とくに理由があるわけでもないのに、なんだか疲れる、やる気が起きない。そうした、病気というほどではない「からだや心の不調」を自分で整えられたら、もっと毎日が過ごしやすくなると思いませんか。
そこで、久保奈穂実さんの著書『1日ひとつ、疲れが消える おいしい漢方365』より、日々のちょっとした不調におすすめの、セルフケアや養生レシピをご紹介します。SNSでも大人気の漢方アドバイザー、久保奈穂実さんは子供のころは胃腸が弱く、アトピー性皮膚炎で悩まされていたそうです。そんな自身の過去の体験や、年間約2000人という漢方相談を受けた知見をもとに、「これならできそう」と思えるような優しい養生法をまとめています。
12月は、急激に冷え込むことで起きやすい乾燥対策におすすめのアイデアをご紹介します。小さなことからはじめる“おおらか漢方生活”。お花に水をあげるように、自分のからだや心を少し労わってみませんか。
文/久保奈穂実
急激な冷えにえびとブロッコリー
急激な寒さによる冷えには、温め食材で内側からポカポカに。ぴったりのレシピが「ガーリックシュリンプブロッコリー」です。えびは、薬膳では温め食材の代表選手。ちなみに、かには寒性で体を冷やす食材。同じ海の生物なのに不思議ですよね。温まりたい日はえびをチョイスしましょう。
えびとブロッコリーの共通点は補腎(ほじん)、つまりエイジングケアにぴったり。冬に体の冷え、寝不足や過労、性生活の不摂などで腎を消耗しすぎると、一気に老けてしまいます。食材の力も借りてせっせと補腎しましょうね。
ガーリックシュリンプブロッコリー
1.にんにく1片をみじん切りにしてボウルに入れ、オリーブオイル大さじ2を加え、和える。
2.(1)に殻と背ワタをとったえび(むきえびでも可)を加え、塩こしょうをしてしばらくなじませる。
3.ブロッコリーは軽く塩ゆでしておく。レンチンでもOK。
4.(2)のえびを取り出してフライパンで焼き、裏返したら(3)を加える。(1)のボウルに残っているオイルとにんにくをかけ、サッと炒める。バター少々で風味と潤い効果がアップ。
※のぼせやほてり、炎症、かゆみがあるときは控えましょう。
毎日スプーン1杯で肌と髪がつやつやに
「効果がすごい!」とSNSやお客さんに大反響をいただいた、中医師の先生直伝のツヤ肌ツヤ髪レシピをご紹介。毎日スプーン1杯でビックリするほどうるツヤになりますよ。
はちみつが苦手なら、入れずに料理に使うのもおすすめ。「ほうれん草のごま和え」のごまを、この3種に変えるだけの食べ方もおすすめです。中医学では、肌や髪は何よりも「ツヤ」重視。美しさだけでなく、健康状態のバロメーターになります。
黒ごま・くるみ・松の実ペースト
黒ごま2:くるみ2:松の実1
上記を別々にすり鉢やミルサーで細かく砕いて混ぜ合わせ、お好みではちみつを加えて練る。容器に入れて冷蔵庫保存。
疲れと乾燥に「豆ストローネ」
疲れやすさ、重だるさ、胃腸の疲れ、むくみ、乾燥……。この時期気になる症状には「豆ストローネ」。胃腸の元気が足りないと、疲れやすくなったり、余分な湿を排出できずむくみや重だるさの原因に。豆は、余分な湿を排出してくれるうえ、気を補って疲れを取り除いてくれます。補気で肌のハリが出てたるみが改善したり、毛穴をキュッと引き締める力もつきます。トマトで潤いも補えるので美容効果も大。
とある中医師の先生の肌が赤ちゃんみたいにツルッツルだったので、何を食べているのか伺ったところ、「毎日、豆のスープを食べているよ」と教えてくれました。それ以来、私もこのレシピをしょっちゅう食べています。市販の蒸し豆で作るので簡単ですよ。
豆ストローネ
1.みじん切りのにんにくを炒め、香りが立ったらベーコンを加えて炒める。
2.水を加え、ひと口大に切った野菜を加える(写真では、たまねぎ、にんじん、セロリ、キャベツ、プチトマトを使用。お好みできのこ類を入れても)。
3.野菜に火が通ったら、トマト(ダイスの水煮缶)と蒸し豆を加える。
4.コンソメと塩で味を調える。
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『1日ひとつ、疲れが消える おいしい漢方365』
著/久保奈穂実
世界文化社 1760円(税込)
久保奈穂実(くぼ・なおみ)
国際中医薬膳管理師。漢方アドバイザー。成城漢方たまりで年間約2000人の漢方相談・薬膳講師を行う。女子美術大学造形科卒業。芸能・音楽活動を行い、ハードな生活で身体のバランスを崩す。漢方薬に助けられた経験から興味を持ち、イスクラ中医薬研修塾にて中医学を学ぶ。SNSにて発信するやさしい養生知識や、カンタン薬膳レシピが大人気。総フォロワー約9万人。