
最高級の温室メロンを徹底管理のもと通年出荷
静岡では、戦前から高級マスクメロン栽培が行なわれ、厳格な生産管理のもとで芸術品のようなメロンが作られてきた。昔も今も高級フルーツ店に並ぶマスクメロンは静岡産である。ブランドは「静岡クラウンメロン」と「アローマメロン」のふたつがあるが、品種がアールスフェボリット系統であることや、栽培条件も同じでガラス温室で育て通年で出荷される。
掛川市の「溝口農園」はアローマメロンの専業農家で、年間で約1万7000玉を出荷する。曽祖父と祖父が約60年前にメロン栽培を始め、現在は溝口嗣人さんが4代目の農園主である。溝口さんに農園を案内してもらった。
「農園内には9棟のガラス温室がありまして、植え付け期間を段階的にずらすことで、通年での収穫サイクルを実現しています。収穫したら用土の消毒と補填してまた苗を植え、育て、収穫する繰り返しです。苗から収穫までおおむね90日から100日かかります」
静岡のマスクメロンには栽培条件が課せられる。まず温室は採光のよいガラス温室であること。そして、高床(「隔離ベッド」と呼ばれる)に用土を作り、1本の木にひと玉のメロンをならせ、吊るして育成をする。用土の養分や水分を徹底管理して、規格に合わせたメロン作りがなされている。




1本の苗に3つの果実を付けるが、そのなかで一番形のよい玉を選び、残りの2個は摘み取る。残ったひと玉は空中に吊るして育成。
日本一の頂を目指す
「通年で栽培、収穫、出荷ですから正月も休みませんし、旅行も無理です。子どもが継ぎたいといったら反対するかもしれません」
出荷前のメロンは検査員が無作為に選び、果実の切断検査を行ない、肉質や糖度、風味、熟度などの項目をすべてクリアしたものだけが出荷を許される。
「静岡の温室メロンは、世の中でいちばん手がかかる作物のひとつじゃないでしょうか。でもそれだけにやりがいもあります」
溝口さんはまるでわが子のように、メロンに愛情を注いでいる。
「ペットも飼いたいとは思いませんね。こんなにかわいいやつがいっぱいいるのに、これ以上、生きものはいらないです」
出荷されたメロンは、外観や風味により「雪→白→山→富士」とランク分けされる。実質的な最高ランクは「山」で「富士」は1000ケースにひとつあるかないかの希少品だ。そんな日本一の頂を目指して、溝口さんは日々メロン作りに丹精を込めている。
溝口農園

アローマメロンの問い合わせは、静岡県温室農業協同組合まで。
電話:0538・86・6861
http://www.melox-shizuoka.or.jp/
撮影/齋藤 明、取材・文/宇野正樹












