更年期になると、骨粗しょう症や動脈硬化、脂質異常症、がんなどの病気のリスクが上がります。これらの病気を予防するには、生活全般を見直す必要があります。

今までと同じような食事を摂っていると、肥満になったり、生活習慣病になりやすくなったりします。更年期に気をつけたい生活習慣を、産婦人科医の対馬ルリ子先生に聞きました。

運動は“やり過ぎに”注意

健康な体づくりは運動からと、無理な運動をしていませんか? 無理な運動は逆効果になることもあるそうです。

「毎日適度な運動を続けることです。筋トレや有酸素運動、ストレッチなどがいいですね。意外かもしれませんが、運動のポイントは『やり過ぎないこと』なのです。頑張りすぎて関節を痛めてしまったり、体脂肪を減らしすぎて骨が弱くなってしまうこともあります。女性の筋肉や関節、骨は女性ホルモンのおかげでしなやかですが、閉経後、女性ホルモンの分泌が止まると、体中のコラーゲンが失われ、関節の軟骨が減り、骨折しやすくなります。皮膚や粘膜も薄く、脆弱化して、血管が透けて見えてしまう程のケースもあります。必要な栄養素を摂りながら、運動で代謝をよくすることで改善されます。睡眠時間もたっぷりとってください」

高齢になっても無理なく、毎日続けられることがポイントになります。

「みなさんにおすすめしているのは、ラジオ体操とストレッチです。ストレッチは筋肉が刺激されるので、筋繊維が発達し血流もよくなります。筋肉が動いていると体が温まり、冷えの対策にもなります。気軽でしかも効果が期待できるという点ではウォーキングもいいですね。ウォーキングは1日8000歩以上が健康の目安となりますが、コロナ禍で家に籠っている方は、マスクをして近所を軽く歩くだけでも効果があります。家から出られないという方は、ラジオ体操。それもできないという方は、ベッドの上で手足をブラブラと揺らす『ゴキブリ体操』や、お腹の下に枕を敷いてうつぶせの状態で体を左右に揺らすだけでも構いません。ちょっとした運動でも全身の筋肉が動き、自律神経が整います。『これって、運動?』と思われるような運動でも、やらないよりはよっぽどいいのです。まったく運動をしなかった方が、ストレッチやラジオ体操をきっかけに体を動かす楽しさをおぼえたり、ご夫婦でゴルフをすることで体を動かす楽しさを知ったという方もいます。キーストーンハビットを知っていますか。何か一つを3か月続けると生活の中に溶け込み、生活全体がみるみる変わっていきます。次の3か月はもう一つのことができるようになります。人生は100年ですから、今からでも遅くはありません。それがすごく簡単な事でも、3か月たてばあなたの人生は変わり、5年後、10年後、30年後の到達するところが全然違うものになっていくのです」

かかりつけ医の存在が健康寿命をのばす

こうした生活改善には、婦人科のかかりつけ医がいることが理想だといいます。

「ふだんから寄り添える医師がいることで、ちょっとしたことも相談できますし、何より安心ですよね。女性は婦人科のかかりつけ医を入り口として、症状によって他科専門の先生につないでもらうこともできます。50代以上の女性であれば、婦人科、内科、泌尿器科の医師をアドバイザーとして、さらに運動のインストラクターと栄養士も加えることが理想ですね。3か月に1回程度会えば その期間にできたことを見つけてくれたり、補足として小さなアドバイスを受けることもできます。本当のウェルビーイングは、心・体・生活のすべてが健康であること。それが実現できれば、一生その人は健やかに過ごせると思います。私はよく『健康というのは子どものころから1本の木を育てていくようなもの』だと患者さんに説明しています。一人ひとりが自分という木のメンテナンスのエキスパートになっていただきたいと思います」

いまできることをはじめることが将来の自分への投資

こうした努力は将来に必ずつながっていくと対馬先生はいいます。

「更年期は準備をしている人にとっては自分試し、実力試しなんです。酷ないい方かもしれませんが、準備をしないできた方は、このまま我慢して心身ともに消耗するか、更年期をなんとか通り過ぎても、更年期以降に骨が弱くなったり、脳機能低下や見た目の老け込みが一気にやってきます。何も手を打たないと、人生の後半は不健康寿命になり、不健康で不快な状態のまま、まわりの介護や医療を受けながら生きていかなくてはならなくなります。逆に、女性の体についての知識を身に付け、生活に生かしていく方には必ずいい将来が待っています。自分の未来、自分の健康に投資すれば、大きなリターンが確実に戻ってくるのです。何十年後の自分のために、いまできることはすぐに始めていただきたいですね」

お話を伺ったのは……


対馬ルリ子先生
医療法人社団 ウィミンズ・ウェルネス
対馬ルリ子女性ライフクリニック銀座・新宿 理事長
産婦人科医師、医学博士


1984年弘前大医学部卒。東京大産婦人科教室助手、都立墨東病院総合周産期センター産婦人科医長を経て、2002年ウィミンズ・ウェルネス銀座クリニック(現・対馬ルリ子女性ライフクリニック銀座)開院。産婦人科、内科、乳腺外科、心療内科、泌尿器科等で協力し全人的女性医療に取り組む。2003年女性の心と体、社会との関わりを総合的にとらえNPO法人「女性医療ネットワーク」を設立し理事長に就任。全国約600名の女性医師・女性医療者と連携して活動し、さまざまな情報提供、啓発活動や政策提言を行っている。一般財団法人日本女性財団代表理事、ウィミンズ・ヘルス・アクション実行委員会副代表、一般法人社団日本女性医療者連合副代表。2017年日本家族計画協会「第21回松本賞」受賞。2017年デーリー東北賞受賞。2018年東京都医師会・グループ研究賞受賞。著書多数。近著に『「閉経」のホントがわかる本』(集英社・2020年)

医師のインタビュー記事は、株式会社おいしい健康が運営するメディア「先生からあなたへ」でもご覧いただけます。
https://articles.oishi-kenko.com/sensei/

取材・文/安藤政弘  写真提供/対馬ルリ子女性ライフクリニック

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