取材・文/ふじのあやこ

写真はイメージです

厚生労働省が発表した「令和3年(2021)人口動態統計月報年計(概数)」では、2021年度の婚姻件数は 50万1116組、離婚件数は18万4386組。婚姻件数、離婚件数ともに前年よりも減少しているものの、今もどこかで夫婦が誕生して、夫婦が他人になっている。日本の非婚化がメディアなどで多く取り上げられているが、今回は離婚を経験後に再び家族を求める人たちに、その理由を伺っていく。

「初めて心から好きになれた男性と結婚できたのに、結局うまくいかなかった。まさか自分から離婚を言い出すようになるとは思ってもみませんでした」と語るのは、真子さん(仮名・44歳)。一度目の結婚は25歳から31歳までと6年間の交際期間を経て結婚。出会った当初、相手は既婚者だった。

引っ込み思案で告白を断ることもできなかった

真子さんは大阪府出身で、両親との3人家族。小さい頃から悪ふざけや仲間外れの対象になることが多く、そのことが影響してなのか性格は引っ込み思案。親の前ではいい子をずっと演じていたと振り返る。

「今で言う“いじられキャラ”だったんだと思いますが、相手が思うような応答ができないことが続くと、気づいたら友達の輪から外されていました……。学生時代を振り返るとそんなことの繰り返しでしたね。物を隠されたり、暴力を振るわれるようないじめ行為はなかっただけまだマシだったんでしょうけど。ひたすら息をひそめて、『今日も静かな学生生活を送れますように』とだけ願いながら、学校に向かっていました。

母親から学校のことをよく聞かれていたんですが、話していた内容はほぼ嘘でした。自分が理想としている学校生活、友人の輪の中心にいるように振る舞っていました。だから、親は私が楽しい学生生活を送っていたと今も思っているはずです」

真子さんは大きなアーモンドアイが印象的な整った顔立ちをしている。異性については相手からの好意を断ることができずに付き合ったこともあるという。

「あの頃は同性の友だちといかにうまくやるかがすべてで、異性なんてまったく意識していませんでした。おしゃれもしないで地味な感じだったんですけど、私のことを好きと言ってくれる同級生や先輩がいて。相手のことをよくわからないまま付き合ったことがあります。断ることよりも流されるほうが楽だったからだと思います。当時の気持ちを振り返ってみても、あまりよく覚えていないんです……」

大学では友人関係には恵まれ、卒業後は大阪府内の装飾品の販売や修理を請け負う企業に就職。同じ職場の男性と不倫関係になってしまう。

「関係を持ったのは私が25歳のとき。知り合ってから2年以上が経っていました。その2年はずっと片思いをしていたんです」

【16歳上の上司と不倫関係になり、6年間を耐え抜いて結婚へ。次ページに続きます】

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