車の好みや選び方に地域差はあるのか?
新車・中古車の販売事業を行う株式会社ネクステージ(https://www.nextage.jp/))は、30~49歳の男女560名にエリア別の人気車種に関するアンケート調査を実施しました。
車選びの要素は、メーカーやボディタイプ、デザイン、色、性能、価格などさまざまです。これらのうちの何を重視するかは、人によって、また用途によっても違うでしょう。
車の選び方がエリアによる違いがあるかどうか、あるとしたらどのような違いなのかをアンケートに基づいて検証します。
調査概要
調査内容:「車」に関する調査
調査方法:インターネット
調査期間:2021年7月10日~2021年8月04日
有効サンプル数:30~49歳の男女560名
調査地域:北海道・東北、関東、中部、近畿、中国、四国、九州
※アンケートは選択肢候補を提示したうえで行う選択制にて実施(車種を除く)し、「特になし、検討中」の回答は除いています。
まずは、メーカー、ボディタイプ、車種の選択についてエリア別に違いがあるかどうかを見ていきましょう。
エリア別の国産車・輸入車メーカーの人気傾向
国産メーカー9社の選択肢の中から「もし、あなたが『国産車』を買うなら、どのメーカーを選択しますか?」と質問し、各エリアから回答を得ました。
その結果、トヨタを選んだ人がいずれのエリアでもエリア全体の5割を超え、2位以下に大差をつけての1位になりました。
以下、エリアごとのベスト3を挙げます。
・北海道・東北 1位:トヨタ 2位:ホンダ 3位:スズキ
・関東 1位:トヨタ 2位:レクサス 3位:ホンダ
・中部 1位:トヨタ 2位:日産 3位:ホンダ
・近畿 1位:トヨタ 2位:レクサス 3位:ホンダ
・中国 1位:トヨタ 2位:レクサス 3位:ホンダ
・四国 1位:トヨタ 2位:ホンダ 3位:ダイハツ
・九州 1位:トヨタ 2位:日産 3位:ホンダ
いずれのエリアでも2位が全体の3割を超えることはなく、国内メーカーではトヨタの人気が圧倒的に高いことがうかがえます。北海道・東北エリアや四国エリアなど、車が日常生活に欠かせないエリアでは、1家族で数台所有することが少なくありません。このようなエリアでは軽自動車の利用が多いため、メーカー選びにも反映されていると推察できます。
続いて、輸入車メーカー16社の選択肢の中から「もし、あなたが『輸入車』を買うなら、どのメーカーを選択しますか?」と質問したところ、国産メーカーの場合とは異なり、人気が分散する結果となりました。
エリアごとのベスト3を列挙していきます。
・北海道・東北 1位:フォルクスワーゲン 2位:BMW、メルセデスベンツ 3位:アウディ
・関東 1位:BMW 2位:フォルクスワーゲン、メルセデスベンツ 3位:アウディ
・中部 1位:BMW 2位:メルセデスベンツ 3位:アウディ、フォルクスワーゲン
・近畿 1位:BMW 2位:メルセデスベンツ 3位:フォルクスワーゲン
・四国 1位:フォルクスワーゲン 2位:BMW、メルセデスベンツ 3位:アウディ
・中国 1位:メルセデスベンツ 2位:BMW 3位:フォルクスワーゲン
・九州 1位:メルセデスベンツ 2位:アウディ 3位:BMW
アンケート結果から、輸入車メーカーを選ぶ際のエリア別の顕著な特徴は見られませんでした。また、他社を大きく引き離すほど人気を集めるメーカーもありませんでした。
すべてのエリアで、個性的なクルマや用途が限定されやすいクルマを作る輸入車メーカーより、汎用性が高くリセールしやすいメーカーを選ぶ傾向が高いことがうかがえます。
ボディタイプの人気傾向
ボディタイプの選択肢は、軽自動車、コンパクトカー、SUV・クロスカントリー、ミニバン、セダン、クーペ、ステーションワゴン、オープンカーの8種類です。
「もし、車を買うなら、どのボディタイプを選択しますか?」の問いにもっとも当てはまるものを選んでもらう形でアンケートを行いました。その結果、人気の高かったボディタイプのベスト3をエリアごとにまとめました。
・北海道・東北 1位:軽自動車 2位:コンパクトカー 3位:SUV/クロカン
・関東 1位:SUV/クロカン、コンパクトカー 2位:軽自動車 3位:ミニバン
・中部 1位:SUV/クロカン 2位:コンパクトカー、ミニバン 3位:軽自動車
・近畿 1位:軽自動車、SUV/クロカン 2位:ミニバン 3位:コンパクトカー
・四国 1位:SUV/クロカン 2位:軽自動車 3位:コンパクトカー
・中国 1位:SUV/クロカン2位:軽自動車 3位:コンパクトカー
・九州 1位:SUV/クロカン2位:コンパクトカー3位:軽自動車
ボディタイプでは、順位の違いはあるものの、どのエリアでもコンパクトカー、軽自動車、SUV・クロスカントリーの3タイプが3位以内を占めています。この結果から、ボディタイプ選びにはエリアによる大きな差異はなく、使い勝手の良いコンパクトカーやコストパフォーマンスの良い軽自動車、さらにアウトドアから買い物までと汎用性の高いSUVやクロスカントリーの人気が高いことがわかります。
