日本人の2人に1人はがんになるといわれている今、がんは誰にでも起こりうる病気です。しかし、ただがんの発生におびえながら暮らすのは、一度しかない人生を送る上で得策とはいえません。がんはこれまでの研究から喫煙や飲酒、生活習慣に関わることも多く、健康的な生活を送ることである程度予防できることがわかっています。

そこで、がんを予防する健康習慣について、国立健康・栄養研究所長(元:国立がん研究センターがん予防・検診研究センター長)である津金昌一郎医師にお話を伺いました。

あなたの生活習慣はがん発生のリスクを上げていますか、下げていますか?

がんを予防する5つの健康習慣

「がんの予防法は、これさえしていればいいというものはありません。しかし、『非喫煙』『節酒』『塩蔵品を控える』『適正な身体活動』『適正なBMI値』という『5つの健康習慣』の各項目を1つ実践するごとに、がんのリスクを下げることができます。例えば、65歳で10年間にがんを発症するリスクは23%ですが、5つの健康習慣をすべて実践すれば、10%ほどに、つまり、5つの生活習慣を何もしない人に比べて半分まで、発症リスクを下げることができるのです。

国立がん研究センター は、今後10年にがんに罹るリスクをウェブで自己チェックできる健診ツール「5つの健康習慣によるがんリスクチェック」を公開しています。がんとの関係が深い健康習慣について質問に答えると、今後10年でがんにかかる危険度がわかります。また、こちらのページを見ていただくと、リスクチェックの項目がいくつ該当するかで、10年後のがんの疾患確率を知ることができます。あなたの生活習慣によるがんのリスクをチェックしてみてください」

生活習慣を改善すれば、がんのリスクが下げられるというのは朗報ですね。では、具体的にどんなことに注意していけばよいのか、見ていきましょう。

タバコはがんのリスクを高める!受動喫煙にも注意


「タバコは肺がんをはじめとして、口腔がん、咽頭がん、食道がん、胃がん、肝臓がんなど、ほぼ全てのがんの原因となる発がん性物質です。タバコを吸わない男性を1とした場合、タバコを吸う男性のがん死亡リスクは、肺がんで5倍程度、咽頭がんで3倍程度、腎盂・膀胱がんで5倍程度、食道がんで3倍程度となり、明らかにがんで死亡する率が高いという結果になっています(※1)。喫煙期間が長く、喫煙量が多い人ほど、がんリスクは確実に高まります。さらに、タバコは循環器系、脳血管系、呼吸器疾患、糖尿病なとのリスクも高めますので、喫煙はデメリットが多い習慣といえます。禁煙をすることで、がん発症リスクやその他の病気にかかるリスクを減らすことができます。
また、喫煙による害は、喫煙者本人だけに及ぶものではありません。喫煙者のタバコの煙や副流煙を周囲にいる人が吸う『受動喫煙』でも、受動喫煙をしない人に比べ、肺がんのリスクは1.3倍にも高まります。周囲の人のためにもタバコをやめる努力をしたほうがよいでしょう」

たばこが強力な発がん性物質であることは間違いありません。喫煙者本人だけでなく、家族など周囲の人のがん発生リスクを上げてしまうのは考えものですね。

飲酒は日本酒でいえば1週間で7合を目安に


「飲酒は口腔がん、咽頭がん、食道がん、肝臓がんなどのリスクを高めるだけでなく、脳出血のリスクも高めます。国立がん研究センターが40〜59歳の男女、7万3000人を9〜12年追跡して、飲酒量とがん罹患リスクの関係を調べた調査 では、うち3500人が罹患し、男性については次のような結果が得られました(女性は飲酒者が少なく、明確な傾向が認められませんでした)(※2)。

飲酒量が1日あたり2合未満の人は、ときどき飲む人に比べて発がん率は1.17倍、2合以上3号未満の人は1.43倍、3合以上飲む人は1.61 倍に高まりました。さらに、喫煙者が飲酒をすると、1日2合以上飲む人は1.93倍、3合以上飲む人は2.32倍もリスクが高まります。

とはいえ、飲酒が完全に悪いというわけではありません。適度な量を楽しむ分には大きな問題はありません。適度な量とは、日本酒で1日あたり1合、週に7合程度です。1日1合とは、焼酎(25度)で0.6合、ビール瓶大1本、ワイングラス2杯、ウイスキーのダブル1杯に相当します。毎日1合で物足りないという場合は、もっと飲んでも大丈夫です。その代わり、休肝日を設けて1週間で7合の帳尻を合わせればいいのです」

飲酒は適度な量を飲む分には大きな問題はないそうです。1週間単位で飲む量を調節して、ほどほどにお酒を楽しみましょう。

出典 ※1 Ktanoda K, et al. J Epidemiol.2008;18:251-64.
出典 ※2 Inoue M, et al. Br J Cancer 2005;92:182-87.

お話を伺ったのは……

津金昌一郎先生
医薬基盤・健康・栄養研究所 理事兼国立健康・栄養研究所 所長

1981年、慶応義塾大学医学部を卒業後、同大学医学研究科にて公衆衛生学を専攻。同大学医学部助手を経て、86年に国立がんセンター(現・国立がん研究センター)に入所。研究所室長、臨床疫学研究部長、がん予防・検診研究センター(2016年より社会と健康研究センター)予防研究部長を経て、2013年にセンター長に就任。2020年に国立健康・栄養研究所所長を併任し、2021年より現在に至る。主な受賞歴に朝日がん大賞、高松宮妃癌研究基金学術賞、日本医師会医学賞など。主な著書に『がんになる人ならない人』『科学的根拠にもとづく最新がん予防法』などがある。

医師のインタビュー記事は、株式会社おいしい健康が運営するメディア「先生からあなたへ」でもご覧いただけます。
https://articles.oishi-kenko.com/sensei/

取材・文/一瀬立子  写真/フカヤマノリユキ

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