クルマの安全性能の向上や安全運転意識の高まり、道路の交通安全対策などによって、交通事故件数は年々減少傾向にあるが、気がかりなのは、運転者の不注意、脇見運転、操作ミスなどといった人的要因による事故が、依然として高い比率を占めていることだ。そんなドライバーのちょっとした油断によって起こる事故を未然に防ぐ技術が、自動ブレーキをはじめとする予防安全機能である。特に日常生活の足として使われる軽自動車は予防安全の必要性が高く、関心をもつドライバーも急増する中、いち早くダイハツが軽自動車に搭載したのがスマートアシスト(以下スマアシ)だ。

6つの機能で予防安全をサポートする「スマアシⅢ」

障害物を検知するレーザーレーダーを車両の正面に搭載し、軽自動車では初の衝突回避支援ブレーキ機能を導入した初代「スマアシ」が登場したのは2012年のこと。2015年には「スマアシⅡ」、2016年には現行の「スマアシⅢ」へ段階的に進化を重ねている。「スマアシⅢ」は検知システムに、ステレオカメラ+ソナーセンサー(後方)を採用。6種類の予防安全機能が搭載されている。

●衝突回避支援ブレーキ/衝突警報機能

走行中に前方の車両と歩行者を認識し、衝突の危険性があると判断するとブザーとメーター内表示で注意を促し、衝突の危険性が高まると自動ブレーキで減速し、衝突の回避や被害軽減を行う。衝突回避ブレーキは対車両であれば時速約4~80キロ(速度差:時速約4~30キロ)まで対応している。

●前後方誤発信抑制制御機能


時速約10キロ以下で、前・後方に障害物を検知し、ドライバーがアクセルを強く踏み込むなど、クルマが、踏み間違いと認識した場合、エンジン出力を抑制し、ブザー音とメーター内の表示で警告する。

●先行車発進お知らせ機能


信号待ちなどで前のクルマが発進したことに気付かない時に、ブザー音とメーター内表示で知らせてくれる。助手席に人がいるようなやさしい機能だ。

●車線逸脱警報機能


時速約60キロ以上で走行中に車線を認識し、車線からはみ出しそうになると、ブザーとメーター内の警告灯で危険を警告する。

●オートハイビーム


対向車のヘッドランプなど前方の明るさを検知し、ハイビームとロービームを自動で切り替え。対向車に配慮しながら、視界の悪い夜道でも安全を確保できる。

「スマアシⅢ」の性能を「サライ.jp」編集長が体験!

「スマアシⅢ」の技術力を知るため、ダイハツ東京販売 Dモール月島店の協力を得て、「サライ.jp」編集長の稲葉が、衝突回避支援ブレーキと前後方誤発進抑制制御機能を体験した。

●衝突回避支援ブレーキを体験

歩行者や先行車、障害物などを検知するステレオカメラを説明する同店の鈴木店長。「世界最小サイズによりドライバーの視界や頭上空間を妨げません」と、特長を語った。小型カメラの採用によりガラス面積の狭い『ミライース』にも搭載が可能になった。また、検知距離の拡大や歩行者との距離検知精度も前型より大幅に向上している。

先行車に見立てた「スマアシ」体験用のボードが車両の正面に設置された。

鈴木店長がハンドルを握り、稲葉編集長は助手席に搭乗。時速約20キロで走行しながらブレーキを踏まずにそのままボードへ向かって直進した。

ボードに近づくとはじめにセンサーが障害物を検知しブザーで警告。その後、事前ブレーキ、最後に緊急ブレーキが作動し、車両がボードの直前で止まった。

助手席から見るとボードの手前ギリギリに止まった印象だったが、実際には約50cmの間隔があいている。「これだけ車間が保てるならより安心感も増す」と、稲葉編集長も満足気。

「ブレーキの精度が高く、いざという時も安心」

自動ブレーキによってクルマが停止すると稲葉編集長は開口一番、「本当に止まった」と驚きの表情。「スマアシⅢ」の安全性を確信した。そもそも追突事故は、カーナビをチェックしていたり、車内から目的のお店などを探す一瞬に起こりやすい。「ドライバーであれば一度や二度はヒヤッとした経験があるはず。常に安全運転を心がけていても、わずかな“隙”に起こる事故を予防できますね」(稲葉)と、衝突回避支援ブレーキの有用性を実感した様子だった。

●踏み間違え事故を予防する前後方誤発進抑制制御機能を体感!

次に前方誤発進抑制制御機能体験。クルマの正面にダミーボードを設置して体験がスタート。

鈴木店長がアクセルを強く踏み込んでも、ステレオカメラがダミーボードを障害物と検知するので、約8秒間はエンジン出力を抑え、急発進が回避された。後方の誤発進抑制制御はソナーセンサーによって障害物を検知する仕組みだ。前方と同様、アクセルペダルを強く踏み込んでも、車両はほとんど動かなかった。

「焦っていてもこれなら踏み間違えに気がつく」

ブレーキとアクセルの踏み間違えによる事故は、高齢者と若者が起こしやすい傾向にある。しかし、急いでいる時や操作を焦った時は年代を問わず要注意。急発進は大事故につながる可能性も高いため、この機能はとにかく有用だ。「アクセルを踏んでも約8秒間はシステムが作動しているから、そこで踏み間違えに気がつきます。踏切などでの脱輪回避なども仮定し、約8秒でもとに戻るなどの設定にも感心しました」(稲葉)。

6万円の低価格で先進の安全性能が装備できる

ダイハツではより多くのドライバーが「スマアシ」を装備できるように、乗用車では6万円(税抜)という低価格を実現。ほぼ全ての現行モデル13車種に搭載している。ミライースのような100万円を切る低価格な車両にも設定されており、「スマアシ」搭載車の累計販売台数は今年度内に200万台に達する勢いを見せている。

「軽自動車は安全性に不安」というイメージは過去のはなし。もちろん条件によりシステムが作動しない事もあるため、ドライバーの安全運転が大前提で過信は禁物だが、「スマアシ」搭載車で、より安全なドライブを楽しんでみてはいかがだろう。

体験に使用したのは
ダイハツ/タント X“リミテッドSA Ⅲ”

ゆったり過ごせる広い室内と、乗降しやすいセンターピラー内蔵のスライドドアが特長の、軽自動車を代表する人気モデル。多彩なシートアレンジに対応。大きな荷室も便利だ。

ダイハツ東京販売 Dモール月島店 店長 鈴木勝さん
「ぜひご来店いただき『スマアシⅢ』の予防安全機能を体感してみてください」

 

 

「サライ.jp」編集長 稲葉成昭
「体験すると予防安全機能の必要性を実感します」

取材・文/安藤政弘 撮影/乾 晋也

 

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