大都市の生活を下支えする地下鉄には、多くの工夫が凝らされている。利用客として観察できる部分だけでも、いろいろなひみつが隠されているのだ。知っていれば、乗降時がちょっと楽しくなるポイントを紹介しよう。
東京メトロ編
地震への備えを忘れずに
銀座線上野〜浅草間の開業は1927年。関東大震災の記憶が残っていた時期だ。ドイツからの技術も取り入れ、丈夫な鉄骨で天井を支える構造を採用。武骨ながら安全にも充分配慮した。

地下鉄初のトンネル工法
地下鉄のトンネル建設には、溝を掘って蓋をする「開削工法」と横に掘る「シールド工法」がある。後者が初採用されたのが丸ノ内線。今では一般的にシールドマシンで掘り進めてゆく。

線路の先に延びるのは?
地下鉄のトンネルや駅などは、一度、作ってしまうと作り直しは手間も費用もかかる。そこで建設計画があるところは、手戻りにならないよう、あらかじめ構造物を作っておくこともある。

水の流入を食いとめる
地下鉄は「ゼロメートル地帯」も走る。水害対策は万全に考えられていて、例えば地上への出入り口は三方を完全に壁とし、屋根に防水シャッターを設置。非常時には封鎖する駅もある。

駅の個性と誤降車の関係
地下鉄の駅はどこも似ていて、自分の下車駅がときにはわかりにくいものだ。そこで駅の個性を壁のデザインなどで表し、区別しやすくする工夫が行なわれている。


●1000系〔東京メトロ〕

銀座線はこの電車が受け持つ。日本最古の地下鉄としてレトロなデザインの特別仕様車もある。
主な運行路線:銀座線 主な走行区間:浅草~渋谷
Osaka Metro編
高低差で省エネ対策を
中央線の地上区間では、駅の位置を高くして、発車時には下り坂、到着時には上り坂となるよう、高架橋が建設された。位置エネルギーを利用し、電力節減を図った設計だ。

地下スペース利用は早い者勝ち
大阪でも、あらかじめ建設計画がある場所の構造物を作っておくことが行なわれる。御堂筋線梅田駅のなかもず方面行きホームは、戦前に谷町線ホーム用として掘ってあったトンネルを流用した。

●30000系〔Osaka Metro〕

2008年登場の主力車両。御堂筋線、谷町線に登場した。大阪・関西万博期間中は中央線でも活躍。
主な運行路線:御堂筋線、谷町線など 主な走行区間:江坂~なかもず、大日~八尾南など
札幌市営地下鉄編
日本唯一の足元とは?
札幌の地下鉄は日本で唯一のゴムタイヤ式だ。乗り心地に優れ、騒音が少ないなどの理由から採用された。雪には弱いが、地上区間はすべてシェルターで覆って解決している。


●5000形〔札幌市営地下鉄〕
南北線の運用をすべて受け持つ電車。混雑への対応のため、片側4扉の車体構造が、北海道の鉄道で初めて採用された。
主な運行路線:南北線 主な走行区間:麻生~真駒内
福岡市地下鉄編
増え続ける改札機の役割
「タッチ決済」の先駆的存在。2022年には実証実験を始めている。今では磁気式乗車券、交通系ICカード、そしてクレジットカードに自動改札機も対応している。

●2000N系〔福岡市地下鉄〕

福岡空港への乗り入れに備えて1992年に登場。JR筑肥線との相互直通運転にも用いられる。
主な運行路線:空港線、箱崎線など 主な走行区間:姪浜~福岡空港、中洲川端~貝塚など
文・写真/土屋武之 写真/マシマ・レイルウェイ・ピクチャーズ、PIXTA 協力/東京メトロ
※『サライ』2026年9月号より








