
スイスに拠点を置く補聴器のリーディングカンパニー『ソノヴァ社』と『サライ』が、「きこえ」を通じて、生活をよりアクティブにする取り組みを展開する「アクティブ ライフ プロジェクト」。
『サライ.jp』では、その一環として、これまで『ソノヴァ社』の補聴器ブランド フォナックの製品を使い、豊かな人生を生きる人たちをクローズアップしてきた。
今回はフォナックの最上位モデル『オーデオ I-スフィア』の愛用者である、日本プロテニス協会で副会長を務める渡辺功さんに、補聴器を使い始めたきっかけや製品を装用することで感じた暮らしの変化などを伺った。
渡辺さんは昭和16年生まれで御年84歳。日本初のプロテニスコーチである父・渡辺政治さんの指導の元、6歳でテニスをスタートした。昭和42年のユニバーシアード東京大会のシングルスでは金メダルを獲得するなどの活躍を見せ、その後プロテニスプレーヤーへの道を歩んだ。引退後はテニススクールで後進の育成にあたり、還暦を過ぎて日本体育大学の教授に就任するなど精力的に活動していたが、その後、難聴となり、補聴器とともに歩む生活が始まったという。

3度目にしてようやく理想的な補聴器に巡り合えた
──補聴器の装用を始めたのはいつ頃からですか。
「耳に虫が入ったような『キーン』という耳鳴りと聞こえにくさを感じたのは、20年ほど前のことです。すぐに耳鼻咽喉科を受診したところ、治療でいったんは良くなりました。しかし、1~2年後に同じ症状が再発。その後、次第に耳が聞こえにくくなっていきました。近所の耳鼻科で相談した際、医師から『渡辺さん、聴力を取り戻すには補聴器をつけるしかありませんよ』と言われたのが、補聴器を使い始めるきっかけでした」
──いまお使いのフォナック『オーデオ I-スフィア』で何台目ですか。
「3台目ですね。最初の補聴器はサイズが大きくて、よく耳から落ちることがありました。駅からの帰宅途中に落としてしまい、歩いて来た夜道を懐中電灯で照らしながら戻り、何度探し回ったことか(笑)。次に使った補聴器もなかなか体になじめませんでしたが、10年くらいは使い続けていましたね」
──『オーデオ I-スフィア』はどこで知ったのでしょうか。
「妻の母が補聴器を装用することになりまして、その時にいらした東京・湯島の補聴器専門店『sound66』の担当の方に、『実は私も補聴器をしていますが、けっこうストレスを感じるんです』と相談したところ、『そうでしたら、とても良い補聴器がありますよ。2週間試してみませんか?』と、紹介いただいたのが『オーデオ I-スフィア』でした」
──初めてつけた時はいかがでしたか。
「それまでの経験から、大きな期待はしていませんでしたが、耳につけた瞬間、これまでとは明らかに別物であることに驚き、同時に『こんなにきれいに聞こえるんだ』という感動がこみ上げてきましたね。今までのような雑音や耳を刺すような硬さがなく、何よりもこれをつけると、耳が悪くなかった時と同じように、会話もできる、それは素晴らしいものでした。何もつけていないような自然な装着感でありながら、テニスのプレイ中に落ちることもありません。採点をさせていただけるなら、今の補聴器は100点と言えますね」

補聴器は人と人を結ぶコミュニケーションツールなんです
──装用して3か月が経過しました。どんな点が気に入っていますか。
「何よりも、電話で普通に通話ができるようになったことですね。以前は、スマートフォンを耳に押し当てて音量を最大にしても、相手の声がやっと聞き取れる程度だったので、連絡手段はもっぱらLINEでした。しかし今では、補聴器がスマートフォンとBluetoothでつながるため、補聴器をつけたまま自然に会話ができます。また、テレビを見る大変さも改善されて、大好きな大リーグの中継を楽しんでいます。音楽も以前よりずっとクリアに聴こえるようになりました」
──楽しみは増えていますね。
「本体が防水・防塵仕様というのも便利ですよ。多少水がかかっても安心ですから、この夏は、孫と話しながら一緒に水遊びをしました。私のほうがはしゃいでいましたが(笑)。以前よりは風の音が気にならなくなり、車が近づいてくるのも気づくようになりました。そのおかげで、日課にしているウォーキングもより安全で快適になりました。先日、久しぶりに蝉時雨を聞いた時はとても感慨深かったですね。『ああ、夏なんだ』と。長らく忘れていた自然の移り変わりを音で感じられる喜びを改めて知ることができました」
──ご自身の心境の変化もありますか。
「耳が聞こえにくくなってからは、特に会議で発言するのが億劫になり、兼任していたいくつかの仕事を整理しました。ところが、この補聴器に変えてからは気持ちが前向きになり、仕事はもちろん、友人との食事にも積極的に参加するようになりました。このモデルは、AIが周囲の環境に合わせ、最も聞き取りやすいように、補聴器が自動で調整してくれるのが大きな利点です。大人数で話している時、背後から話しかけられるのが不安でしたが、今ではその心配も少なくなりました」
──補聴器を変えて大成功という感じですね。
「私が補聴器を使い始めた一番の理由は、妻とのコミュニケーションを円滑にするためでした。妻がすぐそばにいても声が聞こえなかったため、その都度耳元で話してもらわなければなりません。それは妻にとってもストレスだったでしょうし、私自身も申し訳なく感じていましたが、『オーデオ I-スフィア』を使い始めてから、生活そのものが一変しました。これは本当に大きな変化であり、私にとっての革命でもあります」

