日本のクラシカルなホテル５選｜名門ホテルで特別な時間を過ごす 

明治から昭和にかけて、華やかな西洋文化と日本の伝統文化が融合した個性的なホテルが多く誕生しました。歴史的な建築文化とホテルマンのおもてなしが、100年を越えた今も幾多の苦難を乗り超え、受け継がれています。歴史のある場所でしか味わえない魅力を体験してみませんか。今回、ご紹介するのは「日本のクラシカルなホテル５選」です。

日本を代表する貴重な建築・文化財としても価値のあるホテルばかりなので、ぜひご探訪ください。快適で贅沢な時間を過ごせるホテルや旅館を厳選して取り扱う宿泊サイト「⼀休.com」に掲載されているホテルの中から、⼤⼈の贅を知り尽くしたサライ.jp 読者におすすめしたい「日本のクラシカルなホテル５選」を厳選しました。

宿泊したいホテルを⾒つけたら、＜⼀休ボタン＞をクリックしてください。「⼀休.com」でWeb予約が可能です。

1：奈良ホテル

創業100余年の歴史と伝統を誇る『奈良ホテル』は、関西を代表するクラシックホテルの一つです。明治42年（1909）に「関西の迎賓館」として奈良に創業。平安時代から江戸時代に栄えた門跡寺院のひとつ「旧大乗院庭園」の敷地内の一部が、ホテルになっています。

本館は、建築家・辰野金吾氏設計による瓦屋根の桃山御殿風檜造りの木造建築です。創業以来、受け継がれてきた明治・大正時代のクラシカルな華やぎに包まれる館内は、まるで宮殿のようです。威風堂々とした佇まいと館内にほどこされている桃山風の豪奢・華麗な意匠により、重厚感溢れる和洋折衷の美しい佇まいが魅力的なホテルです。

▷築100年を越える木造建築で、悠久のひとときを体感

日本近代建築の父と言われ、東京駅や日本銀行本店などを手掛けた建築家・辰野金吾氏設計による本館は、随所に創業時のマントルピース（暖炉の装飾）が残り、調度品は当時の優雅さを今に伝えます。１階から２階には62室の客室があり、奈良公園側に面したパークサイドと中庭サイドがあるので、何度でも通いたくなります。

粋をこらした明治建築の美があふれるフロントロビーには、日本画家・上村松園の作品なども。隅々にまで歴史と伝統を感じ、ノスタルジックで贅沢なくつろぎの時間が流れます。

▷この宿ならではの魅⼒

館内をめぐると、明治大正時代にタイムスリップしたかのようです。例えば、レストランの高い格天井に吊らされたクラシカルなシャンデリアの優しい光、壁に飾られた名画や調度品は、見どころの一つです。

また、お部屋は新館も本館も天井が高くゆったりとして、マントルピースがしつらえられています。歴史ある建物の重厚さとともに、大和文化の華やかさと落ち着きを感じる部屋にいると、古都・奈良の歴史の豊かさに気づかされます。額縁の中におさまる絵のような窓の外の景色を眺めながら、クラシックホテルに泊まる醍醐味を味わえます。

問い合わせ先
IN 15:00～23:00
OUT 11:00
室数 全127室
ペット 不可
お子様 可
TEL／0742-26-3300
住所／奈良県奈良市高畑町1096番地

おすすめのプランは、「【夕食朝食付】奈良ならではの飛鳥鍋御膳を堪能プラン～Dinner＆stay～」2名で税込 38,000円～。

２：長楽館　

京都の円山公園内にある『長楽館』は、明治という時代を象徴する洋館で、京都市指定有形文化財にも指定されているホテルです。明治42年（1909）に煙草王・村井吉兵衛が建てた迎賓館でした。国内外の偉人や、各国の皇族・大使などの人物が集い、優雅で華やかな時間が流れていた場所です。ロココ調のＳ字椅子やメープル製の洗面台など、建物と同じく京都市指定有形文化財の家具調度品が、今もなお空間に溶け込み、華麗な歴史の面影を残しています。

お部屋は６室。無垢の木材をふんだんに用いた室内には、本物の薪の炎がゆらぐ暖炉のしつらえも。邸宅のような佇まいの中で、静かな大人のくつろぎ時間をどうぞ。

▷宿泊客だけが特別に見学できる非公開の部屋

建築当時は、和と洋は別棟で併存させるのが一般的でしたが、長楽館には洋館の中に和室を組み込んだ「御成の間」があります。通常は非公開ですが、宿泊客は特別に見学できます。貸切等で見学できない場合があるので、詳しくはお問い合わせください。

宿泊ゲスト専用のライブラリーが併設されたラウンジもあり、ゆっくりできます。無垢の木の家具に囲まれた落ち着きのある空間でコーヒータイムをどうぞ。京都本のほか、洋館、料理、美術関係の本、ＣＤやＤＶＤが用意されており、部屋で楽しむことができます。食事は美食を追求した１階のフレンチレストランへ。明治の洋館植物文様のレリーフや豪華なバカラのシャンデリアなど重厚なしつらえの中で、豊かな気持ちになります。

