昨今、さらなる高まりを見せるジャパニーズウイスキー人気。その流れを受けて日本各地のバーでもジャパニーズウイスキーに注目し、様々な形でセレクトを強化しつつある。今回はジャパニーズウイスキーを心ゆくまで満喫できるバーを紹介する。

Bar Freedom(大阪・千日前)

三角形のカウンターに7席、テーブル6席程度のこぢんまりとした店内。カクテルもビールもなく、ジャパニーズウイスキーのみ。

大阪はミナミ、千日前の相合橋筋商店街の一角に「BAR」と書かれた小さな立て看板が置かれている。これがなければ、ここの2階にバーがあることはわからないだろう。店のオーナーは台湾出身のトニー・ワンさん(41歳)だ。14歳でアメリカに留学し大学を卒業、23歳で来日してIT関連の仕事をしていたという経歴の持ち主だ。

米国の大学では工業デザインと日本語を学んだ。台湾の実家は歯科医院だが「両親は好きなことをさせてくれた」という。

トニーさんが相方と一緒に、ここにバーを開店したのは11年前のことだ。だが、3年前に相方が病気で急逝する。

ひとりでできる態勢に転換

「相方は私のお酒の師匠でしたから途方に暮れました。でもそれをきっかけに、ジャパニーズウイスキー専門のバーに切り替えたのです。それまでは日本酒もビールも出すバーでした」

店の内装も自身でリニューアル、壁に漆喰を塗りボトル棚や引き出しも自分で作った。リニューアルとともにガス台をなくし、提供するのはウイスキーと乾き物のおつまみだけに絞った。できるだけシンプルにして、ひとりでやれる態勢を作ったのである。

「ジャパニーズウイスキー専門のバーにしたのは、せっかく日本にいるのだから日本のウイスキーを出したいと思ったからです。それと、ウイスキーのストーリーに惹かれました。蒸留所ごとにそれぞれのストーリーがあり、ウイスキーにもそのストーリーが引き継がれている気がします」

棚にはサントリー、ニッカといった大手からクラフト蒸留所の限定ボトルまでぎっしり並ぶ。トニーさんが選んだストーリーが詰まった棚である。

現在は口コミで徐々に客も増えてきた。ジャパニーズウイスキー目当ての訪日客も多いという。

「昼間は民泊業をやっていまして、夜もバーに立っていると、そろそろ体がきつくなってきました。だからあんまり忙しくなっても困るので、SNSの発信には熱心ではありません」

知る人ぞ知る隠れ家のようなバーになっているのは、そんな事情もあった。

「相方とバーをやろうと思ったのは、決められた人生から解放されたいと思ったからです。だからバーの名前はフリーダム。ここは私と相方が創り上げた自由の空間なのです」

おすすめは尾鈴山蒸留所の「OSUZU MALT Cedar Barrel」。自社栽培の大麦から造った豊潤なモルトウイスキー。ワンショット2800円。おつまみ500円。

Bar Freedom

大阪市中央区千日前1-6-14千寿ビル別館2階
営業時間:19時30分〜23時(最終入店) 
定休日:不定
交通:地下鉄堺筋線日本橋駅より徒歩約5分
@bar_freedom(Instagram)

撮影/小林禎弘

※2026年「サライ」3月号より

3月号大特集は『ジャパニーズウイスキーを極める』

 

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