文/鈴木拓也

肩がひどく凝ったり、眠ると歯ぎしりをしたり、疲労感が抜けないといった身体の不調。病院や整体院に通い、セルフケアに取り組んでもあまり改善せず、悩んでいる人は多い。
あごの歪みを解消しただけで健康が回復
もしかするとその不調、原因は「あご」にあるかもしれない―そう言うのは、さつま骨格矯正Group総院長の柔道整復師、薩摩宗治さんだ。
これまで42万件の症例を見てきた薩摩さんだが、多くはあごの歪みを解決することで、快方に向かったという。
ふだんの生活では意識しにくいあごだが、何かのきっかけで構造的に歪むと、トラブルが起きる。
肩・首の凝り、腰痛、食いしばりに長年苦しんでいた、50代のある女性もその1人。薩摩さんに相談したところ、「あごの歪みが発端となってさまざまな不調が連鎖して起きている」と指摘された。
その女性は1回施術を受け、それから毎日、薩摩さんに教わったトレーニングを続けた。1か月が過ぎた頃には、凝りや痛みは「以前とは比べ物にならないほどラク」になったそうだ。それだけでなく、姿勢が良くなり、深い睡眠がとれるようになるなど、健康レベルが全般的に改善。かつての元気な身体を取り戻した。
このトレーニングは、薩摩さんが考案した、あごの歪みを元へと戻す一連のメソッドである。やり方は、著書『疲れはあごが9割』(東洋経済新報社 https://str.toyokeizai.net/books/9784492048429/)に詳しい。
1日たったの30秒であごを整える
食べるときに、あごで生じる噛む力は40~70kgにもなる。それほどの強さを持ちながら、あごの構造は意外なほど繊細だ。たとえば、猫背でスマホを長時間のぞきこむクセがあると、あごの関節が圧迫されることに始まって、あごを支える咬筋や周辺の筋膜も影響を受ける。最終的には、さきほどの女性のように複数の不調に見舞われることに…。
もし同様の不調を抱えているなら、本書に掲載されている「30秒ベロ体操」をやってみよう。これは、額から背中へとつながる筋膜「スーパーフィシャルバックライン」とあごを「一気に整える」トレーニングだ。
【30秒ベロ体操】
足を腰幅に開いて立ち、肛門をギュッと締める。利き手で反対の手首をつかんで下に引っ張ると同時にあごを上げ、できるだけ舌を天井に向けて上げ、そのまま30秒キープ。
(本書83pより)

(本書83pより)
これは毎日行い、慣れてきたら徐々にキープする時間を延ばすようアドバイスされているが、本当にシンプルな方法である。これだけで、あごと筋膜が整えられ、呼吸が深くなり、消化器系の調子が良くなり、声も若返るなど効果は計り知れない。
顔のマッサージは「外から内」へ
本書には、実年齢よりも高齢に見られる「老け顔」の対策もある。
美容目的で顔のマッサージをしている人はたいがい、「内から外」の方向で指を動かしている。しかし、薩摩さんはその逆、つまり「外から内」が正解としている。
実は、我々の顔の筋肉は、日常のさまざまな場面で常に外側へと引っ張られ続けているという。
たとえば、笑ったとき。口を開けて笑うと、顔の筋肉は奥歯のほうへと引っ張られていることがわかるでしょう。また、食いしばりであごに力が入っているときはどうでしょう? あごに力が入り続けると、エラの筋肉が外へと張り出します。
(本書108pより)
こうして顔の筋肉は疲労が常態化。「内から外」のマッサージだと、なおさら悪化してしまう。
そこで薩摩さんがすすめるのが「逆マッサージ」。両手の指の腹、または軽く握った第二関節を頬に当て、外から内へ筋肉を動かすように刺激する。
具体的なやり方は次のとおり。
おでこや目の下など、あらゆる筋肉を鼻に向かって「外から内」へ集めるように刺激します。最大のポイントは、口角の横にある筋肉の集合地点「モダイオラス」です。口を真ん中へキュッと尖らせるイメージでここを念入りに刺激すると、ほうれい線や口角の下がりを的確に予防することもできます。
(本書115pより)

本書には、これらのトレーニングのほか、食いしばりを直す方法、日常的にあごを整える9つの習慣など、あごから生じるトラブルへの対処法が盛り込まれている。「自分の不調はもしかして、あごから来ているのでは?」と心当たりのある方は、本書のトレーニングをやってみるといいだろう。
本書内イラスト:二階堂ちはる
【今日の健康に良い1冊】
『疲れはあごが9割 24時間戦う脳と身体をリセットする技術』

定価1650円
東洋経済新報社
文/鈴木拓也
老舗翻訳会社役員を退任後、フリーライターとなる。趣味は神社仏閣・秘境めぐりで、撮った写真をInstagram(https://www.instagram.com/happysuzuki/)に掲載している。







