日本画家、奥村土牛(おくむらとぎゅう 1889-1990)は、画家志望であった父親のもとで10代から絵画に親しみ、院展で活躍しながら、地位や名声にとらわれず、初心を胸に高みをめざし続けた人物です。

80歳を超えた頃には「これから死ぬまで、初心を忘れず、拙くとも生きた絵が描きたい」と語り、101歳で亡くなるまで、ひたむきに筆をふるい続けました。

奥村土牛《城》昭和30(1955)年 紙本・彩色
※以下掲載作品はすべて山種美術館蔵

山種美術館で開催の「開館60周年記念特別展2 奥村土牛—名作でたどる100年のあゆみ―」は、土牛の珠玉の名品約60点を展観します。(8月8日~10月4日)

本展の見どころを、山種美術館の学芸員、出口眞結さんにうかがいました。

「本年、山種美術館は開館60周年を迎えました。これを記念した特別展の第2弾となる今回は、日本画家・奥村土牛の軌跡をたどる展覧会を開催します。

山種美術館の創立者・山﨑種二(1893-1983)は、土牛の画業の初期から深く親交を結びました。その縁から、当館の所蔵する土牛作品は全135点を数え、日本屈指の土牛コレクションとして知られています。

奥村土牛《兎》昭和11(1936)年 絹本・彩色
奥村土牛《吉野》昭和52(1977)年 紙本・彩色

土牛は梶田半古(1870-1917)、後に小林古径(1883-1957)のもとで学び、38歳で院展に初入選しました。昭和37年(1962)、73歳で文化勲章を受章し、101歳で逝去する間際まで制作を続けた画家です。形や色を通して描く対象の本質を捉えていく表現に取り組み、透明感と深みのある色調の作品を生み出しました。

奥村土牛《鳴門》昭和34(1959)年 紙本・彩色

本展では、初期から最晩年に至る活動の全貌をご覧いただきます。瀬戸内海の鳴門の渦潮を描いた《鳴門》、京都・醍醐寺の枝垂れ桜に「極美」を感じて制作した《醍醐》をはじめ、戦後の代表作が一堂に会する光景は圧巻です。土牛が温かいまなざしを向けた愛らしい動物や花の作品も並び、皆様の心を癒します。今もなお多くの人々に愛されている清らかな土牛の世界をお楽しみください」

奥村土牛《醍醐》昭和47(1972)年 紙本・彩色

土牛直筆の絵入り書簡など、山種美術館ゆかりの作品や資料も紹介されます。会場でじっくりご堪能ください。

【開催要項】
開館60周年記念特別展2 奥村土牛—名作でたどる100年のあゆみ―
会期:2026年8月8日(土)~10月4日(日)
会場:山種美術館
住所:東京都渋谷区広尾3-12-36
電話:050・5541・8600(ハローダイヤル)
公式サイト:https://www.yamatane-museum.jp/
開館時間:10時~17時(入館は16時30分まで)
休館日:月曜日(ただし9月21日~23日は開館)、9月24日(木)
料金:公式サイト参照
アクセス:公式サイト参照

取材・文/池田充枝

 

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