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結婚の挨拶は30分で終了

莉子さんと夫は付き合って3年で結婚することになった。莉子さんの両親は結婚の挨拶に訪れた夫を笑顔で迎え入れ、両家の顔合わせについても前のめりだったという。顔合わせの後に、自分の父親のことについて、夫は初めて莉子さんに不安を吐露した。

「夫は、『自分の父親を会わせることで、私や私の家族から嫌われたくない』と言いました。夫の家は父親の自分勝手な振る舞いによって家族全員で行動することはほとんどなかったそうです。私とは家庭環境が違いすぎて、そのことに引け目を感じていると。

夫の話を聞いていくと、父親とケンカをしたのは学生時代まででそこからはずっと関わりになることを避けているようでした。だから、義父は普通に夫に接してきていて、結婚に関する行事にも義父は絶対に顔を出すとのことでした」

莉子さんは夫の話を聞いても、義父という存在を無視して結婚を進めることができないことを伝え、2人は夫の家族に挨拶に行くことになったという。

「結婚は、本人同士だけでなく、相手の家との付き合いも発生するものですから。義父を完全に無視するなんてできないと思いました。それに、義父がたとえどんな人だったとしても、そのせいで結婚をやめるつもりもなかった。その思いを夫に伝えて、まずは2人で夫の実家に結婚の挨拶に行こうということになりました」

挨拶に行った莉子さんを義母は笑顔で迎えてくれた。その隣には真顔の義父がいた。滞在して30分ほどは穏やかな時間だったと振り返る。

「ご挨拶をして、和やかな雰囲気を感じていたんですが、30分ほど経ったときに義父は『もういいか』と言って、隣の部屋に行き、結構なボリュームでテレビを見始めました。そのときの義父は、4人で話すことに飽きたような様子でした。夫と義母はそんな義父の態度を私に謝ってきました。私としてはその謝罪の声が義父に聞こえて、怒ってきたらどうしようと、焦ってしまいました。まぁ杞憂だったんですけど。

その後にすでに結婚して家を出ていた義姉夫婦と義母と私たちの5人で食事に行きました。義父は来なかったんです。来なかったことは普通のことのようで誰もそのことについて触れませんでした」

義父は莉子さんの両親の前でも同じような行動をする。【~その2~に続きます】

取材・文/ふじのあやこ
情報誌・スポーツ誌の出版社2社を経て、フリーのライター・編集者・ウェブデザイナーとなる。趣味はスポーツ観戦で、野球、アイスホッケー観戦などで全国を行脚している。

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