健康づくりやダイエットのための食事では、「なにを」「どれだけ」「いつ」食べるか、つまり「時間栄養学」が重要といわれています。全4回で「時間栄養学」をご紹介するこのシリーズ、3回目のテーマは「夕食」です。
1日を締めくくる夕食は、気がゆるんでついつい食べすぎてしまうことがあるかもしれません。今回は、「時間栄養学」の考え方から理想的といわれる夕食の内容や食べる時間についてご紹介します。
朝:昼:夕のエネルギー配分は、3:3:4が理想
夕食は、朝食や昼食に比べ、料理をする時間も確保しやすいので、朝や昼に食べられなかった食品を補えるといいですね。
しかし、1日の食事を夕食に集中させ、ドカ食いすることは、肥満の原因になります。1日のエネルギー摂取量の配分は、朝:昼:夕で3:3:4がよいとされていますので、夕食を食べ過ぎないためには、朝食や昼食を抜かずにしっかり摂ることも大切です。
夕食に摂りたい栄養とは?
食物繊維
夕食では糖質や脂質を控え、たんぱく質や野菜を摂るように心がけましょう。特に野菜に豊富に含まれる食物繊維は、糖質や脂質の吸収を抑え、腸内環境を整えます。食物繊維が多く含まれる根菜やきのこ類、海藻を積極的に取り入れることがおすすめです。
また、食べる順番も大切です。
野菜や海藻類などの食物繊維が多く含まれるものを先に食べ、その次にたんぱく質の多い主菜を食べます。ごはんなどの主食はその後に。汁ものは合間にはさむという順番で食事をすると、血糖値の急上昇を防ぎ、食べ過ぎの防止にもつながります。
カルシウム
骨は夜寝ている間に作られますし、カルシウムが体内に蓄積されるのは夕方以降と言われているので、骨粗しょう症の予防の為にも、カルシウムが入った食品を摂ることはおすすめです。
ヨーグルトは牛乳よりもカルシウムの吸収率が高く、乳酸菌の働きによる腸内環境の改善も期待できます。食後のデザートに取り入れてみてはいかがでしょうか?
寝る3時間前には食べ終わるように
遅い時間に食事を摂ると、食後から寝るまでの時間が非常に短くなります。エネルギーの消費がされず、消化や睡眠にも影響があります。睡眠中もからだの中では消化や吸収の活動が続くため、睡眠の質が下がったり、翌日に胃の疲れが残ることも。そのため、寝る3時間ほど前までに夕食を済ますことが理想です。
また、21時以降は、体内時計を調整する「BMAL1(ビーマルワン)」というたんぱく質の働きが最も活発になります。このBMAL1には、脂肪を溜め込む働きがあります。そのため21時以降に食事をすると、食べたエネルギーが脂肪として取り込まれやすくなってしまいます。したがって、遅くとも21時までには夕食を終え、以後の夜食は控えましょう。
21時を過ぎてしまったときの夕食の工夫
ついつい夕食が遅くなってしまうこともあるかと思います。
夕食が遅くなったからといって夕食を抜いてしまうと、空腹の時間が長くなり、体が脂肪を溜め込み太りやすくなってしまいます。
夕食が21時以降になる場合、カロリーや脂肪が少なめで、消化がよく胃腸に負担をかけない食べ物が良いでしょう。例えば、柔らかく煮たうどんやお粥、脂質の少ない部位の肉や魚、豆腐などの大豆食品などがおすすめです。さらに「煮る」や「蒸す」といった調理方法にすると料理に使う油の量を抑えることができます。そして、食べる量は、腹八分目ぐらいにし、食べ過ぎには気をつけましょう。
21時以降にとてもお腹が空いていると少量で夕食を切り上げるのが難しくなり、ドカ食いに繋がります。夕食が遅くなるのがわかっているのであれば17〜18時頃に一度、おにぎりやサンドイッチなどの主食でお腹を満たしておくと、夕食の食べ過ぎを防ぐことができますよ。その際は、21時以降の食事では、主食を控えるようにしましょう。
夕食に楽しみたい!おすすめレシピ
豚肉と野菜のレンジ蒸し
【材料】(1人分)
豚もも肉(薄切り) 60 g
A
酒 小さじ1 (5 g)
塩こしょう 0.5 g
もやし 60 g
しめじ 30 g
にら 20 g
ぽん酢しょうゆ 大さじ2/3弱 (10 g)
大根おろし 50 g
【作り方】
1.豚もも肉は食べやすい大きさに切ってAで下味をつけます。しめじは小房に分け、にらは5cm長さに切ります。
2.耐熱容器にもやしを敷き、食材を順に並べます。(豚肉は野菜の間に挟むなど、肉同士が重ならないようにする。)
3.ラップをかけて電子レンジ(600W)で4分程加熱します。※加熱時間は2人分の目安。
4.器に盛りつけ、軽く水けをきった大根おろしをのせ、ぽん酢しょうゆをかけて出来上がりです。
【栄養価】
エネルギー 148kcal
たんぱく質 15.0g
脂質 6.5g
炭水化物 7.2g
食物繊維 3.1g
食塩相当量 1.0g
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1日を締めくくる夕食は体に優しい食事ができるといいですね。食べ過ぎに気をつけて、リラックスしておいしくいただきましょう。
編集/おいしい健康編集部
監修/おいしい健康管理栄養士
株式会社おいしい健康
「誰もがいつまでも、おいしく食べられるように」という理念のもと、ITを活用したヘルスケア事業や生活メディア事業を展開しています。主なサービスとして、病気の予防・管理、ダイエットなどを目的とした管理栄養士監修のレシピ検索・献立作成サービス「おいしい健康」を運営。社内には、サービスの監修や向上にあたる管理栄養士が複数在籍しており、食や健康に関する情報をエビデンスに基づき正確にわかりやすく発信しています。
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