ニュージーランドとハワイのちょうど中間に位置するクック諸島。ポリネシア文化が色濃く残るこの島々には、美しい海と人々の優しい笑顔があふれている。何も飾らないそのままの姿がそこにある。
人々が「キア・オラナ」(こんにちは)と屈託のない笑顔で話しかけてくる。ここは南の楽園と呼ばれるクック諸島の中心地、ラロトンガ島。15の島々からなる人口1万8000人のクック諸島は、年間16万人が訪れるリゾートアイランド。その旅行者のほとんどはニュージーランド人で、日本人の旅行者はわずか500人程度だ。
クック諸島の名は、かの「キャプテン・クック」に由来するが、彼はこの島には上陸しておらず、この海域の地図を製作したロシア人が命名したという。南太平洋に住むポリネシアの人々はアジアからタヒチを経由してニュージーランド、ハワイ、イースター島に至る広大な海域を旅し、定住した。
彼らはモンゴロイドに属しており、蒙古斑があるという。家族のつながりを尊重し、もてなしの心を大切にするという日本人に通ずるメンタリティがあり何か懐かしい感じを覚える。
ラロトンガ島は、マオリの言葉で「ラロ」が下の方向や果て、「トンガ」が南を意味する。この島は周囲約30kmの小さな島で、車で1時間もあれば一周でき、中心地のアバルアは銀行や警察、商店などが並ぶが繁華街のようなものはなく非常に質素だ。島には信号はなく、ヤシの木より高い建物もない。美しい海と豊かな自然、そして人々とのふれあいがこの島にはある。島の周囲は遠浅のラグーンが広がっており、美しい砂浜にはビーチリゾートが点在している。
興味深いことに、外資系の有名リゾートホテルは存在せず、地元のホテルのみだという。クック諸島では外国人への土地の売買が禁じられており、所有権も親族で相続する。ホテルが立つ土地もリースで、契約期間は60年となっている。この島には「作られたリゾート」という印象はなく、手つかずのポリネシア文化を肌で味わえる貴重な存在といっていいだろう。
美しい海と山、マオリの人々の暮らしと笑顔に触れる
海沿いのメインロードから一歩山側に入ると、バックロードと呼ばれる生活道路が通っている。通り沿いにヤシが生い茂り、タロイモやバナナ、キャッサバの畑などが点在する。道行く人は「キア・オラナ」と、笑顔で挨拶を交わし、のんびりとしたどこか懐かしい風景が広がる。
島には特産品の工房が多く、貝や木を用いた工芸品や特産のココナッツを使った個性豊かな製品が作られている。黒蝶貝を使ったアクセサリー、ウクレレやマオリの伝統的な木工品、ココナッツオイルに石鹸、ヤシの葉を編み込んだアクセサリーなど、島ならではの素朴な製品が揃う。見学できる工房もあり、その製法など興味は尽きない。
クック諸島の人々は、そのほとんどがクリスチャンだ。イギリスの宣教師がキリスト教を伝えて以来、マオリの人たちはそれまでの土着の信仰を捨てて、改宗したという。日曜日には正装をして村の教会へ礼拝に訪れるのが、彼らの習慣となっている。礼拝には旅行者も参加することができるので、マオリの言葉で歌われる讃美歌の美しいハーモニーに耳を傾けてはいかがだろう。
世界一美しいといわれる珊瑚の島、アイツタキ
ラロトンガ空港から飛行機で約40分で到着するアイツタキ島。広大な美しいラグーンが広がり、点在する島々を巡るクルーズが人気だ。クルージングで訪れるワンフットアイランドは、世界で唯一無人島に郵便局がある島として知られている。ここでは島名にちなんだ足形のスタンプを押してくれる。
クック諸島7日間ツアーの概要
クック諸島へ安心して旅行できる、添乗員同行の阪急交通社のツアー例を紹介する。ラロトンガ島、アイツタキ島の2島を巡って美しい景色を堪能し、島の人々の暮らしを垣間見られる。7日間プランで38万9800円~。
クック諸島へは快適で安全なニュージーランド航空で
ニュージーランド航空はニュージーランド国内をはじめ、アジア太平洋、北米、ヨーロッパそして南米の18か国50以上の都市へ直行便を運航し、日本からニュージーランドへ唯一の直行便を運航している。商品・サービス・安全性の高さにより世界中で高い評価を得ており、5年連続エアライン・レイティングス・コムの「エアライン・オブ・ザ・イヤー」に選ばれるなど、国際的な賞を多数受賞しているエアラインだ。機内エンターテインメントも充実しており、最新のシステムにより、映画・音楽の視聴や飲み物・スナックの注文、買い物などが楽しめる。
取材・文・撮影/石津祐介
協力/クック諸島観光局 http://www.go-cookislands.jo ニュージーランド航空 https://www.airnewzealand.jp/