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「公平無私」の読み方、意味、由来とは？｜シニア世代にふさわしい心のあり方【座右の銘にしたい言葉】

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2025/6/18

実にありがたいことに、人生をやり直せる時代になりました。人生百年時代となった今では、定年退職は、第二の人生のスタートのように言われています。そうは言っても「どこまでも続く人生」と思っていた、若き時とは違います。はっきりと意識しはじめるのは“人生の終焉”。つまずいてしまえば、失う物も多いものです。

溢れる情報に惑わされず、巧妙で狡猾な罠を見破り、第二の人生を生きなければなりません。しかし、自分だけの知識や経験だけでは心許ないところもあります。ならば、賢者の知恵を頼みとするのも一つの方法ではないでしょうか？

そうした賢者が残した一つの言葉をご紹介します。今回の座右の銘にしたい言葉は「公平無私（こうへいむし）」です。

目次
「公平無私」の意味
 「公平無私」の由来
 「公平無私」を座右の銘としてスピーチするなら
 最後に

「公平無私」の意味

「公平無私」について、『⼩学館デジタル⼤辞泉』では、「公平で、私的な感情や利益を交えないこと。また、そのさま」とあります。文字通り「公平で私心がない」という意味の四字熟語です。「公平」は偏りなく平等であること、「無私」は自分の利益や感情にとらわれないことを表します。

つまり、個人的な感情や利害関係に左右されず、常に物事を公正に判断し行動するという、非常に高潔な精神を表現した言葉なのです。特に注目すべきは、この言葉が単に「公平」であるだけでなく、「無私」という自己を超越した境地を含んでいる点です。これは単なる公正さを超えた、より深い精神性を示しています。

公平であることは社会的な規範として求められますが、無私の境地に至るには長年の経験と自己との対話が必要です。まさにサライ世代の方々が、人生の様々な局面で培ってきた知恵と重なる部分ではないでしょうか。

「公平無私」の由来

「公平無私」は中国の古代説話集『韓詩外伝（かんしがいでん）』に由来します。その中に「正直なる者は道に順（したが）ひて行ひ、理に順（したが）ひて言ひ、公平無私なり」とあり、どちらか一方に偏ることなく私的な感情を入れないことを説いています。

この言葉は単なる理想論ではなく、世の中で実践されるべき行動指針として、歴代のリーダーや賢人たちに受け継がれてきました。私欲や偏見を捨てて公平さを保つことが、信頼と調和を生む重要な徳目であると認識されてきたのです。

現代の日本社会においても、「公平無私」の精神は、裁判官や公務員など公的立場にある人々の行動規範として重視されています。しかし、それは特定の職業だけでなく、私たち一人ひとりの日常生活においても、大切な指針となるものです。

「公平無私」を座右の銘としてスピーチするなら

「公平無私」を座右の銘としてスピーチするときには、言葉の意味を辞書的に説明するだけでなく、自身の経験や、なぜその言葉を大切にしているのかという想いを添えると聴衆に響くものとなるでしょう。以下に「公平無私」を取り入れたスピーチの例をあげます。

「公平無私」の重要性を語るスピーチ例

私は長年「公平無私」という言葉を座右の銘としてきました。会社生活では上司として、家庭では親として、様々な立場で決断を迫られる場面がありましたが、この言葉のおかげで、偏った判断を避けることができたと思います。

特に印象に残っているのは、部下の昇進を決める会議での出来事です。個人的に気の合う部下がいましたが、能力と実績を公平に評価した結果、別の部下を推薦しました。その決断は苦しかったですが、後に組織全体の信頼向上につながったと実感しています。

定年を迎えた今、改めて思うのは、私たちの世代が築いてきた社会を次の世代に引き継ぐには、この「公平無私」の精神が何より大切だということです。今日の若い人たちを見ていると、時に厳しい目で見てしまうこともありますが、それも私自身の偏見かもしれません。

残された人生では、この「公平無私」の精神をさらに磨き、微力ながら地域社会に貢献していきたいと思います。

最後に

私心を離れ、公平な目で世界を見ることの難しさと尊さは、長い人生経験を持つシニア世代だからこそ理解できることではないでしょうか。「公平無私」の精神は、家族との関係から社会問題まで、様々な場面で私たちの判断を導く羅針盤となります。この言葉を日々意識することで、より深い人間関係と、穏やかで充実したシニアライフを築く一助となるでしょう。

●執筆／武田さゆり