▷この宿ならではの魅⼒

長楽館の魅力は円山公園内という立地です。円山公園は７代目小川治兵衛が大正2年（1913）に祇園の街中に作庭した、広さ約９万平方メートルの回遊式庭園です。長楽館から一歩出れば、有名な「円山公園のしだれ桜」が目の前にあります。八坂神社へと続く園内を散策するのがおすすめです。

有名な社寺や京都の文化を支える老舗が数多く並び、エリア全体があたかも美術館であり博物館を訪ねているような、京都らしさを体感できます。京都の文化を身近に感じられる祇園や先斗町にも近いので、観光にも便利です。

問い合わせ先
IN 15:00～21:00
OUT 12:00
室数 全６室
ペット 不可
お子様 不可
TEL／075-561-0001 （※20:00～翌朝9:00のホテル専用夜間電話番号：075-561-0010）
住所／京都府京都市東山区八坂鳥居前東入円山町604

おすすめのプランは、「【一休限定】 【セレクションセール】＜10％OFF＞【2食付】～長楽館本館にてフレンチディナーと朝食を～」2名で税込 107,910円～。

３：蒲郡クラシックホテル

昭和9年（1934）開業の『蒲郡クラシックホテル』は、渥美半島、知多半島に抱かれた愛知県・三河湾国定公園の小高い丘の上にあります。華麗な城郭風建築の格調高い外観は、旧蒲郡ホテル伝統のアールデコ様式の内装、調度品は戦前の建築や装飾様式は高く評価されています。

創業当時からの格調の高さを今に伝えながら、多くの人々に愛されてきた客室やそこから眺める景色、百年守り続けられたおもてなしに時が経つのも忘れそうです。『蒲郡クラシックホテル』の広大な敷地には、四季折々、桜やつつじ、新緑、紅葉の景色が広がり、目の前には国の天然記念物の竹島、島々が点在する三河湾の海を一望できる絶好のロケーションが広がります。

▷客室は伝統と自然の織りなす最高のロケーション

全27室の客室には広い窓があり、三河湾に浮かぶ竹島や蒲郡の街並みが一望できる絶景です。丘の上に立っているので、どのお部屋も明るい雰囲気。文豪・川端康成も訪れ、讃えた『蒲郡クラシックホテル』の眺望をお部屋からも楽しむことができます。

落ち着いた色調でまとめられた室内には名作絵画が飾られ、気品を添えています。今も変わらぬ「時と匠の建築技術」が融合する歴史的価値の高い空間ともいえそうです。

▷この宿ならではの魅⼒

江戸時代から、味噌やみりん、醤油などの醸造文化が盛んであった三河地域。三河湾で獲れた新鮮な海の幸や、採れたての地元野菜を用いる、長い伝統のなかで培われてきた地元の味を館内のレストランで堪能できます。個性豊かな３つのレストランをめぐるのも楽しみの一つです。

モダンな「メインダイニングルーム」で景色を眺めながら、本格的なフランス料理で至高のひとときをどうぞ。予約制で、緑の庭園にたたずむ和風六角の館の「鉄板焼きレストラン　六角堂」や、和風建築の「和と洋の懐石料理　竹島」も利用できます。多くの文化人からも愛された味をお楽しみください。

問い合わせ先
IN 15:00～21:00
OUT 11:00
室数 全27室
ペット 不可
お子様 可
TEL／0533-68-1111
住所／愛知県蒲郡市竹島町15-1

おすすめのプランは、「【クラシック・スタンダード】「メインダイニング」でのフランス料理ディナー＋朝食付き」2名で税込 40,000円～。

４：雲仙観光ホテル　

長崎・雲仙にある『雲仙観光ホテル』。雲仙が日本で初の国立公園に指定された翌年の昭和10年（1935）に、当時、上海航路で来日した外国人避暑客向けのリゾートホテルとして誕生したのが歴史のはじまりです。スイス・シャレー風建築による個性的な３階建のスタイルは、その後雲仙の街づくりのお手本となったと言われるほど。

風格のあるエントランスに、１歩足を踏み入れれば、目の前には吹き抜けの大きな階段が出迎えます。フロントロビー、ラウンジをはじめ館内の随所に多用された梁の重圧感に、磨き上げられた手摺りや柱の質感に、華やかなりし頃の息吹を感じます。平成15年（2003）に国の登録有形文化財となり、昭和初期の文化を後世にも伝えています。

