構成・文/山津京子
佐世保市内に点在する、迫力満点の遺構27群
2019年7月発行の『サライ8月号』では「佐世保鎮守府」関連の日本遺産を紹介しました。鎮守府開庁から130年を迎える現在、佐世保には「旧佐世保無線電信所」や「無窮洞」など、迫力満点の遺構が27群あります。
これら佐世保の歴史遺産を訪ねるなら、佐世保観光コンベンション協会が主催する観光ツアー「海軍さんの散歩道 徒歩ツアー」がおすすめです。
海上自衛隊OBの解説を聞きながら、市内にあるスポットを約3時間半で手ごろにまわれるだけでなく、ツアーに参加した人だけが訪れることができる必見スポットも含まれています。
それでは同ツアーの概要を紹介しましょう。
「旧佐世保鎮守府凱旋記念館」からスタート!
ツアーは午前9時20分に、市民文化ホールとなっている「旧佐世保鎮守府凱旋記念館」に集合してスタートします。
第一次世界大戦の凱旋記念として、大正12年(1923)に建てられたというこの建物は、佐世保鎮守府管下の12県から寄せられた寄付で作られました。その建設予算は、当時の金額で8万6000円。現在の価値で、なんと11億円にもなります。
建物は、海軍関連の催しに使われていましたが、第二次世界大戦の敗戦後、米軍に接収され、米軍の遊興施設として使用されていました。しかし、その後昭和52年(1977)に返還され、現在は佐世保の市民文化ホールとして再生しています。室内見学も可能で、創建当時の舞台もそのまま残されています。
重厚感のある外観とは対照的に、白で統一された室内は優雅な雰囲気。柱や壁には所々に装飾が施されています。
ツアー参加者だけが見学できる「防空指揮所跡」は必見のスポット!
ツアーでは、日本海軍や海上自衛隊の史料が詰まった「海上自衛隊佐世保史料館」や、旧海軍時代の「下士官集会所跡碑」などを見学します。
海上自衛隊OBの案内は、現役時代のエピソードも交えながらのもので興味深く、鎮守府が置かれていた当時の佐世保のイメージを彷彿とさせてくれます。
ツアーの圧巻は、ふだんは一般の立ち入りができない海上自衛隊佐世保総監部敷地内にある地下壕「防空指揮所跡」の見学です。
地下2階建て、700㎡の広大な空間には、高い天井と装飾性のある柱が並ぶ立派な作戦室のほかに、エアコンや水洗トイレまでが備えられています。
その壮大さからは、小中学生が手彫りした防空壕「無窮洞」を見学したときとは、また違った感慨がありました。
最後は「くらま食堂」で鎮守府カレーに舌鼓
迫力満点のこの地下空間を見学したあとは、敷地内にある「くらま食堂」での楽しいランチが待っています。
「くらま食堂」は、引退した護衛艦「くらま」の船内を再現した食堂で、現役の自衛官たちも利用しています。その特別な食堂で、このツアー参加者だけしか食べることができない「佐世保鎮守府カレー」をいただきます。
カレーの盛られている食器は、実際に護衛艦「くらま」で使用されていたものだとか。カレーはよく煮込まれていて、なめらかな味わいでした。
「くらま食堂」のある施設内には、自衛隊グッズやオリジナルのスイーツなども買える売店があり、お土産を購入することもできます。
さて、ランチを食べたら海兵団庁舎へ向かい、そこでツアーは解散となります。この内容で、1人2400円(ガイド料・昼食・保険含む)とは、お値打ちでしょう!?
佐世保の興味深い観光ツアーいろいろ
佐世保観光コンベンション協会が主催する観光ツアーは、ほかにもいろいろあります。
船に乗って佐世保港を巡りながら、日本遺産の佐世保重工業のドックや、停泊する海上自衛隊や米海軍の艦艇を間近に観ることができる「SASEBO軍港クルーズ」。佐世保の街をエスコートしてくれる「SASEBO港まち歩き」や「SASEBOナイトツアー」などは、時間がさほどかからずに料金も手ごろ。
また、「海軍さんの散歩道 バスツアー」は、約6時間でひとり6600円ですが、ツアー内で「SASEBO軍港クルーズ」もいっしょに体験できます。
佐世保を初めて訪れるなら、気になるツアーに参加してみてはいかがでしょうか。地元の観光ツアーだからこそ行けるスポットや、人との出会いがあるかもしれませんよ。
なお、今回紹介したツアーは、催行日が限られており、事前予約が必要です。興味のある方は、下記のサイトで確認してください。
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https://www.sasebo99.com/
写真/松隈直樹(クレジット表記なしのもの)
構成・文/山津京子