暑い夏、贈り物や手土産として、アイスが選ばれている。さまざまなバリエーションがあるからこそ、相手に「ふさわしい」ものを贈りたい。世代的には健康が気になるが、おいしさや満足感と両立しているものはあるのだろうか。そこで注目なのは、親しみがある乳酸菌飲料「ヤクルト」のアイスだ。「乳酸菌 シロタ株」が含まれている。ここではそのおいしさの秘密を、開発担当者の方々に伺った。
「ヤクルト」をアイスとして届けたい
――気温が上がるほど、おいしさを感じるのは、冷たいアイスだ。そこで、今、多くの人から選ばれているのが、「アイス de ヤクルト」と「アイス de ヤクルト ジェラート&ミルク」。これは、国民的乳酸菌飲料「ヤクルト」の甘酸っぱい風味がアイスとして楽しめるもので、SNSでも話題が沸騰した人気商品だ。反響は大きく、1日に2万個(※)以上売れたこともあるという。
「ヤクルト」がスイーツ感覚で楽しめるという意外性とおいしさで、リピーターも多い。今の季節はギフトとしても選ばれているアイテム。その開発秘話を紹介していく。
※2022年6月30日「アイス de ヤクルト」販売実績
境 裕子さん(以下・境):『アイス de ヤクルト』の企画が立ち上がったのは、10年前です。私が所属する社内プロジェクトチーム『三つ星Factory』で『ヤクルト』をスイーツのように食べる『カップ de ヤクルト』を開発し、2014年に発売しました。大変好評をいただいており、お客さまに調査した中で「『カップ de ヤクルト』のアイスが食べてみたい」という声があることが分かりました。また、プロジェクトメンバーの好きなスイーツとしても『アイスクリーム』が上がっていたため、そのような声が商品化へのきっかけとなりました。
ただ、この時は多くの課題があり、計画は中断しましたが、5年ほど前に『ヤクルト』をアイスにするという計画が再始動したのです。
脇阪 昌明さん(以下・脇阪):私は商品の風味の設計や、開発を行っています。あるとき、境さんのチームから開発研究部の私のところに家庭用アイスクリーマーで作られた試作品が持ち込まれました。一口食べると、「これはアイスクリームであり『ヤクルト』だ」と感じるほど完成度が高く、企画担当者の熱い思いを感じました。
宮﨑 基さん(以下・宮﨑):私は完成させたレシピを製造ラインにのせ、商品をお客さまの手元に届けるまでを担当しました。私たちは冷凍の食品を手がけたことがないので、工場との連携や流通網の確保など、多くの課題がありました。
ヤクルトだから、「健康感を、ごほうびに。」を叶える
――最初に商品化したのは『アイス de ヤクルト』だ。圧倒的知名度の乳酸菌飲料『ヤクルト』の風味や、乳酸菌を生きたまま、凍ったアイスにするために、多くの研究を重ねたという。
脇阪:風味の骨格はすでに出来ていたので、私はよりおいしい状態でお客さまに届けるレシピづくりを行いました。
境:風味は感覚的な要素が大きいため、繊細な微調整をしていただきました。脇阪さんは数えきれないほどの試作品を作っていましたよね。
脇阪:はい。『ヤクルト』と生クリームのバランスは最後までベストを尽くしたと思います。コクとまろやかさを引き出そうとして、生クリームの分量を増やすと、『ヤクルト』の風味が弱くなってしまう。両者のバランスにこだわり、数多くの試作を繰り返して、最終的に、クリームの濃厚さがありながらも、『ヤクルト』感を両立するベストなバランスを見出したときは、嬉しかったですね。
宮﨑:脇阪さんが作ったレシピを商品化する工場探しは私の仕事でした。『アイス de ヤクルト』は通常のアイスとは作り方が違います。一般的にアイスは、原材料を加熱してから冷やして固めるのですが、『アイス de ヤクルト』には、生きた『乳酸菌 シロタ株』が入っており、加熱すると死んでしまう。ですから、非加熱製造に対応する工場探しに奔走しました。
脇阪:『乳酸菌 シロタ株』は熱に弱いので、工場で製造する方法を確立するのも苦労しました。
宮﨑:協力してくださる工場が決まり、こだわった味となっているかテストを重ね、品質や衛生面の管理の仕組みを整え、2021年に商品が完成。テスト販売を経て、2022年から専用オンラインサイトでの販売がスタートしました。
