子供たちからもたらされる気づき
――お台場の風景が「ホチキスの針」に見える発想が新鮮です。多くの人が見慣れている東京を代表する景観のひとつでもあり、次の新作がとても楽しみです。ところで、キャラクターや企業のコラボレーションなど、「生活になじみがない、見慣れないもの」を見立てるときはどうしているのでしょうか。
モチーフを家の至る所に置きます。先日も、有名なキャラクターとのコラボを手掛けたのですが、玄関、リビング、バスルーム、トイレに至るまで、目につくところにモチーフを置きました。無意識に考え続け、目が慣れたころに「あ、これだ」というアイディアがひらめきます。やはり「見る」ことはとても大切だと感じています。
あとは、子供たちから気づきがもたらされることも多いです。私が作品の制作をしていることを知っているので、「これはあれみたいだね」というようなことを教えてくれます。

出典:『MINIATURE LIFE 365 田中達也の今日の1枚』
――家族も見立てに協力し、その世界は広がっているんですね。
始めたころは会社員でしたし、そもそも趣味だったので、本を出すとも思ってなかったんです。ただ、続ける中で作品集が出版され、広告やテレビ番組の依頼をいただいて、どんどん世界が広がっていきました。そのうちに、実際のミニチュアを展示したくなり、展覧会を手がけるようになったのです。やりたいことがどんどん出てきて、それが増えていくのは嬉しいことです。
ひとつのきっかけが、次の機会につながって、それが広がり続けていくのは、Instagramで発信したから。何もしなければ今の私はありませんでしたし、毎日やり続けなければ、進化することもありませんでした。やはり続けることは大切だと改めて感じています。
――お話を伺い、見立て作品を作りたいと思う人は多いと思います。その始め方を教えてください。
食べ物がわかりやすいと思います。例えば、ブロッコリーをお皿に盛るときに、森みたいにしてみるとか、ご飯を雲や泡に見立ててみるとか。お弁当を盛り付けるときに、何らかの見立てを意識してみるのもいいかもしれません。
でも、やはり自分の好きなものを見立てで表現してみるといいと思います。何よりも楽しいと思うことが大切ですから。
田中達也さんの新刊

『MINIATURE LIFE 365 田中達也の今日の1枚』 4950円 小学館
2011年4月20日から、毎日欠かさず制作・撮影し、Instagramなどにアップする、15年間5000を超える見立て作品の中から、365作品を厳選した超保存版作品集。1ページ1ページ、日々のカレンダーをめくるように楽しめる。
取材・文/前川亜紀 撮影/黒石あみ(小学館)











