毎年12万人もの欧米人が訪れるものの、まだ日本人にはあまり知られていないクック諸島。美しい海辺でのんびりするもよし、文化や生活を訪ねて回るもよし。子どものころの夏休みを思い出して、自由で気ままな旅を楽しみたい。
「ハワイが好きな人にとって、クック諸島は、間違いなく魅了される場所でしょう。古き良きハワイを彷彿とさせる〝トゥルー・ポリネシア〞(真のポリネシア)と言って過言ではありません」そう語るのは南国の島々の風景や文化に魅せられ、撮影を続けている写真家の飯田裕子さんだ。
クック諸島は、ポリネシア文化圏の中でも早くから人の定住が始まったと考えられており、独特の文化が各所に深く根付いている。
「山の恵み、水、タロ芋の田畑、海岸。このつながりの中に人の営みがあるのがポリネシア式です。手つかずの自然が残っているだけでなく、古くから連綿とつながる文化や生活がある。それを味わう旅がお奨めです」(飯田さん)
古くから外国人を歓待する習慣があったと言われ、おもてなしの心は天下無双、治安もいい。魚介ほか素材を活かした質の高い料理が楽しめるのも大きな魅力だ。
海も山も、人との触れ合いも
クック諸島でしか体験できないことは枚挙に暇がない。首都のあるラロトンガ島には、現地で申し込める様々なツアーがある。
たとえば四輪駆動車で島を巡るツアー。古代の祭祀殿跡に立ち寄り、密林にも分け入って、文化も自然もまるごと楽しめる。
「著名な案内人のパさんと一緒に自然散策するツアーはどうでしょう? 70歳を超えて元気な彼に、島の薬草や自然と人の調和など教わるのは、得がたい経験になるはずです」(飯田さん)
生活が身近に感じられるのは、土曜朝に開かれるマーケットだ。台所付きの宿に泊まっているなら食材を買って調理してみよう。
「クック諸島の人々は敬虔なキリスト教徒です。毎月、最初の日曜日の特別ミサに島民は白い服と白い帽子で参列、とても厳かな雰囲気です。マオリ語の讃美歌は感動しますよ。心ばかりの寄付を用意しておきましょう」(飯田さん)
もちろん最高に美しい海に出かけない手はない。底が透明な小舟で珊瑚礁を巡るツアーがあるので海に入らなくても楽しめそうだ。
「空路でアイツタキ島まで足を延ばし、双胴のカヌーを改装した船でゆっくりと珊瑚礁を巡りながら昼食をとるツアーがあります。サライ世代にこそ体験してほしいですね」(飯田さん)
クック諸島では、特徴のあるポリネシアン・ダンスが伝えられている。ポリネシア人の渡来に始まる歴史を題材に取り、腰を動かし全身で表現する。官能的で激しい音楽とダンスは、子どものころから熱心に積み重ねた練習の賜物だ。クック諸島のポリネシアの文化を学び、体験できる文化村(ラロトンガ島にある)で観賞できる。
未知の場所を訪ね、初めて出会う人たちと触れ合う。そんな「夏休みの冒険旅行」がもう一度味わえるのがクック諸島なのだ。
問い合わせ先/クック諸島観光局
http://www.go-cookislands.jp/