文/柳澤史樹(自分史活用アドバイザー

この【気軽に書ける自分史講座】連載も3回目になりました。1回目に入門編「一枚自分史を書く4つのポイント」、2回目は「自分史を書くなら考えておきたい基本の6W2H」とご紹介してきました。

自分史というと『人生の集大成として年配の方が書くもの』と捉えられることが多いですが、学べば学ぶほど、自分史を書くことは、年齢問わず多くの人の生き方を豊かに、元気にするものなのだと感じます。

そこで3回目の今日は、年齢を問わず、自分史を書くことで得られる「8つのメリット」をみなさんにお伝えしたいと思います。

■メリットその1:自分の生きてきた証を残せる

世界に一つしかない、完全オリジナルのあなたの体験は、残さないかぎり消えてしまいます。

自分史を書くことは、あなたの生きた証を家族や子孫、友人などだけでなく、社会に伝えること。それは後世にとっての大事な知識や知恵であり、将来いまの時代を検証する史料でもあります。

また、2013年からは電子書籍でも国会図書館に納本が可能になり、ハードルがぐっと低くなりました。あなたの自分史が歴史の1ページとして国会図書館に保存されるなんて、素敵だと思いませんか?

■メリットその2:自分をよく知ることができる

自分史をつくる過程では、自分の体験を通じて自分という存在を客観的に観ることが必要となります。その結果「自分はどんな人間なのか」というしっかりとした自己認識を持てるようになるのです。

また、過去の挫折や逆境を改めて振り返ることで、それが実は意味があったと分かることがあります。そのためにも「過去に起きたどんなことにも意味があった」という解釈が大事で、逆にそう考えられるようになれば、リスクを過度に畏れず、前向きにチャレンジする気持ちが湧いてくるのです。

■メリットその3:「生きがい」が見つかる

過去を振り返ることで、自分の好きだったこと、得意だったことなど、自らの個性や強みを改めて思い出すことは、新しい目標や夢を見つけるきっかけになります。

人が成長する過程で、他者からの目線や親の影響などで自分らしさを隠すようになることは誰にでもあること。それをまっさらな状態に戻って捉えることは、自分の本当にやりたいこと、生きがいを見つけるヒントになるのです。

■メリットその4:自分のことが好きになる 

「自分の歴史なんて書くことなんてない」という人もいるようですが、人が生きてくるなかで、何もないはずはありませんよね。

学生時代、がんばって試験に合格したこと、部活での劇的な勝利や、淡い恋愛など、そのときそのときでみんなそれなりにベストを尽くしてきたはずです。

それを振り返ることで「いろいろあったけど自分もがんばってきたな」と自分を肯定し、自信や自尊心を高めることになります。

あなたの人生の主人公はあなた自身。主体性をもった人生を送るのに、自分史は素晴らしいツールになります。

■メリットその5:自分をよく知ってもらえる

先ほど「自分をよく知ることができる」と言いましたが、それと同時に「自分のことを第三者に理解してもらえる」というメリットも自分史にはあります。

「個」の時代といわれる現代、既存の組織の枠を超えて活動する人が増えていますが、そのなかで重要なのは「あなたがどんな人か」というセルフブランディングです。

自分史を書くという過程のなかで見つける自分らしさは、就職などの自己PRにも活かすことができます。このメリットはとくに若い世代の人にも注目してもらいたいところです。

■メリットその6:コミュニケーションを深められる

自分史は、あなたとあなたの人生に関係した人達とのストーリーです。それを知り、伝えることで、家族内や職場内でのコミュニケーションを活性化することができます。

どんな環境で育ってきたのかを理解することで、相手への理解が深まる自分史を、社内コミュニケーションの活性化に活用している大手企業もあるほどなのです。

また家族との会話がない、という人にとっても、自分史をつくる過程で、これまで知らなかった自分や家族のことを話し合うきっかけになります。

■メリットその7:脳を活性化できる

脳科学者の茂木健一郎氏によれば「何かを思い出そうとするときは、何かのアイデアを出そうというときと非常に近いことを脳がやっている」とのこと。

また、ハーバード大学の心理学教授 エレン・ランガー氏が1981年に行った「時間の巻き戻し実験」では、70代の男性8人に「22年前にタイムスリップ」したつもりになってもらい、当時に近い環境で、当時の自分になりきって5日間一緒に過ごしたら、身体能力があがったそうです。

自分史をつくる作業はそれなりの時間がかかるので、そのあいだ脳を活性化することができます。年配の方のボケ防止に自分史作成がいいというのも頷けますね。

■メリットその8:つくること自体が楽しい

最後になって意外に思われた方もいるかと思います。しかし、これこそが自分史作成の醍醐味です。

自分の昔の友人、住んでいた家、通っていた学校などを取材するうちに、タイムスリップ気分を味わうことができます。それはまさに、あなたを主人公にした映画を作るのと同じこと。

このタイムスリップを楽しむことこそが、自分史を作る醍醐味だと私は思います。

*  *  *

以上、自分史を書くことで得られる「8つのメリット」をご紹介しました。

自分史というものが、それに取り組む人にとってはもちろん、社会全体にとっても大切な価値のあるものだとご理解いただけたら嬉しいです。

※自分史作成について相談してみたいと思われた方のために、自分史活用推進協議会の「無料相談受付」があります。ご活用ください。>>「自分史活用推進協議会」http://jibun-shi.org/

文/柳澤史樹
フリーライター/ 自分史アドバイザー。歴史を楽しむ情報サイトや企業ファンサイトのマネージメント、ビジネスコンセプトやコピーの執筆、多数の著名人取材などの他、現在は一般社団法人 自分史活用推進協議会認定 自分史活用アドバイザーとして、個人の軌跡を残す「自分史」を活動の軸とする。2016年暮れ、地元横浜から相模原市緑区へ引越し、農的暮らしと執筆生活の両立へシフトチェンジ中。

 

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