取材・文/沢木文

「女の友情はハムより薄い」などと言われている。恋愛すれば恋人を、結婚すれば夫を、出産すれば我が子を優先し、友人は二の次、三の次になることが多々あるからだろう。それに、結婚、出産、専業主婦、独身、キャリアなど環境によって価値観も変わる。ここでは、感覚がズレているのに、友人関係を維持しようとした人の話を紹介していく。

智子さん(64歳)は、1年前コロナ禍中に、同じ年の男性と結婚した。その時に、40年近く友情をはぐくんでいた良子さん(65歳)から絶交され、それまでの友人関係から遮断をされてしまう。

それまでの経緯は前編

がんとの闘病もサポートした

仕事は楽しくもハードであり、あっという間に50代になっていたという。

「年に1回海外旅行をして、月に1~2回、ワリカンでおいしいものを食べる。そんな関係がずっと続きました。良子さんはいつもきれいで、仕事の話も楽しかった。結局、私も良子さんも仕事が好き。私たち、かつては同じ会社に勤務していた。私はそのまま勤務を続け、良子さんは外資系に転職。元同僚の消息や思い出話も含めて、仕事の話ができるって最高なんですよ。結局、それが一番大切。あと私たち、タバコを吸うのよ。だから一緒に旅行をしやすいのよね。喫煙ルームに泊まれるし(笑)」

智子さんは良子さんのがんの闘病に付き添ったこともある。50代で初期のガンが見つかったことを良子さんに告白される。

「そのときの主治医が言う治療方針では、良子さんの命は助からないとわかった。というのも、兄が全く同じことを言われて、あれよあれよという間に命を落としてしまったから。そこで私の親しい医師に紹介したところ、別の治療方法を提案され、良子さんは一命をとりとめたんです」

今思えば、ここが友情の分岐点だった。

「良子さんは後ろを見せない人なので、私なんかの世話になりたくなかったと思う。でもご両親は高齢だし、頼れる人は私しかいなかった。それに、それまでは私の方が妹で、良子さんが姉という関係だったのに立場が逆転したんですよね」

病により命を脅かされたことで、良子さんも変わった。

「それまで、神信心を示さなかったのに、ドコドコの神社の何がいいとか、ダレソレさんの霊気をいただくと健康になるとかそういうことを言い始めたんです。一緒に行っていた旅行も、それまでは欧米の都市やアジアのリゾートホテルだったのに、国内のパワースポットを指定するようになったんです」

【私が病気になったら誰も助けてくれない、という気持ちもあり、結婚を受け入れた。次ページに続きます】】

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