価値観やライフスタイルが多様化し、正解のない時代にもかかわらず、周りと比べて「自分には強みがない」「自分はたいしたことない」と思い込んでいませんか?

大手コンサルティングファームに勤務しながら、週末にライフワークとして個人コンサル「はたらく女性のかていきょうし」を続けるタブタカヒロさんが提案するのは、解なき時代を生き抜くための「自分を物語化する」思考法。タブさん自身が仕事の壁にぶつかった際にキャリア論や戦略論を調べ尽くし、習得したスキルから編み出したキャリア戦略=「自分ものがたり」。

そこで、今回はタブタカヒロさんの著書『「自分ものがたり」で人生が変わる』(小学館)から、自分をものがたり化するための大切な3つのルールをご紹介。ルールと言っても堅苦しいものではなく、思ったより簡単にできそうなものばかりです。

文/タブタカヒロ

ものがたり化の、3大ルール

わくわくする自分の「ものがたり化」を始める前に、お願いがあります。巷で見かける、キャリア・プラン論とは真逆のお作法となるので、ご注意ください。キャリアを「自分ごと」としてちゃんと考えること、「何歳から、何歳までに◯◯をする」的時間軸でキャリア設計することは自分の夢や勇気を萎えさせる。やりたいこと・なりたい自分、身に付けるスキル、働く業界・会社・職種などの「最適解」を見つけるのも、わくわくを無効化してしまう。という風にダメ出ししちゃいます。ご了承ください。

代わりに、脳が喜ぶ、自分ものがたり化に必要な3大ルールをおすすめします。

ルール1 自分の人生を「巻」で数えよう

自分は、いつだって変えられる。自分のキャリアや人生だって。いつでも新しい挑戦とか変化をしていいって、頭では分かります。分かったつもりでいます。でも「もう何歳だよ、新しいことなんか始めても遅いよ」って、悪魔の自分が脳内で囁いてたりしませんか?

これ、脳内で起きる正常反応なんです。プライミング効果と呼びます。人種、性別、年齢とか、人に連想させる典型的イメージってありますよね。人間の行動やパフォーマンスは、実はそのイメージに無意識に影響を受けちゃうんです。例えば、ある人種・ある性別は論理的思考が苦手だとテストの前に告げられると、該当する人たちの成績が普段より激しく悪化することが実験で実証済みです(※1)。

いわんや年齢をや。「来年◯歳だけど、新しいことを始める!」って宣言したとて、「◯歳だと遅いでしょ」と脳内でプライミング効果が発動して、無意識に自信が低下しちゃうんです。

だから、今から、人生を「歳」で数えるの、やめましょう。ものがたりらしく、「巻」で数えませんか? 30巻、40巻、50巻…100巻。プライミング沼から抜け出して、自分のこれからに自然とわくわくしてきますよね。

(※1)Spencer,Steele & Quinn/ Stereotype Threat and Women’s Math Performance /1999 年1月『Journal of Experimental Social Psychology』第35巻第1号 https://www.sciencedirect.com/science/article/abs/pii/S0022103198913737

ルール2 自分が、自分の読者になろう

自分の人生やキャリアを「自分ごと化」して真摯(しんし)に向き合いすぎない。辛い状況の時「何とかしなくちゃ」と自分を追い込みすぎてしまいます。視野が狭くなって悲観的側面しか見えず、もうこの状況から抜け出せないと思い込み、メンタルを病むリスクが高まります。

自分の視点を、自分自身から離して客観的に、心にゆとりを持って観察する。自分に対して「ものがたりの読者」の目線を持ってあげましょう。おー、今の自分、なかなかピンチな展開だな。さて、この状況でどう抜け出すのかな? 覚醒とかするのかな? みたいな。

この「自分の読者になる」ルールの使い手がいます。野球界のレジェンド、イチロー選手(当時)です。2009年、野球の世界選手権「WBC」、韓国との決勝戦。延長10回、勝ち越しのチャンス。打席は大会中ずっと打撃不振のイチロー選手。不安と圧で押しつぶされそうな時、彼はなんと頭の中で「さぁイチローが打席に入りました」と実況して自分を客観視。リラックスと集中を取り戻した結果、劇的なタイムリーヒットで日本に優勝をもたらしました。

