とくに理由があるわけでもないのに、なんだか疲れる、やる気が起きない。そうした、病気というほどではない「からだや心の不調」を自分で整えられたら、もっと毎日が過ごしやすくなると思いませんか。
そこで、今月から毎月1回、久保奈穂実さんの著書『1日ひとつ、疲れが消える おいしい漢方365』より、日々のちょっとした不調におすすめの、セルフケアや養生レシピをご紹介します。SNSでも大人気の漢方アドバイザー、久保奈穂実さんは子供のころは胃腸が弱く、アトピー性皮膚炎で悩まされていたそうです。そんな自身の過去の体験や、年間約2000人という漢方相談を受けた知見をもとに、「これならできそう」と思えるような優しい養生法をまとめています。
8月は、紫外線対策におすすめのアイデアをご紹介します。小さなことからはじめる“おおらか漢方生活”。お花に水をあげるように、自分のからだや心を少し労わってみませんか。
文/久保奈穂実
血流アップでシミを撃退
シミの原因は紫外線に限りません。冷房のきいた部屋で体を動かさずに過ごすうちに血が滞って肌代謝が悪くなることでも、シミは増えやすくなるのです。
こんなときは、食べ物でしっかりと血を巡らせましょう。おすすめレシピは「さばとたまねぎの血流アップ味噌汁」。さばとたまねぎは、最強の活血コンビ。食べているそばから、体の隅々まで血が巡る感じがします。さば缶で簡単にできる缶詰養生で、この味噌汁をよく食べると、手肌の透明感が変わってくるんです。
夏は冷房による首肩まわりの冷えからくるこりの相談も増えるので、血の巡りを意識して過ごしましょう。
さばとたまねぎの血流アップ味噌汁
1.くし切りにしたたまねぎと出汁を、鍋に入れる。
2.たまねぎに火が通ったら、さば缶1缶を汁ごとと、ほぐしたまいたけを加える。
3.味噌を加えて味を調える。
甘いものがガマンできないとき
自然な甘味は、胃腸の働きを補い、体を元気にしてくれます。疲れると本能的に甘いものを欲するのはそのためです。
とはいえ、油と乳製品たっぷりの洋菓子ばかりでは、体に余分な水がたまった痰湿(たんしつ)状態を招き、体は余計に重だるくなってしまいます。甘いものを食べすぎてしまいそうなときは逃げ道を作って、体の負担を減らしてみてください。我慢でストレスがたまるのもよくないですからね。逃げ道、大事。
甘いものが食べたい
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まずは自然な甘味
いも・栗・かぼちゃ
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我慢できなかったら和菓子
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それでも我慢できなかったら洋菓子
髪のパサつきににんじん
夏の後半や秋口は、紫外線のダメージや汗で血虚(けっきょ=血の不足)になり、髪がパサつきやすくなります。髪は血余(けつよ)=血の余りと考え、血が余るほどないと、髪がきれいにならないと考えられているのです。血虚さんは胃腸が弱く、血の材料となる栄養を上手に消化吸収できないタイプに多いです。
そんな人には、肉や魚は重いので、胃腸を優しく元気にしつつ血を補えるにんじんがおすすめ。「にんじんのカリカリじゃこ炒め」ならたっぷりとることができます。にんじんの甘味とじゃこの塩気が合わさり、シャキシャキ、カリカリの食感も楽しくて箸が止まりません。日々にんじんを食べて補血すると、髪だけでなく肌も目も潤ってきれいになります。
にんじんのカリカリじゃこ炒め
1.にんじんを千切りにする。
2.フライパンにごま油を熱し、ちりめんじゃこをカリカリになるまで炒め、いったん取り出す。
3.2のフライパンににんじんを入れてサッと炒め、じゃこを加えて混ぜ合わせ、鍋肌から醤油を回し入れる。
サッと火が通る程度でOK。千切りにするときに繊維に沿って縦方向に切るとより食感がよくなります。
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『1日ひとつ、疲れが消える おいしい漢方365』(久保奈穂実 著)
世界文化社
久保奈穂実(くぼ・なおみ)
国際中医薬膳管理師。漢方アドバイザー。成城漢方たまりで年間約2000人の漢方相談・薬膳講師を行う。女子美術大学造形科卒業。芸能・音楽活動を行い、ハードな生活で身体のバランスを崩す。漢方薬に助けられた経験から興味を持ち、イスクラ中医薬研修塾にて中医学を学ぶ。SNSにて発信するやさしい養生知識や、カンタン薬膳レシピが大人気。総フォロワー約9万人。