国鉄は車両に使用する色を、色相とともに「○色○号」のように分類して名付け、標準化を図った。量産された車両は全国津々浦々を、その色をまとって走るようになり、利用客や沿線住民に親しまれたのだ。華やかな車両が走る今でも、「国鉄色」と呼ばれる色が残り、路線の思い出と結びつくなど、懐旧の情を呼び起こしている。

新造時の姿を留める東武14系

現存する国鉄色の車両は少ないが、代表として東武鉄道がSL列車用に保有する14系客車を挙げよう。この系列は1971年から国鉄が製造したもの。寝台車と座席車があり、国鉄色のまま東武が使っているのは、JR四国が保有していた1972年製の座席車だ。ほぼ原形で残っており、東武でも実物の車両を検分して貴重さに気がつき、国鉄時代の雰囲気を守って整備するようにしたという。

車体色は「新ブルートレイン色」とも呼ばれる。寝台車にも用いられていた色で、東武でも4両がそのままとされたので、若かりし頃の夜行列車の旅と結びつき、懐かしむ人が多いようだ。SL列車が走る沿線風景にも馴染んでいる。

車内設備も新造された当初の姿を保つ。トイレは洋式化され、一部は閉鎖されたが、改造点はその程度。青い座席が並ぶ車内は、観光客で賑わっていた、かつての昼間の特急の旅をも思い出させる。

新ブルートレイン色

1969年登場の12系客車から採用された色。寝台車中心の20系に対し、座席車なのでやや明るい青20号にクリーム色10号の帯とした。後に14系寝台車、24系寝台車でも採用。

新造時の姿のまま
12系の展望車を挟んだ前後が14系。国鉄時代は臨時特急や夜行急行などに使われ、帰省ラッシュ時に大いに活躍した。

内装も国鉄時代の原形がほぼそのまま残される

シート
レバーを引くと背ずり(背もたれ)が倒れる簡易リクライニングシート。
照明
LEDが普及するまで、特急列車などではカバー付きの蛍光灯を広く採用。
夜行運転の際は、減光もできる。
テーブル
テーブルは今とは違い、小型のものが窓の下に付いているだけだ。
エアコン
小型のエアコンを多数、搭載する方式は国鉄時代には主流だった。
荷物置き場
14系は車体が既存車より長く、スキー板などの置き場所を設置。
カーテン
カーテンは横引き式。新造当時に近い柄のものを取り付けた。
「SL・DL大樹」で14系を牽引する蒸気機関車C11形とディーゼル機関車DE10形。下今市に機関区があり、見学も可能だ。

●14系〔東武鉄道〕

現在、東武鉄道には6両在籍。うち4両が新ブルートレイン色、2両がぶどう色だ。他に12系が2両あり、展望車に改造されている。
主な使用列車:SL大樹 1両の長さ:21.3m 運用開始年:2017年

湘南色

湘南色は東海道、山陽本線方面や関東、甲信越地方などで多く見られた。通勤輸送用の近郊型電車や急行型電車が、この色を使った。

1950年登場の80系電車で初めて採用された、緑2号と黄かん色の明るいツートンカラー。湘南地方のミカン畑が配色のヒントといわれており、直流電化区間に広まった。

●115系〔しなの鉄道〕
JR東日本から購入した電車で、色は移籍後に復刻されたもの。
主な走行区間:軽井沢〜妙高高原 塗色が復刻された年:2017年

横須賀色

横須賀線の他、総武快速線や中央東線で使われ、首都圏ではお馴染みの色だった。反面、西日本では、ほとんど見かけなかった。

1951年登場の横須賀線用70系電車で採用されたため、こう呼ばれる。通称は「スカ色」。配色そのものは20系客車と同じで、濃いめの青15号とクリーム色1号である。

●115系〔しなの鉄道〕
湘南色と同じく、JR東日本から購入後に復刻された色。
主な走行区間:軽井沢〜妙高高原 塗色が復刻された年:2017年

九州色/一般気動車標準色

九州色はJR九州の塗色のイメージが強いが、国鉄時代に始まったものだ。キハ40系は新製時より、全車が朱色一色塗りだった。一般気動車標準色はリバイバルであり、国鉄時代にまとったことはない。

九州色:クリーム色10号に青23号の帯を巻いた、明るめの塗色。国鉄末期の1985年頃から、電車、気動車を問わず、九州の「地域色」として採用され、JR九州に引き継がれた。

一般気動車標準色:キハ20系など、普通列車向けの一般型に採用された塗色。朱色4号とクリーム色4号のツートンカラーだが、国鉄時代のうちに朱色の一色塗りが広まってほとんど見られなくなった。

●キハ40系〔JR九州〕
左が九州色。右が一般気動車標準色だが、イベント的な復刻だ。
主な走行区間:鹿児島中央〜枕崎など 塗色が復刻された年:2023年

急行色

JR西日本がキハ47形に急行色を復元した「ノスタルジー」。この形式がこの塗色だった前例はないが、観光客向けに復刻。

1961年に急行列車用として登場したキハ58系気動車がまとったことから、この呼び方がある。クリーム色4号と朱色に近い赤11号のツートンカラーにし、一般気動車と区別した。

●キハ47形「ノスタルジー」〔JR西日本〕
「昔懐かしい鉄道旅行」を再現する、イベント用として改装された車両。
主な走行区間:岡山〜津山など 塗色が復刻された年:2020年

首都圏色

1977年から量産されたキハ40形、キハ47形などを含むキハ40系気動車は、新造時からこの塗色とし、経費を節減した。

朱色5号の一色塗り。1976年に相模線の車両に塗られたのが始まりであったので、「首都圏色」と呼ばれる。その後、全国の気動車に採用された。現在でもJR西日本のキハ40系で健在である。

●キハ40形〔JR西日本〕
JR西日本は一般型気動車にこの色を採用。国鉄の雰囲気を残す。
主な走行区間:高岡〜城端など 運行開始年:1977年

筑肥線色

JR九州は、2023年に国鉄時代の103系1500番台の塗色を復活させた。別の車両への取り換えが近く、引退の花道でもある。

1983年の筑肥線電化、福岡市地下鉄との相互直通運転用として新造された103系1500番台が採用した色。京浜東北線と同じスカイブルー(青22号)にクリーム色1号の組み合わせとしている。

●103系〔JR九州〕
当初は6両編成だったが、3両に短縮。今は地下鉄に乗り入れない。
主な走行区間:筑前前原〜西唐津 塗色が復刻された年:2023年

ぶどう色

大井川鐵道のSL列車用の客車にも、ぶどう色2号のものがある。この写真では機関車を除き、3両目から後ろの客車がそれ。

国鉄の車両で「茶色」といわれているのは、ぶどう色2号だ。戦前の茶色と比べて、戦後に制定されたこの色は、やや赤みが強く明るい。1959年から、この色に順次、塗り替えられた。

●オハ35形〔大井川鐵道〕
幅広く見られた塗色。オハ35形は戦争を挟み新造された。
主な走行区間:新金谷〜川根温泉笹間渡など 運行開始年:1959年

取材・文/土屋武之 撮影・写真/マシマ・レイルウェイ・ピクチャーズ 写真/河野信宏、福本圭介、吉原勇樹

※『サライ』2026年9月号より

 

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