心理学ではこの方法を「メタ認知」と呼びます。窮地の時こそメンタルを保つスキルを、「自分が自分の、読者になる」ことで自動的に身に付けちゃいましょう。

ルール3 「ものがたり」なんだから、「異端児」になろう

一度しかない自分の人生。失敗したくないですよね。世の中で「勝ち組」扱いされているキャリアの最適解を歩みたいですよね、競争に勝ち抜いて。これ、巷のキャリア論のみならずビジネス戦略も含め日本全域を覆う、わくわくを無効化する悪しき固定観念なんです。

例えばわくわくするビジネス戦略のものがたりには鉄則があります。常識をくつがえす「異端児」になることです。戦略論やイノベーション論は、従来の常識や「カイゼン」の延長線なんて目指していません。それらをひっくり返した世界線を目指すのが必勝法です。

Apple創業者のスティーブ・ジョブズは典型的な「異端児」。漫画や映画の主人公みたいに、コンピューター、ネット、モバイルの常識をくつがえすプロダクトを生み出して社会も、Appleで働く人たちも、わくわくさせてきました。

グローバル基準の戦略論では「異端児」的行動、例えば、従来と違うやり方を試すこと、ルールを破ること、失敗をすることは大事な成功要因。自分のものがたりでも「異端児」役を演じることってプラスでしかないはずです。

でも、自分が「異端児」なんかになれるのかなって、不安になりますよね。確率論で考えると、現実味が増すと思います。確率論で有名な正規分布モデルだと「がっつり常識ど真ん中」は全体の68%、「まぁまぁ常識の範囲内」は95%。つまり、常識の範囲外である「異端児」は全体の5%、案外多いですよね。学校のクラスが30人だと5%は1.5人。クラスに1〜2人はいる「変わり者」の人数感です。ちなみに成績上位2名じゃないです。競争は不要。クラスにふたりの確率で人と違うことをやる、「異端児」がぐっと身近になると思います。

*  *  *

『モヤモヤが晴れる最強の魔法「自分ものがたり」で人生が変わる』
著者/タブタカヒロ
小学館 1760円(税込)

タブタカヒロ
ビジネスコンサルタント/はたらく女性のかていきょうし
コンサル歴約20年。外資系アパレル企業を経て外資系コンサルへ転身、現在は大手総合コンサルティングファームでクライアントの課題に向き合う。週末はコンサルとほぼ同時期に始めた「はたらく女性のかていきょうし(通称:かてきょ)」として活動。ほかにセミナー、大学での講義、コラム執筆などを通じて専門用語ゼロの“おしゃべり”で想いを引き出し、その人らしいキャリアの方向性を「自分ものがたり」に描き直すサポートを続けている。著書に『\かてきょ式/わくわく思考せんりゃく。』(すばる舎)。『外資系コンサルはなぜ、あえて「手書きノート」を使うのか?』(著:太田あや・KADOKAWA)に取材協力。今、自分自身の物語も50巻台。“次の章”を更新中。

 

ランキング

サライ最新号
2026年
7月号

サライ最新号

人気のキーワード

新着記事

ピックアップ

サライプレミアム倶楽部

最新記事のお知らせ、イベント、読者企画、豪華プレゼントなどへの応募情報をお届けします。

公式SNS

サライ公式SNSで最新情報を配信中!

  • Youtube
  • Facebook
  • Twitter
  • Instagram
  • LINE

市毛良枝『百歳の景色見たいと母は言い』

花人日和(かじんびより)

和田秀樹 最新刊

75歳からの生き方ノート

おすすめのサイト
dime
be-pal
リアルキッチン&インテリア
小学館百貨店
おすすめのサイト
dime
be-pal
リアルキッチン&インテリア
小学館百貨店