──ワイヤレス通信機のロジャーも一緒にお使いですね。
「音声をワイヤレスマイクで集音し、補聴器に届けてくれるロジャーは妻のすすめでした。私は『オーデオ I-スフィア』だけで十分満足をしていましたが、妻に『あなたは、いろいろな人に会ってお話をするのだから、ロジャーも持っておいた方がいい』といわれましてね。それじゃあと導入したわけです。ロジャーがなくても会話はできますが、ロジャーを通じて会話をすると、相手が離れていてもよりきこえが良くなりました。自宅や外出先では、妻がロジャーを首から下げて私と会話をしています。おかげで、きこえのことで夫婦喧嘩をすることはなくなりました(笑)」
──ロジャーは大人数で会話をする時も便利ですね。
「これまではカフェやレストランで何人かと話していると、人の声だけでなく、BGMや周囲の雑音も一緒に入ってくるため、会話に集中しにくいことが頻繁にありました。『オーデオ I-スフィア』を使ってからは、人の声がよりクリアに聞こえるので、雑音がまったく気にならない。さらに、ロジャーをテーブルの真ん中に置くと、人が複数いても、話をしている人の音声がより鮮明に聞こえるようになり、自然と会話も弾みます。今では、家族と話すときもロジャーを置いていますよ」
きこえがよくなると年齢を問わず人はイキイキして前向きになれる

──人生がガラッと変化したわけですね。
「『年を取ると耳が遠くなる』という一般的なイメージから、老いを連想させる補聴器をつけることに抵抗を感じる方も多いでしょう。しかし、私の経験から、もし聞こえにくくなったなら、ためらわずに早めに自分に合った補聴器を使うことをおすすめしますね。補聴器は、コミュニケーションをスムーズにするだけでなく、外出時の安全確保にもつながるなど、生活のあらゆる面でプラスに働きます。聞こえが悪くなると、気持ちがふさぎこみ、人との交流を避けるようになりがちですが、聞こえるようになれば、もっとイキイキと行動できるようになるのではないでしょうか」
──実際に渡辺さん自身もポジティブになられましたか。
「もちろんです。もともと私は底抜けに陽気な性格で、耳が聞こえにくくなる前までずっとエネルギッシュに動き回り海外も150回は出かけています。おもしろおかしく暮らしてきましたからね。当時のきこえを取り戻しましたので、今後はコロナ禍で中断していた海外旅行やゴルフに夫婦で出かけたいと思っています。テニスを始めて78年。今後も老若男女問わず、テニスの魅力を伝え続けていきたいですね」

渡辺 功 (わたなべ・いさお)
プロフィール/1941年生まれ、東京都港区出身。早稲田大学卒。6歳でテニスを始め、中学から高校までテニス部で活躍。社会人になった後もテニスを続け、デビスカップなどで海外を飛び回った。ユニバーシアード大会には3度出場。東京大会ではシングルで金メダル、ダブルスで銅メダルに輝いた。その後プロに転向し、1972年には、石黒修氏、恵誌郎氏とともに日本プロテニス協会を設立。以降はテニス指導者として幅広く活動。日本体育大学の教授も務めた。現在、日本プロテニス協会副会長。
渡辺さん愛用の補聴器
『フォナック オーデオ インフィニオ スフィア』

世界で初めてAIを活用した「DEEPSONICTM(ディープソニック)チップ」を搭載したフォナック補聴器の最上位モデル。「雑音」と「ことば」を瞬時に識別し、分離するため、雑音を抑えながら会話をよりクリアに聞き取ることができる。さらに独自の「オートセンスOS 6.0」によって、周囲の音環境を常にスキャンし、その場に最適な設定に補聴器が自動で調整する。防水・防塵の国際保護等級IP68を上回る性能を持つ「ウォーターブロック」技術により汗や水濡れを気にすることなく、様々な環境で安心して使用できる。サイズは縦31.9 ×幅14.0×奥行9.5 mm。耳かけ型RICタイプ。51万2000 円(片耳)~。
渡辺さん愛用の補聴援助ワイヤレスマイク
『ロジャー オン3』

騒音が多い環境や話者と聞き手の距離が離れているとき、また複数の話者がいる場合など、補聴器だけでは会話が聞き取りづらいシーンで集音した音声を補聴器や受信機に届け、騒音下や離れた場所でのことばの聞き取りを改善するフォナックのデジタルワイヤレス補聴援助システム「ロジャー」の送信機(ワイヤレスマイク)。より広い範囲を3次元的に集音するワイドインタビューモードや卓上モードといった多彩なマイクモードで環境や使用状況に適応する。防塵・防水の国際保護等級「IP54」取得。ドルビーオーディオ対応のドッキングステーションが付属し、充電しながらテレビや音楽鑑賞を楽しめる。サイズは幅24×長さ100×高さ14mm。重さ27g。20万9000円。
sound66

東京都文京区湯島3-45-11
営業時間:10:30〜17:00
定休日:木曜・日曜・祝日
電話:0120-66-0060(予約制)
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問い合わせ先/ソノヴァ・ジャパン株式会社(フォナック補聴器) 0120・06・4079