人気車種の傾向
車種については、車種が多岐にわたることもあって、自由回答としています。このため、輸入車では、車種ではなくメーカー名での回答が多数あり、結果は参考程度にとどまります。
エリア別の国産車、輸入車の人気車種のベスト3は下記の通りです。
・北海道・東北 (国産車)1位:N-BOX、アルファード 2位:フィット、プリウス 3位:ジムニー、タント、ヴェルファイア
(輸入車)1位:ベンツ 2位:アウディ、ワーゲン 3位:BMW
・関東 (国産車)1位:アクア 2位:シエンタ 3位:アルファード、セレナ、ランドクルーザー
(輸入車)1位:ベンツ 2位:BMW 3位:アウディ
・近畿 (国産車)1位:アルファード 2位:ハリアー 3位:プリウス
(輸入車)1位:ベンツ 2位:BMW 3位:SUV
・中部 (国産車)1位:セレナ 2位:アルファード 3位:ヤリス
(輸入車)1位:グランドチェロキー 2位:ゴルフ、ポロ
・中国 (国産車)1位:クラウン、アクア 2位:ハリアー、フィット、プリウス、アルファード、セレナ
(輸入車)1位:ベンツ 2位:ワーゲン 3位:ミニ
・四国 (国産車)1位:プリウス 2位:アルファード 3位:アクア、ジムニー
(輸入車)1位:ゴルフ 2位:ジープ、ミニクーパー
・九州 (国産車)1位:フィット、プリウス、ヤリス 2位:アクア、ヴォクシー 3位:スペーシア
(輸入車)1位:ミニクーパー
調査結果から、人気車種はボディタイプの人気ランキングに則してプリウス、フィット、アクアなどのコンパクトカーや、ジムニーなどの軽自動車、ランドクルーザーなどのSUV・クロスカントリーの車種がランクインしています。
一方で、ボディタイプでは3位以内にランクインしなかったセレナやアルファードなどのミニバンも人気を集めていることがわかります。
また、国産メーカーの人気ランキングではすべてのエリアでトヨタが1位だったものの、車種別で見ると中部の1位は日産のセレナです。さらに北海道・東北、九州ではトヨタ車とともにホンダ車が1位になるなど、トヨタ車が1位を独占する結果にはなっていません。
とはいえ、トヨタ車はすべてのエリアの2位以内にランクインしており、車種別ランキングからも全エリアでトヨタの人気が高いことがわかります。
「見た目・デザイン」を重視して車を選ぶ人が多い
車を選んだ際に重視した点についてのアンケート結果についても検証してみましょう。
選択肢は、価格、走行性能、燃費、見た目・デザイン、リセールバリューの高さ、乗用人数・積載量、安全性能、機能・装備です。この中から選択された回答を、エリア別に集計しました。
いずれのエリアでも、もっとも重視された要因は「見た目・デザイン」で、40%~50%を占めています。2番目に重視した要因は関東以外のすべてのエリアで「価格」でした。関東では「走行性能」が2番目にランクインしています。
価格、走行性能以外で多かった要因は「燃費」でした。これ以外の要因では、エリアによって若干の差があるものの、「乗用人数・積載量」「安全性能」「機能・装備」が選ばれています。
ただし、四国だけは「走行性能」より「機能・装備」がやや多い結果になりました。
すべてのエリアで最下位だったのが「リセールバリューの高さ」です。
リセールバリューとは、クルマを売る際の再販価値のことですが、このアンケート結果からはクルマを購入する際の要因としては、あまり重視されていないことがわかります。
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アンケートの結果から、すべてのエリアで人気の高かった国産メーカーはトヨタであることがわかりました。
ただし、車種別で見ると必ずしもトヨタ1強ではなく、エリアによって日産やホンダ、スズキが人気を集め、全体として幅広いメーカーの車種がランクインしています。
輸入車メーカーは人気が分散し、国産車のように飛びぬけて人気の高いメーカーはありませんでした。
また、輸入車の車種調査では車種とメーカーを混同しているケースが見受けられ、明確な結果は得られませんでした。
人気車種ではプリウスやフィットなどのコンパクトカーや、セレナやアルファードなどのミニバンがランクイン。
すべてのエリアでデザインが良く、燃費と走行性能に優れたお手頃価格な車が選ばれていることがわかります。
今回のアンケートでは、エリア別で車選びに大きな違いはないことがうかがえます。
レンタカーやカーリースなど、車を利用する方法が多様化している中で、購入するとなると、エリアを問わず、手頃な価格の国産車で使い勝手の良い車種の中からデザイン性の高い車選びをする人が多いことがわかりました。