念願の大河ドラマで親子共演を果たした太田垣輝延役の中野英雄さん(左)と小一郎役の仲野太賀さん(右)。(C)NHK

ライターI(以下I):『豊臣兄弟!』第21回では、主人公の羽柴小一郎を演じる仲野太賀さんの実父中野英雄さんが竹田城主の太田垣輝延として登場し、「親子共演」が実現しました。歌舞伎俳優で「親子共演」はあったりしますが、大河ドラマではレアなことだと思います。

編集者A(以下A):仲野太賀さんは折に触れて、ご自身の「太賀」という名前について、その由来が「大河ドラマに出演する俳優になってほしい」という思いが込められているという話をしていたので、大河ドラマの主人公になっただけではなく、「親子共演」まで実現して私たちまで嬉しくなる出来事でした。

I:その中野英雄さんからコメントが寄せられました。まずは、大河ドラマ初出演についての思いです。意外にも大河ドラマ初登場だったんですね。

大河ドラマは、何十年も出たくて仕方なかった番組です。そこに息子の太賀に導かれて出るなんて夢のような話なので、お声がけいただいた時は「嬉しい」の一言でした。ただ、ひとつだけ迷いがあって、それは作品の邪魔をしてしまうのは嫌だな、ということ。「親子共演」を楽しんでくださる方もいらっしゃるでしょうけど、僕が出ることによって、物語に集中できなくなったり、見る方に変な先入観を与えてしまったりしないかと心配で。太賀も、本当は僕が出るのは気が進まないのに、気を遣って言えないのかも? と勘ぐっていたのですが、思い切って話してみたら、いつもと変わらない調子で「やってよ」と言ってくれたので、その言葉に甘えて出演することにしました。

A:ひねりもなにもないストレートな感想で恐縮なのですが、「いい息子を持ってうらやましい」「いい親を持てたことに感謝を忘れないで」って思いました。

I:中野英雄さんは、太田垣輝延を演じるにあたっての思いも語ってくれました。中野さんが演じた太田垣輝延は代々竹田城を守ってきた名将で、その名「輝延」の「輝」の字は室町幕府13代将軍足利義輝の「輝」の字の偏諱だといわれている名門でもあります。

太田垣は小一郎が初めて大将として攻略する竹田城の城主ですから、ある程度インパクトを残さないといけないと思いました。脚本を読んで考えたのは、これまで僕がVシネでやってきたような振り切った「悪役」として演じるか、あるいは少し冷めたような、クールな芝居でいくか、どちらかだなということ。声質や雰囲気をどうすべきか、自分の中でいろいろと考えながら撮影に臨みましたが、現場で監督さんから「低い声で、ガン! と悪そうな感じでいってください」と言ってもらえたので、それを信じてやらせていただきました。

A:こういう話大好きです。中野英雄さんがVシネマの話題を出してきたので敢えて触れますが、個人的には、思いっきりドスの効いた声色で演じてほしかったです。そして、Vシネマといえば、宮部継潤を演じているドンペイさん。かつては印象的なチンピラ役で楽しませてもらった立場でいえば、好好爺のような宮部継潤ではなくって、思いっきり悪役として登場してほしかったと思っています。

I:そして、中野英雄さんの話は、息子との共演についても言及しています。

小一郎と交わすセリフは一言だったのですが、親子で真剣に見つめ合って芝居をするのはどうしてもはじめは照れがあって。リハーサルの時はまだ照れが残っていたのですが、本番ではビンビン伝わってくるものがありました。目と目があった瞬間は、息子だなんて全く感じず、太田垣として「このクソガキ!」と思ったくらいです(笑)。お互い一役者として向き合って、きちんと役者同士の対話として芝居ができたことが、すごく嬉しかったですね。長年の夢だった大河の現場にいられる感動とあいまって、ちょっと涙が出てきてしまって。監督に「ひとりで泣きそうです」って言ったら、「今は泣いちゃダメですよ」と返されました(笑)。

I:本編でも言及しましたが、せっかくの親子共演。せめて「そなたたちは水を飲め」という城主であってほしかったな、って思っちゃうんですよね。

A:中野さんからは視聴者の方々へのメッセージもいただいています。

皆さん、僕が出ていることに気づかずに、小一郎が「天空城」を攻略する姿を楽しんで見てくれていたら、それがいちばん嬉しいです。見終わったところで、「えっ、あれ(仲野太賀の)親父だったんだ?」と驚くぐらいがちょうどいいかなと(笑)。

A:いや、でもなんだか「感動をいただきました!」といういい場面になりましたね。ちょっと目頭が熱くなってます。

●編集者A:書籍編集者。かつて『完本 信長全史』(「ビジュアル版逆説の日本史」)を編集した際に、信長関連の史跡を徹底取材。本業では、11月10日刊行の『後世に伝えたい歴史と文化 鶴岡八幡宮宮司の鎌倉案内』を担当。

●ライターI:文科系ライター。月刊『サライ』等で執筆。猫が好き。愛知県出身なので『豊臣兄弟!』を楽しみにしている。神職資格を持っている。

構成/『サライ』歴史班 一乗谷かおり

 

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