関ヶ原合戦で西軍に属して、いったん改易に

丹羽家の悲劇は、それだけにとどまりません。秀吉死後に、石田三成の西軍と徳川家康の東軍で争われた関ヶ原の合戦の際には北陸地方で展開された「北陸の関ケ原=浅井畷(石川県小松市)」で、丹羽長重と前田利長が合戦に及びます。この戦いは、丹羽長重の勝利に終わりましたが、前田利長が東軍に与していて、「関ヶ原本戦」でも東軍が勝利したため、丹羽家は改易の憂き目にあいます。丹羽長秀の嫡男長重、前田利家の嫡男利長は、いずれも織田信長の娘を正室に迎えている「義兄弟」ですが、両家は、以前から不仲だったそうです。

ここで、丹羽長重の正室が信長の娘という「毛並み」が幸いします。2代将軍秀忠の正室お江の方は、信長の妹お市の方の娘なので、丹羽長重正室とは「従姉妹」の関係になります。そのため、丹羽家は常陸国古渡で1万石を与えられ、かろうじて大名に復帰することになります。

それ以降、丹羽家は、常陸国江戸崎2万石→陸奥国棚倉5万石→陸奥国白河10万石と石高を増やします。この間、棚倉では棚倉城を、白河では白河小峰城の築城にかかわります。いずれも名城として知られ、白河小峰城は、2013年の大河ドラマ『八重の桜』にも登場し、昨年の2025年の大河ドラマ『べらぼう~蔦重栄華乃夢噺~』では松平定信(演・井上祐貴)の居城として登場したのでご記憶の方も多いかと思います。丹羽家が二本松に移封してきたのは寛永20年(1643)。丹羽長秀の孫・丹羽光重の時代でした。

二本松丹羽家では、大坂の陣などでも戦功を挙げるなどしたことで、いったん改易になったにもかかわらず10万石超の大名に復帰させてもらったことを「徳川家の恩」と受け止め、「徳川家に尽くす」ことが藩是になったといわれています。それが、戊辰戦争での「二本松少年隊の悲劇」につながっていくわけです。

二本松藩丹羽家といえば、「旧二本松藩戒石銘碑」の存在が有名です。5代藩主丹羽高寛の代に発議されたもので、以下の16文字が刻まれる石碑です。

爾俸爾禄 「爾(なんじの)俸、爾(なんじの)禄は」
民膏民脂 「民の膏(こう)、民の脂なり」
下民易虐 「下民は虐げ易きも」
上天難欺 「上天は欺き難し」

二本松市のホームページでは、『「お前(武士)の俸給は、民があぶらして働いたたまものより得ているのである。お前は民に感謝し、いたわらねばならない。この気持ちを忘れて弱い民達を虐げたりすると、きっと天罰があろうぞ」と解釈されています』とあります。公職につくすべての人に肝に銘じてほしい内容です。

二本松少年隊の悲劇

幕末の動乱は、江戸幕府第15代将軍徳川慶喜の大政奉還で、薩長が主力の新政府軍が恭順の意を表していた会津藩を討伐するための軍勢を奥州に進軍させて攻め入ります。これに対して、奥州と越後の31藩は「奥羽越列藩同盟」を結び、新政府軍を迎え撃つことになります。

白河小峰城が新政府軍に落ち、慶応4年7月に新政府軍は二本松に迫ります。薩長を中心とした新政府軍を率いたのは土佐の板垣退助。その軍勢の中には、「徳川四天王」井伊家の彦根藩兵もいるという状況でした。

二本松少年隊の悲劇は、この際に起きました。各隊に配属された13歳から17歳の少年兵の60数名のうち14名が戦死したのです。

2013年の大河ドラマ『八重の桜』第24回は、二本松少年隊が登場する回でした。14歳の少年兵成田才次郎(演・吉井一肇)が、新政府軍の兵に斬りかかり、返り討ちにあう場面も描かれていたので、ご記憶の大河ドラマファンの方もいるかもしれません。

この成田才次郎は、戦国時代に秀吉から難癖をつけられた丹羽家重臣成田道徳の子孫にあたります。成田道徳は、佐々成政討伐の際に、内通を疑われ殺害された人物です。その子孫が、戊辰戦争で少年兵として出陣し、新政府軍に討たれたのです。

『豊臣兄弟!』で信長に伺候する重臣会議のメンバーだった柴田勝家と丹羽長秀。柴田家は滅亡し、丹羽家は最終的に明治維新まで大名として生き延びました。柴田と丹羽、どちらの選択にシンパシーを感じるでしょうか。両者の心情に思いを馳せながら、『豊臣兄弟!』今後の展開を楽しみたいですね。

構成/『サライ』歴史班 一乗谷かおり

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