発酵学者 小泉武夫さん
1943年、福島県の酒造家に生まれる。東京農業大学名誉教授。発酵学者、文筆家。世界の食文化から酒まで発酵に関するあらゆることに知見を発揮、『発酵食品礼讃』など著作は150冊を超える。

「全国に散らばった教え子たちがウイスキー造りに挑戦しています」

東京農業大学で長らく教鞭を執ってきた、発酵学者の小泉武夫さん。各地のウイスキー蒸留所で教え子たちが活躍している。

「小泉チルドレンと呼んでいます(笑)。今は国内で100余りの蒸留所が動いていますから、いよいよジャパニーズウイスキーの時代が到来したのかと思います」

小泉さんからは、ジャパニーズウイスキーの現状はどのように見えているのだろうか。

「日本でも焼酎などの蒸留酒文化があり、そんな蔵元が新たにウイスキー造りに挑戦しています。ウイスキーの熟成に最適な温度は13~18℃ですが、貯蔵庫の温度管理をしっかりやれば、鹿児島や沖縄などの暖かい土地でもおいしいウイスキーが造れるのです。工程上の一番大きな違いは、ウイスキーには麹菌を使わないことですね」

取材中に小泉さんが、ウイスキーの熟成過程を図式で解説してくれた。バラバラのアルコール内の諸成分がつながり配列されることで、ピリピリとした感じがおさまり味がまろやかになるという。

蒸留所の数だけ個性が出る

ジャパニーズウイスキーの源流は、地方の「地ウイスキー」にあると小泉さんは語る。

「福島県の笹の川酒造では昭和21年からウイスキーを造っています(下写真)。そんな酒蔵が現在の隆盛の土台を築いてきました。これから、100の蒸留所から100の個性あるウイスキーが生まれることを期待しています」

地ウイスキーの火付け役となった「チェリーウイスキー」(笹の川酒造、2750円)。同社安積蒸溜所では、シングルモルトなどを発売。

写真提供/小泉研究室、笹の川酒造

取材・文/宇野正樹 撮影/藤田修平

※2026年「サライ」3月号より

3月号大特集は『ジャパニーズウイスキーを極める』

 

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