特の個性を生み出します。香りのもととなるボタニカルを、どれをどの配合で使うか、銘柄によって異なりますが、どんなジンでも「ジュニパーベリー」が使われます。これはヒノキ科の植物の球果で、針葉樹特有の清涼感、甘みとウッディーさがあり、ほのかな苦みが特徴。これをベースにアレンジしていくのです。

私があらためてジンに注目したのは2010年前後なのですが、欧米諸国では、酒造メーカーや蒸留所が、それまで培ってきたノウハウを使い、その土地ならではのジンを作り始めました。

ローカリズムの再考、たった10年余りでジンは世界で最も多くの国と地域で造られる蒸留酒となり、風土の特徴を封じ込めた魅力的なジンが多数登場しています。

例えば、ローズマリーやオリーブを使用したスペインのジン、野生のベリーを使用した北欧のジン、ハチミツを使用したアメリカのジンなど、同じジンでも千差万別。まさに「その土地ならではの香り」を味わうお酒なのです。

三浦さんがセレクトしたジン。左から、「BUCKINGHAM PALACE DRY GIN」(ロンドンクラフトジン)、「424 GIN ClASSIC BOTANICALS」(ジャパニーズクラフトジン)、「JAPANESE CRAFT GIN ORI-GIN 1848」(ロンドン・クラフトジン)、「KI NO TEA KYOTO DRY GIN」(ジャパニーズクラフトジン)

――旅行に行けないときは、その地域のジンを味わう。そうすれば、その土地の文化を知ることにもつながる。まさに、風景が広がるようなフレーバーだから、ここ数年の渡航制限期に爆発的なブームになったことも納得です。それと同時に、国産のジンも増えていると感じます。そんな小規模生産の「クラフトジン」の中には、入手困難なものもあると聞きました。

日本には、焼酎や日本酒、ワイナリーなどもあり、酒蔵の数は3000件近くあります。伝統的な蔵元が、その技術を生かしてクラフトジン造りに取り組みはじめるところは多いです。

この動きは、2012年の政策「國酒プロジェクト」の後押しも影響しています。これは日本酒や焼酎を国の酒「國酒」として、国内外の流通拡大を図るプロジェクトです。

国産のクラフトジンが使用するのは、和のハーブ……例えば、山椒、ショウガ、ユズなどの柑橘類、梅、すもも、シソやヨモギなど。菖蒲やクマザサ、黒文字(クスノキ科の香木)などを使用しているものもあります。ジンはもともと薬用としての効果が期待されていた面もあるのですが、最近、富山県の薬メーカーがジン造りに着手したという話を聞き、とても楽しみにしています。

それぞれの地域の素材の香りを楽しめる日本のジンには、海外産にはない魅力があります。先祖代々この国に住み、文化に親しんできた私たち。「○○県産ですよ」などと言われて飲むと、「あ、なんとなくわかる」と感じる人も多いでしょう。口に含むと、その風景が浮かんでくるような感覚がある人もいますよ。まさに地元の味なんですね。だから、造り手さんたちもその価値についてよく考えています。

土地の素材を使い、何を表現したいかを明確にして、香りの設計をしているものもあります。「土地の人に楽しんでもらおう」「来てくださった方に味わっていただこう」と、その土地でしか味わえないものもあります。

Bar駱駝のオンライントークイベントでの風景。背景に並んだ数百種類のジンは、世界で指折りの数を誇る。

その土地の文化とともに味わう、クラフトジンの世界

ジンは規定や製造の自由度が高いのも魅力です。だからこそ、土地、造り手の個性が出るわけです。とても自由で実験的なお酒なんですね。

ジンの奥深い世界を知るにつれ、とうとう私自身が蒸留所を持つことになりました。新しい技術を導入したオリジナルの蒸留器で様々な実験を行い、自由でイノベーティブなジンの魅力を深め、広めていきたいです。

ジンは造り手と飲み手の距離が近いのも魅力です。それそれのジンに込められた、様々な想いやストーリーとともに楽しんでいただけたらと思います。

経営するレストラン「TOKYO FAMILY RESTAURANT」には、ジンの蒸留所がある。オリジナルの蒸留器で理想のジンを追い求める

「三浦武明さんのジントーク」ダイジェスト動画

10月の「Bar駱駝」入会/継続特典として、白百合醸造のワン「ロリアン 甲州 Vigne de Nakagawa 2021」をプレゼント!

10月に「Bar駱駝」にご入会、または、会員のご継続をしてくださった方に、白百合醸造の「ロリアン 甲州 Vigne de Nakagawa 2021」をプレゼントいたします。

白百合醸造「ロリアン 甲州 Vigne de Nakagawa 2021」(750mL)。日本ワインコンクール 2022 甲州部門 銀賞受賞。山梨県笛吹市のぶどう農家が丹精込めて育てた甲州を限定醸造。フレッシュな和柑橘と白い花を連想させる甘い香りにさわやかな酸と甲州特有の心地良い苦みが、ワインに深みと味わいをもたらします。
白百合醸造株式会社ウェブサイト:https://shirayuriwine.com/

10月26日開催! オンライントークショー「山岡秀雄さんのウイスキートーク」のウイスキー試飲キット完売御礼。

「Bar駱駝」では、サロン会員限定でお酒にまつわる特別なイベントに参加することができます。そのうちの1つ、毎月末にゲスト講師によるオンライン講演会を開催します。

10月26日(水)開催のオンライントークショーのゲスト講師は、世界的なウイスキージャーナリスト・山岡秀雄さん。山岡さんが厳選したウイスキーやボトル制作の背景をお話しいただきました。

この機会にぜひ、Bar駱駝のイベントをぜひご体験ください。

『サライ』オンラインサロン「Bar駱駝」会員募集中!

『サライ』オンラインサロン「Bar駱駝」会員募集の詳しい情報は、以下のページへアクセスしてください。
https://bar-rakuda.serai.jp

取材/前川亜紀 写真/一瀬立子 

 

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