暮らしを豊かに、私らしく

とくに理由があるわけでもないのに、なんだか疲れる、やる気が起きない。そうした、病気というほどではない「からだや心の不調」を自分で整えられたら、もっと毎日が過ごしやすくなると思いませんか。

そこで、久保奈穂実さんの著書『1日ひとつ、疲れが消える おいしい漢方365』より、日々のちょっとした不調におすすめの、セルフケアや養生レシピをご紹介します。SNSでも大人気の漢方アドバイザー、久保奈穂実さんは子供のころは胃腸が弱く、アトピー性皮膚炎で悩まされていたそうです。そんな自身の過去の体験や、年間約2000人という漢方相談を受けた知見をもとに、「これならできそう」と思えるような優しい養生法をまとめています。

10月は、夏にできたシミ対策や、暑さで疲れた体を癒やすアイデアをご紹介します。小さなことからはじめる“おおらか漢方生活”。お花に水をあげるように、自分のからだや心を少し労わってみませんか。

文/久保奈穂実

たまねぎと黒酢でシミくすみ改善

夏にできてしまったシミや、気温が下がって血の巡りが悪くなったことによるくすみが気になる。そんな悩みには、「まん丸たまねぎの黒酢 酢辣湯風スープ」。

たまねぎと黒酢は、どちらも気や血を巡らせ、体を温める食材。血を補って巡りをよくし、ザラザラ肌やシミの改善にいい黒きくらげも入れましょう。ラー油を少し垂らしてもおいしく、ポカポカ巡らせる力がアップします。

まん丸たまねぎの黒酢 酢辣湯風スープ

1.皮むきしたたまねぎ2個のお尻に十字の切込みを入れ、丸ごと鍋に並べる。
2.水1リットル、鶏がらスープ大さじ2、きざんだ黒きくらげを加え、蓋をして40~50分煮込む。
3.竹串がスッと刺さるくらい火が通ったら、黒酢大さじ5、ごま油少々で味を調える。刻んだパクチーをトッピングして完成。

時短の際はたまねぎを刻んで!

便秘に黒きくらげ

黒きくらげは、身近な食材の中でも不溶性食物繊維が断トツに多いうえ、水溶性食物繊維も含まれ、腸内環境を整えてくれる食材。

薬膳的にも肺を潤す効果があるとされていますが、肺と大腸は表裏関係なので、腸も潤い、便秘改善に高い効果があります。肺や大腸は肌とも関わりが深いので、お肌も潤い、補気(ほき)、活血(かっけつ)効果もあります。

そんな万能食材をたっぷり食べられるのが、「黒きくらげともやしのナムル」。もやしには、解毒作用や利尿作用があるので、むくみが気になる人にもおすすめ。胃腸の元気がなくても、モリモリ食べられます。

黒きくらげともやしのナムル

1.黒きくらげを水で戻し、サッと湯通しして千切りにする。もやしを洗ってサッと湯通しし、冷水で冷やす。
2.ボウルに(1)を入れ、酢、醤油、ごま油、鶏がらスープ、すりおろしにんにく(少々)で和える。お好みで白ごまをかける。

秋の抜け毛対策

秋は春の3倍も髪が抜けるといわれています。

夏の間に汗と共に血を消耗してしまったことが大きな原因。対策は、補血食材(黒豆 、黒ごま、黒きくらげ、卵、ベリー類、小松菜、ほうれん草、肉や魚の赤身、トマト、いちご、ニンジンなど)を積極的に食べて、できるだけ早く寝ることです。血を消耗しないよう、目を使い過ぎないことも大事な養生法。「百会(ひゃくえ)」のツボを押すのも効果的です。

百会

頭のてっぺんの、顔の正中線と両耳の先端をつないだ線が交差する場所。

* * *

『1日ひとつ、疲れが消える おいしい漢方365』
著/久保奈穂実
世界文化社 1760円(税込)

久保奈穂実(くぼ・なおみ)
国際中医薬膳管理師。漢方アドバイザー。成城漢方たまりで年間約2000人の漢方相談・薬膳講師を行う。女子美術大学造形科卒業。芸能・音楽活動を行い、ハードな生活で身体のバランスを崩す。漢方薬に助けられた経験から興味を持ち、イスクラ中医薬研修塾にて中医学を学ぶ。SNSにて発信するやさしい養生知識や、カンタン薬膳レシピが大人気。総フォロワー約9万人。

 

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