▷洋風建築に泊まりながら、温泉を

長崎県・島原半島のほぼ中央に開けた温泉郷・雲仙は、かつて“温泉（うんぜん）”と表記されていたほど、お湯に恵まれていたところです。『雲仙観光ホテル』の源泉は湯煙が立ち上る雲仙の「小糸地獄（おいとじごく）」から、給湯しています。雲仙の泉源には古湯、小地獄があり、起源は奈良時代までさかのぼります。館内にはアール・デコ調のデザインの「硫黄泉浴室」と「露天風呂」「家族風呂」があり、小ぶりながらも落ち着いた風情のお風呂です。

▷この宿ならではの魅⼒

創業時から大切に使いつづけられ、ホテルの歴史とともにあった調度品や照明などのインテリアが、安らぎの空間を演出。そして、春はツツジ、夏は新緑、秋は紅葉、冬は霧氷が高原リゾートならではのすばらしい風景をつくりだしています。館内中に飾られた菜の花、山の花などが、素朴で豊かな雲仙の魅力を伝えています。

レストランでは、南串山産の生ウニや橘湾産の鮑など、地元の食材がふんだんに持ち込まれた雲仙のフレンチコースがなんとも贅沢です。ご当地ならではの自然の恵みを満喫ください。

問い合わせ先
IN 14:00～20:00
OUT 11:00
室数 全39室
ペット 不可
お子様 可
TEL／0957-73-3263
住所／長崎県雲仙市小浜町雲仙320

おすすめのプランは、「【1泊2食付】雲仙美食フレンチ～雲仙観光ホテルスタンダードプラン～」2名で税込 77,000円～。

５：赤倉観光ホテル　

新潟県・妙高高原の大自然が魅力の『赤倉観光ホテル』。創業は昭和12年（1937）、当時の大倉財閥が上高地帝国ホテル・川奈ホテルに続けて建てた、日本のリゾートホテルの草分け的存在です。創業時より変わらないクラシックホテルならではの落ち着いた空間は今もそのままです。

ホテルが建つ場所は標高1000m。ホテル周辺は国立公園に指定されており、雲海を望める日もあります。冬は白銀のゲレンデになるので、スキーやスノーボードが好きな人には絶好。四季折々、雄大な自然を楽しめる宿です。

▷赤倉温泉と絶景を満喫「露天風呂付き大浴場」に注目

おすすめは、テラスに温泉露天風呂が付いた13室、３タイプから選べるお部屋。温泉露天風呂のあるデッキテラスからは、開放感満天の眺望が広がり、温泉は源泉かけ流しの「赤倉温泉」をいつでも楽しめます。赤倉温泉は、妙高山の中腹より自然湧出している天然温泉です。

江戸時代に開湯された歴史ある温泉で、硫酸硫黄・炭酸水素塩泉の２つの泉質を併せ持ち、湯冷めしにくく、体にやさしい温泉です。また、眼前に遮るものがない絶景が広がる温泉空間「温泉大浴場」も、ゆっくりとくつろげて快適です。

▷この宿ならではの魅⼒

『赤倉観光ホテル』で評判なのが、ホテル内のベーカリーでつくられているパンとケーキのおいしさです。山の上で味わう本格派のスイーツに感動。メインダイニングルーム「ソルビエ」では、開業以来受け継がれてきた伝統的なフランス料理に、旬の食材を取り入れた心づくしのメニューを味わえます。

食の楽しみとともに、大パノラマの絶景や雲海、雲上の景色を楽しめる趣向が凝らされているのが『赤倉観光ホテル』の魅力です。SPA&SUITE棟最上階にある「アクアテラス」からは雲上の絶景が見渡せる演出を楽しめるので、ぜひお訪ねください。

問い合わせ先
IN 15:00～19:00
OUT 11:00
室数 全76室
ペット 不可
お子様 可
TEL／0255-87-2501
住所／新潟県妙高市田切216

おすすめのプランは、「伝統と格式のあるレストラン『ソルビエ』で正統派フレンチを＜スタンダードディナーコース＞」2名で税込 52,800円～。

＊＊＊

「日本のクラシカルなホテル５選」をご紹介しましたが、いかがでしょうか。明治から昭和の近代建築を目の前にすると、個性的な意匠でありながら上品な印象を受けます。また、機能性だけではなく、その時代の文化や精神の豊かさのようなものが感じられます。

特に、クラシカルなホテルは、その空間に一歩入ると、今を生きる私たちも豊かな気持ちになれるのが不思議です。多くの人に愛されたホテルの歴史と人々に思いを巡らせ、時の流れに身をゆだねてみるのもいいですね。

※本記事で紹介したプランの価格はすべて税込です。
※本記事は2021 年11⽉28⽇（日）時点での情報をもとに作成しています。
提供されるサービスの内容は随時、変更になる場合があるため、各プランの詳細をご確認のうえお申し込みください。

情報・写真提供／⼀休.com

文／奈上水香（京都メディアライン）
HP： http://kyotomedialine.com
Facebook：https://www.facebook.com/kyotomedialine/