【精神科医・和田秀樹の「口グセ」にしたい言葉】「それもそうね」

精神科医の和田秀樹さん（63歳）が高齢者の新たな可能性について綴った『シン・老人力』（www.shogakukan.co.jp/books/09389117）。読めば勇気と元気がわくと話題の同書から、高齢者がいつまでも若々しく自分らしく生きるために、「口グセ」にしてほしい言葉について、和田さんが紹介します。

文／和田秀樹

意に沿わない相手の反応を受け止める

夫婦同士であれ、友人であれ、相手が自分の思うような反応をしてくれるとは限りません。

「面白がってくれると思ったのに、否定的に反論された」
「聞いたことに答えないで、自分の言いたいことだけ言っている」

よくあることですが、年齢を重ねると、それだけで腹を立てたり、イヤな感情にとらわれたりしてしまう人が増えてきます。

人間関係が悪くなったりすることもよくあります。

一方で、明るい感情をもつ人は、相手が期待とは違う反応をしたときでも、ひとまず「それもそうね」と受け止めることができます。
重要な問題で納得がいかないときには、もちろん大いに議論してかまいません。

自分の感情を滞らせない

しかし、ほとんどは「どの店でランチをするか」とか「テレビの感想」といった、他愛ない話題です。
「それもそうね」とうなずいても困ることではありません。

大切なのは、自分の感情を滞らせないことです。

「どうして？」
「面白くない！」
「いつだってそうなんだから……」
などと、イヤな感情にとらわれてしまうと、自分のネガティブな気持ちとだけ向き合うことになるので、いつまでも不機嫌が続いてしまいます。

「それもそうね」と口に出して切り替えましょう。
そうすることで気持ちは外向きになり、感情はコントロールされて、また相手ともとの会話に戻ることができます。

＊　＊　＊

和田秀樹（わだ・ひでき）
精神科医。1960年、大阪府生まれ。東京大学医学部卒業。東京大学医学部附属病院精神神経科助手、米国カール・メニンガー精神医学校国際フェローを経て、現在は川崎幸病院精神科顧問、ルネクリニック東京院院長などを務める。高齢者専門の精神科医として、30年以上にわたって高齢者医療の現場に携わっている。著書に『80歳の壁』『70歳が老化の分かれ道』など多数。