脇阪:『アイス de ヤクルト』は、『乳酸菌 シロタ株』と『ガラクトオリゴ糖』が含まれている、口溶けよく濃厚なアイスクリームなので、『健康感を、ごほうびに。』を実現しています。
境:現在は、 Yakult Wellness Online (ヤクルトウェルネスオンライン)限定で販売していますが、発売開始のタイミングで、SHIBUYA109渋谷店で『ヤクルトのアイス屋さん』というポップアップイベントを開催しました。『アイス de ヤクルト』のほか、シェイクやパフェなどのアレンジメニューも販売。大きな反響をいただきました。
宮﨑:『ヤクルト』の甘酸っぱい風味と、こくのあるミルク感とのバランス、口溶けの良いなめらかな食感のアイスクリームは、幅広い層から支持いただき、2022年6月から2023年8月までで、累計販売実数が30万個を超えました。
さらに「ヤクルト感」を楽しむために新商品を開発
境:『アイス de ヤクルト』を発売後、『もっとヤクルト感を楽しみたい』というお声をいただき『アイス de ヤクルト ジェラート&ミルク』の開発に着手しました。
脇阪:お客さまの求める『ヤクルト感とは何か』について、それぞれが真剣に考えましたよね。単純なシャーベットでは、お客さまが想像する凍らせた『ヤクルト』と変わらない。アイスに軸足を置きつつ、どのように味を表現すべきかを考えるところから始めました。
境:最初は上下二層にするというアイディアも出ました。
宮﨑:『ヤクルト』らしさとアイスクリームらしさを両立するのはどうしたらいいか……そのことを工場に相談したら、うずまき状に加工してはどうかと提案されました。
脇阪:『その手があったか』と思いました。表現方法が決まれば、あとは味を深めていくのみ。なめらかなシャーベット状の『ヤクルト』と、濃厚なミルクアイスを一緒に食べたときのベストバランスを探るために、再び数多くの試作品を作りました。
境:1年間の開発期間を経て、『アイス de ヤクルト ジェラート&ミルク』が完成しました。甘酸っぱい『ヤクルト』風味が感じられるシャーベットと、生クリームのコクを引き立てた濃厚なミルクアイスが織りなす味わいは、『ヤクルト』でありアイス。新鮮な驚きと共に、多くのお客さまに好評をいただいています。
脇阪:さっぱり感があるシャーベット部分と、濃厚さが楽しめるミルクアイスのバランスをご自身で調整しながら食べられるのも魅力です。風味に統一感を持たせるために、私なりの工夫をしております。この深みのある味わいをぜひ楽しんでください。
SNSで話題沸騰、世代を問わない人気アイスの定番に
境:今年の夏も『アイス de ヤクルト』と『アイス de ヤクルト ジェラート&ミルク』を多くの人に選んでいただいています。ギフト配送も行っておりますので、帰省のお土産や記念日の贈り物として、またホームパーティの差し入れなど、さまざまなシーンでお楽しみください。
宮﨑:SNSでも、性別を問わず幅広い世代の方に、取り上げていただいているのを拝見しております。
脇阪:「幼い頃に飲んでいた『ヤクルト』を思い出した」というお声もいただき、開発者冥利につきます。『アイス de ヤクルト』と『アイス de ヤクルト ジェラート&ミルク』というおいしさと健康感を兼ね備えたアイスで、暑い夏を元気にお過ごしください。
暑い夏につい手が伸びるアイス。自分のため、誰かのために、ヤクルトのアイスはいかがだろうか。「乳酸菌 シロタ株」が含まれている「アイス de ヤクルト」と「アイス de ヤクルト ジェラート&ミルク」なら、健康感という「ごほうび」もついてくる。
親しみがある「ヤクルト」風味のアイスは意外性も十分だ。だからこそ、皆に驚きと笑顔をもたらすだろう。その楽しい時間もまた、人生を豊かにする「ごほうび」なのだ。
「アイス de ヤクルト」
「アイス de ヤクルト ジェラート&ミルク」
※「アイス de ヤクルト」はガラクトオリゴ糖を含むため、摂りすぎあるいは体質・体調により、おなかがゆるくなることがあります。食品として1日1個を目安としてお召しあがりください。
※「ヤクルト」はヤクルト本社の登録商標です。
構成・文/前川亜紀 撮影/乾 晋也