
近年は働き方の多様化や、企業でも副業を認める傾向により、副業をする人が増えています。スキマ時間に単発バイトをしたり、フリマアプリで不用品を販売したりと、その形はさまざまです。一方で、「副業の確定申告をしていない人は意外と多いのでは?」「少額なら申告しなくても大丈夫なのでは?」と考える人も少なくありません。
しかし、副業の所得によっては確定申告や住民税の申告が必要になる場合があります。今回は、副業の確定申告が必要になるケースや、申告しなかった場合のリスク、今からでもできる対処法について見ていきましょう。
100歳社会を笑顔で過ごすためのライフプラン、LIFEBOOK(R)を提唱する、独立系ファイナンシャルプランナー藤原未来がわかりやすく解説します。
「副業の確定申告、してない人多い?」と検索される理由
副業を始めた人の多くが最初にぶつかるのが、「自分は確定申告をしなければならないのか?」という疑問です。ネット上では「20万円以下なら申告不要」「フリマアプリなら税金はかからない」などさまざまな情報が見つかるため、何が正しいのか分からなくなることもあります。
また、実際に周囲で申告していない人の話を聞くと、「自分も大丈夫かもしれない」と考えてしまいがちです。しかし、副業の内容や金額によって必要な手続きは異なりますので、まずは基本ルールを理解することが大切です。
よくある副業のパターン(原稿料/スキマバイト/フリマ等)と迷いやすい点
副業といっても内容はさまざまです。代表例を<図表1>にまとめました。
<図表1>副業の例と迷いやすいポイント

特に迷いやすいのは、「収入が少額だから申告不要だろう」「フリマアプリだから税金は関係ないだろう」と考えてしまうケースです。
例えば、生活用品を処分する目的で不用品を売る場合は通常課税対象になりませんが、継続的に仕入れて販売している場合は事業的な収入として扱われることがあります。
また、業務委託の仕事は給与ではなく報酬として扱われるため、所得の計算方法や確定申告の考え方が会社員の給与とは異なります。
「申告しない人が多い=申告しなくて大丈夫」ではない
仮に確定申告をしていない人が一定数いたとしても、それが申告不要であることを意味するわけではありません。税法上は、所得額や働き方などに応じて申告義務の有無が決まります。
そのため、「周りがしていないから」「バレていない人がいるから」ではなく、自分の副業に申告義務があるのかを確認することが重要です。
確定申告が必要か?
副業に関する税金を考える際は、まず「収入」と「所得」の違いを理解する必要があります。確定申告が必要かどうかは、基本的に収入額ではなく所得額によって判断されるためです。
「収入」と「所得」は違う|経費を引いた「所得」で判断
税金の計算で重要なのは「所得」です。所得は次のように計算します。
所得=収入-必要経費
例えば、副業で年間30万円の売上があり、副業のために購入したパソコン代や通信費などの必要経費が10万円だった場合、
30万円-10万円=20万円
となり、所得は20万円です。
副業に関する税金の判定では、この所得金額が基準になります。
給与所得者の副業|いわゆる「20万円ルール」と注意点
会社員など年末調整を受けている給与所得者の場合、副業による所得が年間20万円以下であれば、原則として所得税の確定申告は不要です。これが一般的に「20万円ルール」と呼ばれるものです。
ただし「20万円ルール」はあくまで所得税の確定申告に関する特例ですので「20万円以下なら何もしなくてよい」という意味ではありません。また、判定対象は売上ではなく所得である点にも注意が必要です。
20万円以下でも申告が必要になる代表例(控除を使う/複数給与など)
副業所得20万円以下でも、確定申告が必要になるケースがあります。
例えば、
・医療費控除を受ける
・住宅ローン控除の初年度
・寄附金控除(ふるさと納税など)を申告する
・年末調整で処理できない控除を受ける
といった理由で確定申告を行なう場合です。
この場合、副業所得もあわせて申告する必要があります。「控除のためだけに申告したつもりが、副業所得も記載しなければならなかった」というケースは珍しくありません。
ダブルワーク(2か所給与)の落とし穴|年末調整との関係
本業と副業の両方が給与の場合も注意が必要です。年末調整は原則として1か所でしか受けられません。そのため、副業先からも給与を受け取っている場合は、給与所得を合算して確定申告が必要になるケースがあります。
「副業所得20万円以下だから申告不要」と思っていても、副業が給与の場合は確定申告が必要になるケースがあるため注意しましょう。
「確定申告不要」でも申告が必要なことがある
所得税の確定申告が不要であっても、それで手続きがすべて終わるとは限りません。
特に見落とされやすいのが住民税です。
確定申告をしない場合、住民税申告が必要になる典型ケース
以下のようになります。
<図表2>確定申告と住民税申告の関係

