取材・文/石川真禧照(自動車生活探険家)
見知らぬ土地で新たな出会いや発見に心を躍らせる。人生に潤いを与える旅は車を使うことで自由度が増し、思い出深いものになる。秋のある日、三菱の小型SUVを駆って旅に出た。
車に乗って旅をする。旅支度に加え、カメラや画材など趣味の道具を積み込める。道中、名所旧跡や気になる店に気軽に立ち寄れるのもいい。電車やバスの時刻を気にせず自由に移動できると、旅の行動半径はぐっと広がる。地図やガイド本に載っていない美しい風景を発見したり、気に入った場所で好きなだけ時間を過ごせるのは、車の旅ならではの醍醐味だ。
初秋のある日、千葉の房総半島へ車を走らせた。自然豊かな房総半島は山海の幸が豊富で、絶景や温泉も点在する。半島を縦断する高速道路が整備され、広い駐車場のある施設も多く、車で巡るのにふさわしい地域のひとつといえる。
旅の伴に選んだのは、躍動感溢れる造形が美しい三菱の新型SUVエクリプス クロス。車高と前席の着座位置が高いので視界がよく、小型車であることを感じさせない室内空間の広さも魅力である。長時間の運転でも疲れない。
かつて三菱は、ラリーと呼ばれる荒地や砂漠での耐久競技に長年参戦し、勝利を重ねた。その経験で培つちかった技術に磨きをかけて、エクリプス クロスに投入した。
前後輪への駆動力の配分やブレーキ制御などを統合した、最新の車両運転統合制御システムがもたらす走行性能は極めて高い。千葉の木更津へと続く海上の高速道路、東京湾アクアラインでは、強風の中でもハンドルを軽く握っているだけで、ふらつくことなく直進していく。それは館山自動車道に入ってからも同じだった。
館山道を南下し、県内有数の観光名所、鋸山(のこぎりやま)を目指す。良質な石材の産地として知られた同山は、山頂展望台からの眺望が素晴らしく、東京湾や伊豆大島も遠望できる。山頂に至る道は急勾配と急カーブが連続するが、1・5リットルターボエンジンは力強く、操舵に合わせて車体は素直に向きを変えるので、運転がじつに楽だ。
半島中央部の山間地帯を抜け、勝浦市にある本日の宿『翠海(すいかい)』に到着。都合5時間以上運転をしたが、優れた走行性能のおかげで疲れをまったく感じなかった。
翌日は早起きして、宿から北へ約20㎞の勝浦漁港の近くで開催される勝浦朝市へ。早朝6時から露天商が立ち並ぶ朝市への移動も、車があると非常に便利だ。
400年以上の歴史をもつ勝浦朝市は、近海で獲れた新鮮な魚介や干物、地元農家が育てた野菜を求め、勝浦市民のみならず県外から訪れる観光客で賑にぎわう。車があれば荷物の多さを気にする必要がないので、美味なる食材を前に、つい財布の紐ひもが緩む。
朝市を満喫した後、外房の海うな原ばらを見に、ナビゲーションを頼りに海岸沿いの曲がりくねった小道へ車を進めた。しばらく走ると突然視界が開け、美しい海岸が眼下に広がった。車旅ならこんな予期せぬ絶景との出会いも増えるだろう。
同車のナビゲーションは、スマートフォンとの連携機能を使って常に最新の地図情報を液晶画面に表示する。渋滞などのドライブ情報を手軽に入手できるのも、長距離ドライブで非常に役立つ。
思いのままに運転できる心地よさと安心感。さらに実用性にも優れたエクリプス クロスは、日常生活を離れ、新しい発見の旅に挑戦したいと願うサライ世代に相応しい名車である。
三菱/エクリプス クロス4WD G プラスパッケージ
全長×全幅×全高:4405 × 1805 × 1685㎜
ホイールベース:2670㎜
車両重量:1550㎏エンジン:直列4気筒DOHC ターボ(1498㏄)
最高出力:150PS / 5500rpm
最大トルク:24.5kg-m / 2000 ~ 3500rpm
燃料消費率:14.0㎞/リットル(JC08 モード)
使用燃料:無鉛レギュラーガソリン(60リットル)
乗車定員:5名
車両価格:286 万6000 円
問い合わせ先/三菱自動車お客さま相談センター 電話70120・324・860
※この記事は『サライ』本誌2018年12月号より転載しました。