体重を落としたい。でも、食べる量を減らすダイエットはつらく、なかなか長続きしませんよね。そこで、池上敏郎医師の著書『お腹いっぱい食べて内臓脂肪を落とす 大豆ミートダイエット』から、植物性タンパク質である「大豆ミート」を食事に取り入れて、無理なくダイエットする方法をご紹介します。

文・池谷敏郎

ステップ1 大豆ミートファースト

健康診断などで血圧、血糖値、中性脂肪、コレステロールなどの数値に黄色信号や赤信号がともっている方には、ステップ1の「大豆ミートファースト」がおすすめ。言葉の通り、「大豆ミートのおかずを最初に食べる」だけです。それだけでなぜダイエット効果があるのか不思議に思われるかもしれませんが、近年、食事の方法によって食後の血糖値や血中の脂質の値に変化が生じることがわかってきたのです。

ここで重要なのが、「食べる順番」です。もともとは、野菜から食べる「ベジファースト」の健康効果が広まりました。野菜に含まれる食物繊維は、胃から小腸にかけて糖質や脂質の吸収を抑制するため、食後高血糖や食後高脂血症を抑制する効果が期待できるのです。

ベジファーストの効果については、糖尿病の専門誌や海外の医学誌に論文が掲載され、糖尿病の改善、動脈硬化予防に効果がある食べ方として病院での食事指導にも組み込まれています。

また、肉や魚、ヨーグルトから食べても、タンパク質による食後高血糖の抑制効果が期待できることから、「ミートファースト」をすすめる声も出てきています。ベジファーストとミートファーストのどちらがいいのか、という論争まで起こりました。

私はこれまでベジファーストを習慣としてきましたが、近年ではそれに勝るとも劣らない「大豆ファースト」を考案し、実践しています。

私が監修した実験によって、大豆ファーストにはベジファーストと同様の食後高血糖の抑制効果があるだけでなく、ベジファーストを上回る食後の満腹感が得られることがわかったからです。

大豆には、野菜同様に食物繊維が含まれているだけではなく、豊富なタンパク質も含まれています。大豆のタンパク質や、食べる際の咀嚼の効果などが食後の満腹感を高めた可能性があります。

そもそも豊富な食物繊維とタンパク質を含む大豆ファーストには、ベジファーストとミートファーストの両方のメリットが期待できるのです。

大豆ミートを利用すれば、私も健康の為に摂取し推奨する蒸し豆と同じくさまざまなレシピで大豆ファーストを美味しく楽しめます。まさに蒸し豆と同様、大豆ミートも大豆ファーストの究極のアイテムと言えます。

私自身、大豆ファーストを続けていますが、「食後血糖値の上昇がゆるやかになる」「腹もちがいいので、食べ過ぎ予防になる」「良質のタンパク質が摂れるので、筋力がアップして引き締まった体になる」といったさまざまな効果を実感しています。

食後血糖値の急上昇を繰り返していると、2型糖尿病の発症リスクのみならず、脳心血管系疾患、老化、がん、アルツハイマー病といった深刻な病気のリスクまで高めてしまいます。大豆ファーストは、食後高血糖のみならず食後の中性脂肪の増加や肥満を防ぎ、メタボリックシンドロームに代表される生活習慣病の改善に役立つと期待されているのです。

池谷式「大豆ミートダイエット」の4つのポイント

ポイント1:肉を大豆ミートで代用し、カロリーを大幅にダウン

牛肉や鶏肉、豚肉の代用として大豆ミートを使えば、おいしさはそのままにカロリーは大幅に減らせます。脂質もコレステロールも減らせるので健康効果もアップ。

ポイント2 大豆ミートファーストで血糖値の急上昇を抑制

食べる順番を変えるだけで、ダイエット効果がアップ。最初に大豆ミートのおかず、最後に糖質(米・めん・パン)を食べることで、血糖値の上昇がゆるやかに。

ポイント3 ゆる糖質制限を組み合わせる

ゆるやかな糖質制限(糖質の量をこれまでの2分の1〜3分の1の量に減らす)を組み合わせることで、ダイエット効果がさらにアップ。短期間で体重が減ります。

ポイント4 “やせる大豆ミート”にしてダイエット効果をアップ

そのままでも肉より格段にヘルシーな大豆ミートですが、さらにダイエット&健康効果をプラス。「かつお粉」と「しょうが」でパワーアップさせて使います。

“やせる大豆ミート”の作り方

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『お腹いっぱい食べて内臓脂肪を落とす 大豆ミートダイエット』 池谷敏郎 著
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池谷敏郎(いけたに・としろう)
池谷医院院長、医学博士。1962年、東京都生まれ。東京医科大学医学部卒業後、同大学病院第二内科に入局。専門は内科、循環器科。97年、医療法人社団池谷医院理事長兼院長に就任。血管、心臓などの循環器系のエキスパートとして、現在も臨床現場に立つ。30代のころ15kgの減量に成功した経験を基に、健康的に無理なく痩せるダイエット理論を確立。50歳を超えてからも体脂肪率10.6%をキープする「ダイエットの名医」として、数多くのテレビ出演、新聞・雑誌への寄稿、講演会などでのわかりやすい医学解説が好評を博している。著書に『「血管を鍛える」と超健康になる!』(三笠書房)、『血管・骨・筋肉を強くする!ゾンビ体操』(アスコム)など、数々のベストセラーがある。


 

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