47都道府県を最低3回以上は訪れているというニッポン通のパックンとともに、美しい景観や清らかな湧水、美味しい旬の食材、好奇心をくすぐる逸品との出会いなど、各商工会と事業者が誕生させた「とっておきのお宝」大発見!の旅に出た。
パックンも心を躍らせる日本全国のお宝
日本には、各地域ならではの優美な自然や幻の食材、地域に根差した伝統文化や匠の技など、ニッポン在住歴26年目のパックンも目を見張るお宝が数多く眠っている。
全国商工会連合会が推進する「地域力活用新事業創出支援事業全国展開支援事業」は、そんな各地域のお宝を見つけ出し、地域活性化に繋げようとする取り組みだ。全国に約1650か所ある商工会では、小規模事業者の金融・財務・経営の相談などを行なっており、全国展開事業でも、地域の資源を活用して、全国規模のマーケットを視野に入れた特産品開発や観光資源開発に取り組んでいる。
平成30年には全国で72件の新事業が採択され、これまでの全国展開支援事業の採択件数は計約1700件に及び、地域力活性化への大きな要ともなっている。そんな各地域のお宝は、外国人観光客の目に留まり大きな話題になったり、人気スポットとして注目されるケースも年々増えてきた。
今回はパックンと一緒に、日本人も外国人観光客も大絶賛する「とっておきのお宝」を紹介する。
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【鳥取県 湯梨浜町商工会】湯梨浜町原産の大梅“野花梅(のきょううめ)”(品種名・野花豊後)を使った「げんき梅ブランド商品」
野花梅ならではの大きさと、完熟梅の甘酸っぱさに感激
鳥取県の中央に位置する湯梨浜(ゆりはま)町は、温泉の湧き出る東郷湖を中心とした『げんきウォーキングプロジェクト』に取り組んでいる。その一環として、商工会が商品開発に励んでいるのが、直径約6cmにも実る大梅〝野花梅〟を使った『げんき梅ブランド商品』だ。
この大梅は昭和15年頃に発見された町原産の希少種で、杏種が混じるため完熟すると果実のような芳香と甘みがあるのが特徴という。この梅を使って新商品を開発した『菓子工房シェル・ブール』のパティシエ・朝倉真一さんはいう。
「杏のような色合いや甘さを出すため一度冷凍して潰すなど工夫を凝らしました。完熟梅ならではの美味しい洋菓子をご賞味ください」
早速パックンにも、大粒の完熟梅が丸ごと一個入った『完熟丸ごと梅ゼリー』を食べてもらった。
「外国人は酸っぱいだけの梅は苦手ですが、ベリー系のような甘酸っぱさは大好きです。ヨーグルトやフルーツにも合いそうですね」
現在、完熟野花梅を使った商品は計15種類が完成しているという。元気や活力の源として、新感覚の美味しさをぜひ味わって欲しい。
【問い合わせ&旅情報】
湯梨浜町へは、鳥取空港から連絡バス(三朝・倉吉行き松崎駅前下車)で約40分。JRは山陰本線松崎駅下車。黒いダイヤと呼ばれる東郷湖の大しじみや二十世紀梨も名物。
●問い合わせ先:湯梨浜町商工会 電話0858・32・0854
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【静岡県 清水町商工会】日本三大清流・柿田川(かきたがわ)湧水の、神秘のパワーと清らかな恵みを全国に発信
柿田川湧水は百年以上を経て伏流水となった富士山の恵み
静岡県・清水町を流れる柿田川は、水質の良さに加えて生態系が豊かなこと、里山の原風景が残されていることなどから、岐阜県の長良川、高知県の四万十川とともに日本三大清流と呼ばれている。
パックンがまず訪れたのは、柿田川湧水公園内にある湧水場だ。「透明でコバルトブルーの輝き。見ていると吸い込まれそうですね」と、コロラドの名水で育ったというパックンも美しさに驚く。
この湧水は富士山の雪融け水が、長い年月をかけて伏流水となるため、ミネラルや炭酸ガス、酸素も豊富で、身体を癒してくれるような優しく甘い軟水だ。その湧水を味わったパックンは、「外国人にはスプリングウォーターと表現してください。すると湧水ならではの美味しさが伝わるはずです」とアドバイスしてくれた。
柿田川百年水豆腐はこの湧水を使った特産品で、公園内にある食事処『かわせみ本館』では、豆腐料理の数々が堪能できるという。
園内には、水の神と縁結びの神の貴船神社もあり、豊かな自然や食文化、伝統を満喫する旅となった。
【問い合わせ&旅情報】
清水町・柿田川湧水公園へは、JR 東海道新幹線・三島駅から車で約10 分。車だと東名沼津IC から約15 分。園内では湧水を使った豆腐アイスクリームやワサビも人気がある。
●問い合わせ先:清水町商工会 電話055・975・6987
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【長崎県 平戸市商工会(生月支所)】美しいサンセットウェイが走り、海の幸が豊富な信仰に満ちた島へ
魚の旨みを凝縮させた干物は外国人も喜ぶ日本の伝統文化
平戸市・生月島(いきつきしま)は、玄界灘と東シナ海が交わる長崎県の西北端に位置し、雄大な自然が今も残る。
島の西側には100mを超す断崖が海に切り立ち、東シナ海に沈む荘厳な夕陽が絶景のサンセットウェイは、数々の車のCMや映画のロケ地として登場し、バイクツーリングにも垂涎のスポットだ。
また周囲の海は、ウニやイカ、鯛など魚介類の宝庫。中でも島特産のアゴと呼ばれるトビウオは秋が旬で、島全体がアゴを焼く香ばしい薫りに包まれる。島でアゴだしなどの加工品を扱う『マルイ水産商事』の末永三千生さんはいう。「島では獲ったばかりの新鮮なアゴをすぐ加工できるので、他にはない品のいい味に仕上がります。一流料亭からの注文も多いですね」
干物には目がないというパックンには、焼いたばかりの香ばしい干し塩アゴを味わってもらった。「生でも旨い魚介を干して、さらに旨みを凝縮させた干物はまさに日本の伝統文化。酒の肴にも最高ですね」と、大きい瞳を輝かせた。
生月島の沖には潜伏キリシタンの殉教地・中江ノ島もあり、信仰の里としての長い歴史も興味深い。
【問い合わせ&旅情報】
生月島へは、福岡空港からは都市高速、長崎自動車道を通り、西九州自動車・佐々ICで降りて平戸島経由、約2 時間20 分など。島発祥のアゴだしラーメンも美味。
●問い合わせ先:平戸市商工会・生月支所 電話 0950・53・0216
取材協力/全国商工会連合会
電話 03・6268・0086
http://www.shokokai.or.jp
※ 表示価格(税込)はすべて参考価格です。