健康

ブルーベリーだけではない。眼科専門医がすすめる目の健康にいい食べ物とは？

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2025/6/7

文／鈴木拓也

ひと頃、「目の健康にいい」と、ブルーベリーが盛んにもてはやされた。

筆者は、「眉唾かな」と疑っていたが、そうでもないようだ。ブルーベリーに含まれる色素のアントシアニンには、「網膜の病気や疲れ目の予防、改善」の効果があるという。そう説くのは、二本松眼科病院の平松類副院長だ。

平松副院長は、著書『眼科専門医が教える！目をよくする最強の食べ物図鑑』（山と溪谷社　https://www.yamakei.co.jp/products/2824490730.html）のなかで、目の健康にいい様々な食材を取り上げている。その大半は、ブルーベリーよりも身近で、食生活に採り入れやすい。即効性はないが、長く食べ続けることで、「きっと目に良い影響が現れてくる」と、すすめている。

どんな食材が目にいいのだろうか？　その一部を紹介しよう。

抗酸化作用が１つのキーポイント

基本的に、目にプラスの効果がある栄養素は、抗酸化作用、血流改善、神経保護といった働きがあるものを指す。平松副院長は具体的に、ルテイン、アスタキサンチン、DHA・EPAなどを挙げる。

ルテインは、網膜の黄斑部に存在し、目の老化につながる活性酸素を、体内から除去する抗酸化作用がある。これにより、白内障、緑内障、加齢黄斑変性の予防・改善につながるとしている。しかし、体内では作られないため、食べ物から摂取する必要がある。

アスタキサンチンも、非常に抗酸化作用が強く、白内障をはじめとする目の不調の予防・症状緩和が期待できる。

「血液をサラサラにする」ことで知られるDHA・EPAは、実は目の健康にもいい。平松副院長は、「神経細胞の働きをサポートし、視力の維持や回復、網膜機能の改善などが期待」できると記している。

これらは、ドラッグストアのサプリコーナーでも見かけるが、あくまでも「食事から摂る」のが原則。サプリは、多忙で食事が疎かになりやすいときなどに活用するようアドバイスされている。

特におすすめなのは野菜・赤身魚

本書には、「目のために毎日食べたい10の食材」というのが掲げられていて、その筆頭がブロッコリー。これには、ルテインのほか、ビタミンACE（ビタミンA、C、Eの総称）、β－カロテン、鉄、葉酸と、目にいい栄養素が種類も豊富に含まれている。

「10の食材」にはないが、別の章ではほうれん草、ケール、モロヘイヤなど多くの青物野菜が登場している。こうした野菜は、おしなべて抗酸化物質が多く含まれている。また、栄養素の損失を防ぐため、生で食べることが推奨されている。

さらに、かぼちゃやトマトといった緑黄色野菜もあるが、これらにはナイアシンやビタミンB1など、目にいい栄養素が含まれている。

他方、「10の食材」の中でアスタキサンチンの供給源としてすすめられているのが、魚のさけ。さけ以外にも赤身魚や赤い甲殻類にも豊富に含まれているので、日々の食生活で積極的に摂りたい。

これらとは別に、意外な食材もいくつかある。その１つが「そば」だ。これには、ルチンという抗酸化作用のあるポリフェノールが含まれていて、「目の酸化を防ぎ、毛細血管を強化して血流を促進する働き」があるという。

血糖値が急激に上がる食材には注意

逆に、摂り方に注意したい食べ物も指摘されている。

それは「血糖値が上がりやすいもの」。血糖値が急激に上がると、目の血管に大きなダメージを与える恐れがあるというのが、その理由。平松副院長は、そうした食べ物の例として白米やお菓子を挙げる。そこで、主食はもち麦や玄米といった雑穀、間食には「ナッツやりんご、バナナ、みかんなどの果物、ヨーグルト」がすすめられている。これらは、「目にいい食べ物」としても取り上げられており、日常的に摂っておくようにしたい。

水分については、不足すると目の血流が悪くなるので、きちんと補給すべきだが、何を飲むかが重要だという。

平松副院長によれば、一番いい飲み物はただの水。ただし、大量に飲むと眼圧が上がるので、一度にコップ１杯以内を目安に、時間をおいて小分けして飲むのがコツ。

コーヒーは抗酸化作用があり、目の健康にはいいとされている。しかし、飲みすぎると「眼圧が上がりやすくなる」という負の側面もあり、「１日３杯以内」にとどめるようにとも。

＊　＊　＊

本書は、食材にとどまらず、目の健康に寄与する生活習慣など様々なアドバイスが記されている。眼科医による治療の代わりになるものではないが、ちょっとした目の不調が気になるのであれば、実践してみるといいだろう。

【今日の健康に良い１冊】
『眼科専門医が教える！目をよくする最強の食べ物図鑑』