お寿司のガリがドレスに? 玉ねぎが雨の風景に? 日常にあるものを、別のものに「見立て」た作品で知られる、ミニチュア作家・田中達也さん。Instagramのフォロワーは400万人以上、国内外で開催中の展覧会『MINIATURE LIFE展 田中達也 見立ての世界』の来場者数も累計320万人を突破し、世界中にファンを増やしています。
新刊『MINIATURE LIFE 365 田中達也の今日の1枚』(小学館)の発売にあたり、田中さんにインタビューを行いました。前回は作品の制作背景について、ここでは15年間毎日欠かさず投稿する秘訣や、アイディアの生み出し方について伺います。

「見立て始めてから、映画に集中できなくなりました」
――365日、毎日欠かさず作品を作って投稿していらっしゃいますが、アイディアはどのように生み出しているのでしょうか。
これは日々の生活の中でふと思いつきます。モノを見たり風景を見たり、何かしらきっかけがあって、その刺激を受けることでアイディアがでてくることが多いです。アイディアがひらめくのは、コンビニやスーパー、100円ショップなど物がひしめいている場所が多いですね。
ここには、一般的なデザインの日用品があり、生活に欠かせないものだったり、使ったことがあるモチーフの宝庫です。こういうものは、より共感していただける作品につながることが多いと感じています。買い物中や、街を歩いていて、「あ、これだ」と思ったものは、すぐにスマホにメモしています。ストックは1000以上になっていますが、実際に作品になるものは半分もないかもしれない。「ああでもない、こうでもない」と考えることは楽しいですし、バシッと合った瞬間は気持ちがいい。私自身が楽しんでいる延長に、作品があるのです。
――作品は背景の人間関係がわかるドラマティックなものも多いです。ミニチュア人形同士が話しているように感じることがあります。
ありがとうございます。ワンシーンを切り取っている作品なので、人間関係はかなり意識しており、「この登場人物は、こういうことを考えて、この場所にいるからこのポーズだ」と、所蔵する10万体のミニチュア人形の中から選んでいます。
作品の中で登場する人形のほとんどは、ジオラマや建築模型で使われる既成のものを使っています。ただ、たくさん持っていても作品をつくっている中で、「どうしてもこういうポーズが欲しい」という場合があります。そのときは、既存のものを改造したり、3Dプリンターで出⼒した人形に加⼯を施したりして使⽤しています。
作品を見る人は、人形の視点を介して、作品の中に入ることができると思っています。そこもまた、見立て作品の面白いところです。

出典:『MINIATURE LIFE 365 田中達也の今日の1枚』
――田中さんの生活は見立てが中心であり、目も感性ももはや見立てに最適化しているのですね。
そうなんです。だから、何を見ていても「見立て」てしまう。困るのは映画を観ているとき。作品に没入したくても、劇中のシーンを見立ててしまうんです。上映中はメモをしたくてもできない環境なのですけどね(笑)。
あとは、似ているものをつい探してしまうので、映画だけでなく漫画も集中できません。「これと、これは似ている」という思考に引っ張られてしまうのです。
ただ、自分が見ている世界に、見立ての世界が立ち上がるのは面白いですよ。例えば、レインボーブリッジを渡っているときに、都心の高層ビル群が、ホチキスの針に見えてしまうなど。そのアイディアをもとに作った作品も多くあります。

日本特有の「言葉の文化」が作品に生きている……【次のページに続きます】











