「腹落ち」しない部下に仕事をさせる方法
仕事に対して、しっかりと納得、つまり「腹落ち」させれば、部下はその力を遺憾なく発揮してくれる、そう思う上司は多いことだろう。だが、リーダーシップとマネジメントに悩む、マネジメント課題解決のためのメディアプラットホーム「識学総研」では、それは大いなる誤解だと説く。「腹落ち」と部下の育成について、知見を得よう。

* * *

社員が“納得”するかどうかは関係ない、“経験させる育成”が重要なワケ

どの会社でも、社員の人材育成には頭を悩ませます。多くの社長や管理者は、人材育成のための専門的な教育を受けたわけではないので、自分の個人的な経験則や本で読んだり人から聞いたりした話を基にして、自分なりの「人材育成論」を持っているものです。

最近よく目にするのは、「腹落ち」という言葉です。ビジネスにおいては業務の目的や組織の目標を、社員が心から納得できる形で伝えることで、社員は自分の持てる力を発揮できると考えられています。

しかし、実際のところ納得させたとしても、社員が変化し成長できるわけではありません。最も重要なのは「納得・理解」ではなく「経験」です。経験するからこそ、目的を本質的に理解することができます。

今回は、人材育成における「納得」の勘違いと経験の重要性について説明します。

行動前の「腹落ち」重視は筋違い

「どうして今この業務に取り組まないといけないかをしっかり説明しています。そうすることで前向きに取り組むことができるからです。」

何か業務を任せる前に、その目的を「腹落ち」させることが大事…という風潮もありますが、これは筋違いといわざるを得ません。そもそも、経験がない状態で本質を理解することは出来ないのです。
例えば、これまでの人生を振り返って、学校の先生、部活のコーチ、上司の言っていることがそのときはわからなくても、その後「わかった」となった経験はないでしょうか。そして、そのように変化したのは「何らかの経験」をしたからではなかったでしょうか。

つまり、人が“本質的に理解し、自らも変わる”ためには、必ず経験が必要となります。
ところが、しっかりと目的や意図を理解することで、人は変わるという勘違いをしてしまっているのです。

人は経験しないと真に理解できない

繰り返しとなりますが、そもそも、本当の意味で「理解した」と思えるのは、何かしらの経験をしてからです。

この前提で考えると“育成”という観点でも注意が必要です。

–論理的思考を身につけるために、本を読んだ。
–フレームワーク思考を身につけさせるために研修を企画した。

その他、自己啓発などの研修も踏まえて、いろいろな人の話を聞いて勉強をするという行為そのものだけでは、本質的に理解し、変わるということはできないのです。

もちろん、研修や上司から聞いた話が過去の経験と合致し、本質的な理解と変化が訪れる事はあります。しかし、順番はどうであれば、経験が必須であるということは変わりません。

だから、上司は部下に経験を積んでもらう事を優先させなければいけません。与えた業務の意味をよく理解していなかったとしても、強制的にでも経験させなければいけません。なぜなら、それが、理解させるための唯一の方法論です。経験させる前に理解させようと必死になっても、無駄な時間と労力をかけているだけなのです。

強制的にでも経験させるが、迷わせてはいけない

「とにかくやりなさい」と強制することは、間違いではありません。しかしながら、求められる結果を理解していない中で、先ほどの発言をすると、経験する前に迷ってしまうでしょう。したがって、上司や管理者は、部下が“結果”を理解できているというレベルでゴールを設定する必要があります。そして、それを「できた/できていない」という評価を行います。これを繰り返すと、それが部下の経験となり、そして、本質的に理解し、変化・成長していくのです。

覚悟を持って強制すること

補足すると、インプットする行為が無駄だと言いたいわけではありません。研修や上司の話は貴重な財産となる可能性もあります。しかし、研修を受けて、上司からの話を聞いて、「自分は変わった。明日から頑張ろう」と思っても、それが長続きしない…このような経験は、上司や管理職も数多く見聞きしてきているはずです。なぜ長続きしないかといえば、経験していないからです。

理解するのは、最初ではなく最後です。「理解→経験→評価」ではなく、「経験→評価→理解」の順番なのです。

部下の「納得」という免罪符に頼ることなく、部下に経験を強制してください。まずは経験させることからはじめないと、部下を変化・成長させることはできないと肝に銘じておきましょう。

* * *

いかがだっただろうか。仕事を行うまえに「腹落ち」させるのではなく、経験させることによって学びを得ることが部下の育成につながる、ということがおわかりいただけただろうか。

 

引用:識学総研 https://souken.shikigaku.jp/

 

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