体重を落としたい。でも、食べる量を減らすダイエットはつらく、なかなか長続きしませんよね。そこで、池上敏郎医師の著書『お腹いっぱい食べて内臓脂肪を落とす 大豆ミートダイエット』から、植物生タンパク質である「大豆ミート」を食事に取り入れて、無理なくダイエットする方法をご紹介します。

文・池谷敏郎

主食(炭水化物)を減らせば効果がアップ

「大豆ミートファースト+ゆる糖質制限」は、短期間で確実にやせたい方におすすめです。実践すれば、みるみる体重が減っていくでしょう。

近年、ブームになっている糖質制限。私自身も「ゆる糖質制限」でダイエットに成功したこともあり、その実体験を踏まえてゆるやかな糖質制限をすすめています。

こちらも理論はシンプルです。ふだんの食事に大豆ミートを取り入れたうえで、糖質を含む(血糖値を上げる)食べ物、具体的には米・めん・パンなどの主食(炭水化物)の量を制限するだけです。いざ実践するとなると、少しハードルが高いかもしれません。なぜなら、これらは「主食」と呼ばれ、日本人の食事に欠かせないものばかりだからです。

「そんなの無理……」と思うかもしれませんが、ご安心ください。私がすすめているのは、主食の量をふだんの1/2〜1/3に減らす「ゆる糖質制限」なので、厳密な糖質制限に比べて、はるかに実践しやすい内容になっています。

まずは、ダイエットで糖質制限がすすめられる理由をご説明しましょう。食事で摂った炭水化物(糖質)は、胃などの消化器官を経由する過程でスピーディーに分解され、ブドウ糖となって小腸から血管へと吸収されます。すると、血管内を流れる血液中にブドウ糖が増え、膵臓からインスリンが分泌されます。インスリンは、肝臓や筋肉へとブドウ糖を取り込ませて血糖値を下げるとともに、それぞれの細胞でエネルギーとして利用できる状態にします。

ところが、糖質を摂り過ぎると、余ったブドウ糖はインスリンによって脂肪に変えられ、どんどん脂肪細胞へと蓄積されてしまうのです。

糖質を制限すると、このメカニズムを逆手に取ることができます。糖質制限によって、脂肪細胞に溜まる過剰なブドウ糖が減るとともに、ブドウ糖を脂肪に変えて溜め込むインスリンの分泌も抑えることになり、脂肪の蓄積を防ぐことができるのです。

さらに、糖質の制限によってエネルギーが不足すれば、体は蓄えていたものを使ってそれを補おうとします。つまり、体内に蓄積された脂肪を分解したり、燃焼させることで不足したエネルギー分が補われることになるので、糖質制限は脂肪の燃焼につながり、ダイエットに役立つのです。

糖質を制限すると、不足分が体内の脂肪燃焼によって補われるとともに、脂肪を溜め込むインスリンの分泌が減ることで、特に運動量を増やさなくてもみるみる体重が減っていくのです。

私もふだんから糖質を制限していますが、まったく食べないわけではありません。主食は一切食べないとか、いもや果物など糖質の多い食材まで避けるなど、極端な糖質制限には賛成できません。糖質も生命活動に必要な栄養であり、これまで糖質をメインに食べてきた人は、それを極端に制限することでエネルギー不足に陥りやすく、さまざまな体調不良を起こしてしまう危険性があるからです。

そこで考案したのが、糖質の量をふだんの1/2〜1/3に減らす「ゆる糖質限」です。これくらい減らすだけでも多くの例で体重が減りますし、栄養不足に陥ることはほとんどありません。

ゆる糖質制限を実践するにあたり、朝食や昼食をまるまる一食分抜くなどはしないでください。食事回数や食べる量を極端に減らすのはNGです。必要なエネルギーや栄養素が極端に不足すると、体調不良やイライラが生じます。また、筋肉量も減少するので基礎代謝量が落ちてしまい、かえって体重も減りにくくなります。制限すべきは減らし、そのうえで有効な栄養はしっかり摂るように心がけましょう。

コンビニを利用することが多い人は、「スープ+大豆ミートのハンバーグ」「春雨スープ+サラダチキン」といった組み合わせなら、糖質少なめで、タンパク質やビタミン、ミネラルがしっかり摂れます。ヨーグルトを食べるときには、大豆の水煮をトッピングしてみましょう。メインの一皿に大豆ミートを取り入れれば、ヘルシーで高タ
ンパク、なおかつ満足感のある食事を楽しみながらダイエットできます。まずは1日1回、効果の出やすい夕食で大豆ミートダイエットを実践するのがおすすめです。

池谷式「大豆ミートダイエット」の4つのポイント

ポイント1:肉を大豆ミートで代用し、カロリーを大幅にダウン

牛肉や鶏肉、豚肉の代用として大豆ミートを使えば、おいしさはそのままにカロリーは大幅に減らせます。脂質もコレステロールも減らせるので健康効果もアップ。

ポイント2 大豆ミートファーストで血糖値に急上昇を抑制

食べる順番を変えるだけで、ダイエット効果がアップ。最初に大豆ミートのおかず、最後に糖質(米・めん・パン)を食べることで、血糖値の上昇がゆるやかに。

ポイント3 ゆる糖質制限を組み合わせる

ゆるやかな糖質制限(糖質の量をこれまでの1/2〜1/3の量に減らす)を組み合わせることで、ダイエット効果がさらにアップ。短期間で体重が減ります。

ポイント4 “やせる大豆ミート”にしてダイエット効果をアップ

そのままでも肉より格段にヘルシーな大豆ミートですが、さらにダイエット&健康効果をプラス。「かつお粉」と「しょうが」でパワーアップさせて使います。

“やせる大豆ミート”の作り方

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『お腹いっぱい食べて内臓脂肪を落とす 大豆ミートダイエット』 池谷敏郎 著
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池谷敏郎(いけたに・としろう)
池谷医院院長、医学博士。1962年、東京都生まれ。東京医科大学医学部卒業後、同大学病院第二内科に入局。専門は内科、循環器科。97年、医療法人社団池谷医院理事長兼院長に就任。血管、心臓などの循環器系のエキスパートとして、現在も臨床現場に立つ。30代のころ15kgの減量に成功した経験を基に、健康的に無理なく痩せるダイエット理論を確立。50歳を超えてからも体脂肪率10.6%をキープする「ダイエットの名医」として、数多くのテレビ出演、新聞・雑誌への寄稿、講演会などでのわかりやすい医学解説が好評を博している。著書に『「血管を鍛える」と超健康になる!』(三笠書房)、『血管・骨・筋肉を強くする!ゾンビ体操』(アスコム)など、数々のベストセラーがある。


 

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