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文/小坂眞吾(『サライ』編集長)

サライの企画・編集で1月8日に創刊した隔週刊CDつきマガジン『落語 昭和の名人極めつき72席』。創刊号の志ん生から始まって、今日は早くも第4号、立川談志(壱)が発売となりました。

前座しか演らない噺を、談志が演るとどうなるか?

CDに収録の2席は、いずれもTBSラジオ『ビアホール名人会』の音源で、初商品化。銀座6丁目「ライオンビル」6階ホールで、昭和60年代に収録されたものです。

つい先日、マスコミ向けの福井県のセミナーがこのホールであり、初めて足を踏み入れましたが、壁の装飾もシャンデリアもじつにクラシックな西洋式の内装で、こんなところで落語を公開収録していたのか、と感無量でした。

さて、CDの音源の1席目は『道灌』です。音源の中で談志自身が語っているように「いい真打が演る噺じゃない」んですが、それを本人が演じているという、珍しいものです。しかも40分以上。

ふつうに演じれば15分で充分なんですが、この音源では噺の合間にたくさんの「注釈」が入ります。それも、金馬はこう演った、圓生はこうだった、志ん生は……、と、名人の声色を使ってじつにみごとに再現してくれる。とくに金馬の口調などは、完コピと言えるほどにクリソツです。

昭和の名人たちと落語の歴史を、笑いのうちに一望するその語り口に、私も腹を抱えて笑ってしまいました。

談志といえば、落語の伝統を否定した人と思われがちです。でもこの『道灌』を聴けば、それが大きな誤解だということはすぐにわかります。

談志は、昭和の名人たちの落語を、誰よりも愛していました。ところが自分が生きた時代には、落語は衰え、名人たちは忘れられていくいっぽうだった。それが許せなかったから、落語が大衆芸能として生き残る道を、タブーを犯してまで探ったのでしょう。

じつは私自身、談志の凄みを理解していたとは言えません。今回収録の『道灌』を聴いて初めて、談志という落語家が何を考えていたのか、理解できたような気がします。

談志ファンはもちろんですが、むしろ「談志は嫌いだ」という人に聴いてもらいたい。本日発売の『極めつき』第4号『七代目立川談志』は、そういう内容になってます。

『サライ』編集長/小坂眞吾

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