文・アンヌ遙香

小樽といえば海外からの観光客の方からも大人気の観光スポット。有名すぎる運河に、海鮮に、スイーツに、水族館に、坂が印象的なレトロな景観の数々。

道民の私でさえも、小樽にはワクワクしてしまいます。

実は小樽は私が生活する札幌とはまた違った歴史を有し、江戸時代からニシン漁などで栄えた物流拠点であったという史実があります。

小樽の数々の寺院もその歴史とともに歩んできた重みがあり、まるで奈良や京都の古刹のような重厚感があるのが特徴といえるでしょう。

小樽・天上寺。春は桜、秋は紅葉の、知る人ぞ知る名所であり、最近ではそのライトアップで多くの人の注目を集めるなど先進的な試みもされている浄土宗の寺院です。

私がメインMCを務める『どさんこWEEKEND』のロケで先日お邪魔しましたが、実は私ずーっとお邪魔したいと願っていたのです。

何故なら「アフロ仏さま」がいらっしゃるから!

見上げんばかりのすばらしい山門をくぐり、緑豊かな木々(これらが季節によっては桜になり、紅葉をみせたりととにかくフォトジェニック!)に囲まれた参道をまっすぐ進めば、そこには頭がもくもくしているのが目を引く「アフロヘアー」の石仏が鎮座しています。

どことなく幼さを感じさせる独特の表情がたまらない…。

こちらの正式名称は五劫思惟阿弥陀如来坐像。

京都の金戒光明寺にも同じく石仏の「アフロ仏」がいらっしゃり「かわいい」と有名ですが、そもそもなぜこの髪形かというときちんと理由があるのです。

「五劫」とは「気の遠くなるくらい長い期間」を指します。

そのような考えられないくらいながーい時間、思惟をこらし修行をされた結果、髪の毛が伸びて渦高く螺髪(頭髪)を積み重ねた頭となられた様子を表したのが五劫思惟阿弥陀仏。

どうやら全国でも数えるほどしかみられないという珍しい仏像さんだそう。

ちなみに落語の「寿限無寿限無、五劫のすりきれ」はここからきているわけですが、どことなく愛らしい見た目のこの「アフロ仏」さんは、私たちのためにこのような髪の毛になっている…きちんと意味があるのです。

ありがたいと思いつつも、なんだか眺めているだけで、やっぱりほっこり。

人気なようで、アフロ仏様の「クリアーお守り」が寺院内にて販売されています。

写真映えもするこのクリアデザイン。心憎い!

こちらのお寺さんはなんと申し訳ないことに「拝観料」は無料。ぜひお守りなどを購入して、素敵な境内を散策させていただけることに感謝の気持ちをお伝えくださいね。

アフロ仏さんにご挨拶をしたあとは堂内へ。

実はこちらのお寺、素晴らしすぎる「等身大仏像」「飛び出してくるレリーフ曼荼羅」などまさしく「仏像ワンダーランド」なのです。

まずは北海道にゆかりのある仏師の桜庭裕介氏による「半跏地蔵菩薩」。

半跏スタイルといえば片足を組んで座るスタイル。半跏思惟といえば弥勒菩薩などがまずイメージとして一般的かもしれませんが、こちらは非常に珍しいお地蔵様の半跏スタイル。

おだやかに思索にふけっているであろう表情には惹きつけられます。

そしてびっくりするぐらいに近くで拝観させていただけることに驚き。

見どころはこのお地蔵さまの足の裏。

つるっと、まるでこどものような足の裏には、神聖さのなかに無垢な純粋さ、圧倒的な柔らかさのようなものを感じさせる不思議な魅力が。

ぜひ間近でご覧になっていただきたい。それが許される、拝観者を信頼してくださる距離の近さも魅力です。

そして、立体的な木彫レリーフで表現された浄土曼荼羅の迫力にも圧倒されること間違いなし。

阿弥陀如来の西方極楽浄土のあり様を『観無量寿経』に基づき具現化したもの。お浄土の美しさ、喜び、そして有り難さを視覚で鮮明に伝えてくれるというものです。

曼荼羅といえば絵画の形式をとるもの、京都東寺の立体曼荼羅のように実際の仏像を配置して表現するものなどさまざまかと思いますが、このように木彫の壁から浮き出てくる形式の曼荼羅は、私も初めてお目にかかった次第。

細かな描写、遠近法を駆使した奥深い表現、光と影のおりなすまさしくアートのよう。見上げる大迫力の大きさにも、本物のもつパワーに気圧(けお)されること間違いなし。

実はライトアップイベントの際にはこちらの浄土曼荼羅もライトアップされ、拝観者をうならせたそう。

これはぜひ見たい!

ライトアップ企画に関してはぜひインスタグラムなどをチェックしてくださいね。

そのあとは階段をのぼり、本堂へ。およそ2.1メートルの座像であるご本尊の阿弥陀如来さまにもご挨拶を忘れずに。

隣に立つのはSTV明石英一郎アナウンサーです。

脇侍には観音菩薩と勢至菩薩。大本山増上寺より招来したと伝わる重厚な内陣にも見どころがたくさん。ちなみに本堂は明治23年に移転の上新築されたもの。

大正3年に現在地へ移転改築しており、現在の本堂は130年前に建てられたものとなります。外側からも内側からもしっかり拝見するのをお忘れなく。

小樽観光の際には、ぜひこの歴史ある天上寺に足を運ばれてみては?

アンヌ 遙香(あんぬ・はるか)
元TBSアナウンサー。現在は故郷北海道を拠点に、フリーアナウンサー、文筆家として活動。STV「どさんこweekend」メインMCなど。北海道大学大学院博士後期課程にて日本映画におけるジェンダー表象を研究中。
Instagram:@aromatherapyanne

 

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