上野から新潟まで各駅停車で「駅弁」一気食い旅をしてみた !【その２】

神尾弁当部

神尾弁当部で購入の２個

さけとにしんの親子めし

えんがわ押し寿司

新潟駅で最後の駅弁「えび千両ちらし」と対面

ふくれた腹をさすりながら新潟駅万代口の「たび御膳」という駅弁販売所に向かう。ここでは登場以来数年で名駅弁の地位を築いた「えび千両ちらし」1300円をゲットしなくては。夕方なので残り２個だったが「普通はもう売り切れている時間帯」と売店のお姉さんに聞いて一安心、ついでに地元で人気のお弁当は？と聞けば、「村上牛しぐれ」1200円がおすすめだという。おそらくセールストークなのではと思い購入を見送ったが、帰ってから評判を調べたら「牛肉どまんなか」をしのぐ美味しさなのだとか。「えんがわ押し寿司」の例もある通り越後の女の言うことは聞いておかねばと思った。さて、宿に入ってひとり「えび千両ちらし」と対面する。敷き詰められた玉子焼きをめくれば出汁のかかったうなぎやこはだ、いかや海老が並んで寝ている。いやはや結構な眺めだ。その下のちょっと甘めの酢飯との相性もいい。最近では東京駅でも購入できる名駅弁だが、やっぱり地元で食べると格別の味わいだった。１日で８弁を食った上野〜新潟駅弁旅。越後平野に入ると素材で勝負しているお弁当が目立つ感じだ。そんななか、仕掛けと素材を両立させた「えび千両ちらし」はやはり素晴らしかった。

新潟駅

えび千両ちらし

文・写真／杉﨑行恭
乗り物ジャンルのフォトライターとして時刻表や旅行雑誌を中心に活動。『百駅停車』（新潮社）『絶滅危惧駅舎』（二見書房）『異形のステーション』（交通新聞社）など駅関連の著作多数。