マネジメント課題解決のためのメディアプラットホーム「識学総研(https://souken.shikigaku.jp)」が、ビジネスの最前線の用語や問題を解説するシリーズ。今回は、識学の視点から傾いた組織を修復するマネジメントについて考察します。

はじめに

建物に生じたひび割れをポスターで覆い隠しても、基礎を放置して外壁だけを飾り立てるようなものです。会社経営も同じことがいえ、土台のひび割れを放置していると、いずれ組織全体の規律が失われ、決定的な「倒壊(崩壊)」を招くリスクを孕んでいます。組織における土台のひび割れを修復するマネジメント手法を識学で論じます。

組織の土台とは、あたり前のルール遵守にある

どんな組織にも全員が守らなければならないあたり前のルールが存在するはずです。それが明文化されている・されていないにかかわらず、組織の構成員である以上、そのルールを遵守することが求められます。

組織の土台がひび割れしている状態とは、このルールが遵守されていなかったり、違反があっても指摘されていなかったりする状態ということができます。

つまり、規律のない状態です。規律のない組織では、構成員が自分勝手に物事を進めがちなため、会社や上司のいうことを聞かなくなります。

昨今は自主性を重んじたり、個々の多様性を尊重したりする世間の風潮があるため、会社や上司は、部下がルールを守れていなくても、個々の事情に配慮して、物わかり良く許容してしまうことがあります。しかし、これが組織の規律を失わせ、土台をひび割れさせている要因になっている事例を多々見かけます。

ルール遵守より、KPI達成を優先してしまう上司

上記の理由と類似していますが、結果が良ければよしと言わんばかりに、当たり前のルール遵守はほぼ管理せず、KPI(重要業績評価指標)達成など数字目標だけを管理してしまう上司も多々見かけます。しかし、どれだけ上司がKPIを管理しても、「なぜこの人は成長しないのだろう」「できたり、できなかったりするのはなぜだろう」と悩むうちに、チームや組織全体の業績を低迷させてしまうことがあります。

それは、組織の土台であるあたり前のルールが徹底できていないことが原因であることが多いものです。上司はまずあたり前のルールを明確化し、徹底遵守させることから始めるべきで、それができた上でKPI管理をすべきなのです。

あたり前のルール設定の事例

組織全体が守るべきあたり前のルールにはどんなものがあるでしょうか。ここでいうあたり前のルールとは、就業規則など会社がもともと備えておかなくてはならないルールとは別のマネジメント上のルールのことを言います。

例えば、あいさつや身だしなみ、期限などは、全員が守るべき典型的なあたり前のルールに該当します。当然のことながら、会社の実態によって、設定すべきルールは変わります。

最初はルールの数を多くし過ぎず、管理しやすいものから設定することをおすすめします。なぜなら、設定したルールの内容を遵守させることも大切ですが、それ以上にルール自体を徹底遵守させ規律を整えることのほうが重要だからです。

また、先述したあたり前のルールという土台よりもKPI達成を優先してしまう上司のケースでは、報告書の提出期限や記載方法などをルール化し、まずはそのとおりできているかを指摘することが有効です。その際に、あまりにも土台が崩れている場合は、一旦KPI達成の指摘は無視してでも、土台の指摘を優先したほうがよいでしょう。

上司がルール遵守の管理責任者だと認識することが大切

組織の土台にひび割れができるのは、上司がルール遵守の管理責任者だと認識できていないケースが多くあります。

例えば、プレイングマネージャーの上司で、プレイヤーの気持ちがわかるが故に、「それくらい守らなくても仕方ないよね」などと部下に寄り添ってしまうことがあります。これでは、マネージャーの役割を放棄していることになり、プレイヤーと同じ意識になってしまっていると言えます。

プレイングマネージャーの存在そのものは決して悪いものではありませんが、マネジメント部分の役割を明確化することはもちろん、メンバーにあたり前のルールを遵守させることは最低限の役割だと認識すべきです。

ルールが明確化され、ルール遵守があたり前の組織の場合は、違反があった際に上司が指摘すれば済むのですが、設定されていない場合やまだ初期段階の組織ではどうすればよいのでしょうか。

このようなケースでは、1か月間ルール遵守キャンペーンなど実施することをおすすめします。キャンペーン期間中は、設定したルールをメンバーが遵守できていたかを、上司やさらに上の上司に報告するのです。そうすることによって、設定したルールが定着し、組織の土台づくりになります。

土台のひび割れは点検も必要

組織の土台とは、あたり前のルール遵守ができていることと述べましたが、これも時間の経過とともに、形骸化というひび割れの要因が生まれてきます。

これを防ぐ方法は、ルールを適宜見直していくことです。そして、見直したら、また発信し、また管理と遵守徹底を行う。この繰り返しが重要です。

その繰り返しを定着させることで、メンバーが現場の業務において、自らの責任を果たすために不具合の出るルールがあったら、その改定案などを直属上司に上申するようになっていきます。

もちろん、ルールの上申がすべて叶えられるわけではありませんが、この文化の定着こそがルールで動く組織づくりであり、風通しもよく、組織の土台を強くしていくことになります。

まとめ

組織の土台とは、あたり前のルール遵守です。そのために、ルールがない、もしくは、曖昧なのであれば、明確化してみましょう。最初は簡単な設定で、管理しやすいものから始めることがポイントです。

ルールが徹底された組織になると、たとえ管理しにくいルールがあったとしても、同じように遵守できるようになります。

業績が低迷しがちな場合は、KPI管理の前に、あたり前のルールを再点検してみましょう。上司側が設定していなかったり、あたり前のことを管理したがらなかったりするケースが意外と多いので、この認識を改めることが大切です。

強い組織づくりとは、土台がしっかりとしている規律のある組織です。知らず知らず、みなさまの組織の土台がひび割れしていないか再点検してください。識学では、どんなお客様の組織に対しても、まずこの組織の土台づくりからご支援しています。

識学総研:https://souken.shikigaku.jp
株式会社識学:https://corp.shikigaku.jp/

 

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