※一般的なケース。詳細は自治体や個別事情によって異なります。
「20万円以下なら何も手続きがいらない」と思われがちですが、住民税については別のルールがあります。ここが副業の税金で特に誤解されやすいポイントです。会社員で副業所得20万円以下の場合、所得税の確定申告は不要となることがあります。
ただし、住民税には所得税の20万円ルールが適用されないため、確定申告をしない場合でも、市区町村への住民税申告が必要になるケースがあります。
「確定申告したら住民税申告は不要」になることも
一方で、所得税の確定申告を行なった場合は、その申告内容が税務署から自治体へ共有されます。そのため、通常は同じ内容を改めて住民税として申告する必要はありません。つまり、副業について確定申告をした場合は住民税申告も済んだものとして扱われる一方、確定申告をしていない場合は別途住民税申告が必要になることがあります。
住民税の納め方(特別徴収/普通徴収)と会社バレの関係
副業をしている人の中には、「住民税から会社に副業が分かるのでは?」と心配する人もいます。住民税の納付方法には、給与から天引きされる「特別徴収」と、自分で納付する「普通徴収」の2種類があります。副業による所得がある場合、住民税の課税内容によっては、勤務先に通知される住民税額の変化から副業の存在を推測される可能性があります。
ただし、本来は「会社に知られない方法」を考える前に、勤務先の就業規則や副業規定を確認することが大切です。近年は副業を認める企業も増えていますが、事前申請や届出を必要としている会社も少なくありません。
また、副業を認めていない会社であっても、税務上の申告義務がなくなるわけではありません。副業による所得がある場合は、勤務先のルールとは別に、適切な申告と納税を行なう必要があります。住民税の納付方法には一定の選択肢がありますが、「会社に知られないようにするための制度」ではなく、あくまで税金を納めるための仕組みとして理解しておきましょう。
「してない」とどうなる? 発覚する仕組みとペナルティの全体像
「少額だから分からないだろう」と考える人もいますが、現在はさまざまな情報が税務署に集まる仕組みがあります。副業収入を長期間放置すると、後からまとめて税金を請求される可能性があります。
税務署に情報が集まる主なルート
税務署はさまざまな情報を把握しています。
例えば、
・支払調書
・給与支払報告書
・金融機関の取引情報
・副業サイトやフリマアプリの運営会社から税務署に提供される情報
・税務調査による確認
などです。
以前よりもデータ連携が進んでおり、「少額だから絶対に分からない」とは言えません。
発覚したらどうなる?|追加で払う税金・加算税・延滞税の考え方
申告漏れが判明した場合は、本来納めるべき税金に加えて、加算税や延滞税が課されることがあります。さらに、数年分をまとめて修正することになると、一度に大きな負担となる場合があるため、金額が小さいうちに自主的に対応したほうが、結果的に負担を抑えやすいでしょう。
今からできる対処|期限後申告・修正申告の手順
もし「申告が必要だったかもしれない」と気付いた場合でも、過度に心配する必要はありません。大切なのは、そのまま放置せず早めに対応することです。
まず集めるもののチェックリスト
最初に以下の資料を集めましょう。
・源泉徴収票
・副業の報酬明細
・売上記録
・通帳や入出金履歴
・経費の領収書
・マイナンバーカード等
記録が整理されているほど、手続きはスムーズになります。

期限後申告はどう進める?
申告期限を過ぎていても、期限後申告は可能です。まずは対象年分の所得を計算し、必要書類を準備します。その上で、e-Taxや税務署への提出により申告を行ないます。自主的に申告することで、ペナルティが軽減される場合もあります。
住民税の申告が必要な場合
所得税の確定申告を行なわない場合は、住民税申告が必要になることがあります。申告方法や提出先は自治体によって異なるため、住んでいる市区町村の案内を確認しましょう。
不安が強い人ほど「早めに相談」する(税務署/税理士の目安)
判断に迷う場合は、税務署や税理士に相談するといいでしょう。
特に、
・数年分の申告漏れがある
・副業の種類が複雑
・フリマ販売と事業収入の区別が難しい
・副業収入が大きい
といった場合は、早めに専門家へ相談しておくと安心です。
まとめ
「副業の確定申告をしていない人は多いのでは?」と思う人は少なくありません。しかし、重要なのは周囲の状況ではなく、自分に申告義務があるかどうかです。
所得税の申告だけでなく、住民税の申告についても必要かどうかを確認し、適切に申告・納税することが重要です。また、申告漏れがあった場合でも、早めに対応することでリスクや負担を抑えられる可能性があります。副業を続けるなら、「知らなかった」で済まされないこともあるため、一度ご自身の状況を確認してみましょう。
さまざまな金融商品が出回っている世の中だけに、あなたの味方になって守ってくれる相談相手を持つことが必要な時代になっています。ご自身のライフプランを考えるときには、生命保険や金融商品の販売をせずに中立的な立場からコンサルティングに徹する独立系のファイナンシャルプランナーへの相談をお勧めします。
●構成・編集/京都メディアライン(HP:https://kyotomedialine.com FB:https://www.facebook.com/kyotomedialine/)
●取材協力/藤原未来(ふじわらみき)

株式会社SMILELIFE project 代表取締役、1級ファイナンシャルプランニング技能士。2017年9月株式会社SMILELIFE projectを設立。100歳社会の到来を前提とした個人向けトータルライフプランニングサービス「LIFEBOOK®サービス」をスタート。米国モデルをベースとした最先端のFPノウハウとアドバイザートレーニングプログラムを用い、金融・保険商品を販売しないコンサルティングフィーに特化した独立フランチャイズアドバイザー制度を確立することにより、「日本人の新しい働き方、新しい生き方」をプロデュースすることを事業の目的とする。
株式会社SMILELIFE project(https://www.smilelife-project.com)











